どくしょかんそうぶん
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「関心領域」を観た
Amazonにて。プライム無料枠ではありません。日本語字幕はあるが、音声は吹き替えの日本語とドイツ語の選択だった。ドイツ語音声で視聴しました。
原題は「The Zone of Interest」邦題だけを見るとちょっと小首をかしげたくなるが、そんな原題とかけ離れてはいないわけだ。作品を観終わった後で、この言葉自体が当時のナチス政権が”あのあたり”を示すために使っていた言葉だという情報も見つけた。でもこれ、ほんまか?
観る前からエンタテインメント作品ではないと分かってはいたけど、なんかこう…あまり面白くなかった。コンセプトは明確だ。悪名高い”あのあたり”はあれだけの規模で稼働していた。管理側にも相当の人員と組織が必要だったに相違ない。前線でもなければ割と長閑な時間だってあった。権力と共に豊かな暮らしが付いてきた当時の人々を映し出す。なんなら、あの場所の隣のご家庭の様子が本作の中身である。
また視聴者への問いかけでもある。現代の世界を映した場面が挿しこまれた。あれは何か、お前まさか知らずに生きてないよな?って。領域とは地図上の領域であり、演出に拠る本作品画面上の領域でもあり、我々の記憶の中での、”この場所”についての領域である。時が経てば発散、中和されて消えていく。
そうはさせない、というのが我々に課せられた使命でもあり、枷でもあるんだろうか。跡地の隣の道には「ファシズムの犠牲者」という名前が付けられている。
https://maps.app.goo.gl/LG4S2Qo7GJmMzCUh9
なお、自分の記憶領域にはほぼ残っていなかったが、日本でホロコーストに関する有名な事件といえばこちら。発売日が阪神淡路大震災と同じ日だったというのを知った。
ところで、本作の制作を手掛けているA24というスタジオの評価が、ここのところ映画愛好家の間で爆あがりという点に興味を惹かれてしまった。そっちをあとで調べてみたい。
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「汁とめし」を読んだ
Amazonプライム枠。本書の感想の前に。
私は前々から「嫁のメシがまずい」というネット寓話拾遺を推挙しています。味の好みなど相対的な物です。好き嫌いだって似たようなもんで、人生の中で、嫌いなものを克服したり、逆に食べれなくなったりもします。そういったそもそも一義に決められるものではない、あるラインを超えて、客観的に健康に害を及ぼし得るレベルの料理が生み出されてしまう。ここに及んでは笑い話では済まなくなってしまう。世の中が複雑になって選択肢が数多になり、好みを擦り合わせるなど土台不可能。「まずは無理なんだけど」という前提を教訓というか道徳として、社会の良好な関係に努めましょうというのが近代でしょう。ただ、なんせ食べ物の事ですので、我慢や気遣いではカバーできないレベルがあります。
そこでレシピと呼ばれる調理手順の教則があって、さかのぼれば我々がサルのほうに近い時から受け継がれている、食ってもおkであるめしの数々。ここに従えばそんな悲しいお話がネットに転がるようなこともないのではないか。そ、思って、いたのですが、レシピってもの自体に本当に問題ないのか?
素人がそのレシピを投稿するサイトが大ヒットしました。まあまあ真似して大丈夫なんでしょうけど、少々保険をかけるというか、怪しい部分もあるんじゃないかと穿っておくぐらいが丁度いいのかもしれない。そして、個人が作った動画も手広く公開できるようになる、調理動画も増えました。そうなるとですね、とりあえず再生数を稼ぎたいとかバズりたいとかで無茶苦茶な内容が登場することもあります。ゴキブリを食うとかは真似するほうが頭おかしいのですが、”それっぽい”雰囲気の動画でやられたら鵜呑みにするような人が居ないとも限らない。なんなら、そこらのスーパーで売ってる鶏肉を半生で食べようとする人は実在するのです。低温調理のブームの陰で腹壊したやつたくさんいるに違いないのだ。
では、プロの書いたレシピならば?
本書はご飯と汁物というシンプルな構成にフォーカスしたレシピ。凄い珍しいものが並んでいることも無く、途中からおにぎり🍙とかも出てきてシンプルなものばかり。鍋一つで完了するレシピも多くて汁物の良いところはそこだよな~とか思いながらざざっと流し読み。こういうのでいいんだよ。しかし冒頭からプロレベルのこだわりがあって、もし自分が、本書のようなレシピで料理を作れと期待されたら気が進まないかもね。よほど暇なら?「全国の味噌をブレンドして味わいに深み」だとか「鍋に水、こぶ、にぼしを入れて30分ほどほうっておくだけ」だとか、仰々しい。でも本書通りに作れれば健康を害するめしにはならんのだ。
ただ、他のあらゆるレシピにも言えるけど、「さっとゆでる」「ふつふつとしてきたら」「中火で」「強火で」という表現って人によって受け取り方ぜんぜん違うと思うんだよね。本書にもいくつかあった。お料理初心者🔰ならなおのこと。さらには素人の怪しいレシピが跋扈したりもして。即座に健康を害する食事って、要するに食材が傷んでいるか、火が通っておらず生で食べたぐらいしかパターンないような気がする。意図的な毒物混入とかはもちろん別の話よ。だったら、その直接的な要因になる火力と加熱時間の目安ってわりと重要な筈ではないか。何かの冷凍餃子の作り方ガイドに「中火とはフライパンの底に火の先端が触れる程度の火力です」と書いてあるのを見た事がある。それ以外ではっきりと書いてあるのは見た記憶がない。家庭用ガスコンロの火力ってものによって差が大きいのかな?あるいはIH調理器だったら何Wで何分とか具体的に書けるだろうか?電子レンジとかオーブンの加熱時間ははっきりと書いてあるものが多い。機器でコントロールできるからだろう。ガスだってできなくはないのかもしれないが🤔
これは元も子もないけどヤバイ状態かどうかって、「実際に少し食べてみて火が通っているか確認」で済む筈なんだ。まさか食べても判断がつかないなんて…なんて…。ありえる?ありえるならこれがヤバイめしの本質的な理由なんだろうか?セーフガードがバグってます。(おれ何回か同じ事言ってないか?)
さらに、長期的に何度も食べるとなると「健康には問題ないかもしれないけどこれはさあ…」ってメンタルからやられて不和が生じてしまうこともあるのかなあって思いました。想像は付きますが、自分は作って頂いた飯が不味かったことがないので実感わかないです。自分のメシ、親のメシ、スーパーのメシ、飲食店のメシ、不味かったことが殆どない。給食はあったな。嫌いな食い物出てくることがありえるからか。参加したBBQのメシが不味かったこともある。みんなが参加しているなかで不味いとは言えないなあ…じゃあ嫁のメシもなあ、ってそこは話し合う余地あるよね。でも一回我慢しちゃうとあとから切り出しにくかったりして。だからって初手からお気持ちを高火力で煽っていくのも良作とも思えず。距離感と火加減難しいの話ですが、それでも
ちゃんと非を通せば安心のはず。
6点。
著者が腕を振るう料理店は「賛否両論」というそうです。へえ。
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「The Cabin in the Woods」を観た。
ネタバレ含みます。途中で10~15分ほど寝ましたが、見返す気になりませんでした。
Amazonプライム無料枠ではないのでレンタル視聴。なにやら評価が分かれ気味らしいので興味を惹かれまして。観終わって、これって本当に自分が見たかった映画で合ってるのか再確認した。日本だと作品名が「Cabin」として知られているみたいで混乱したが、合っていた。
ホラー映画なんだけど、最初から物語の陰に潜んでいる陰謀…というか真実が添えられているパターン。だから、登場人物ご一行が実は何か誘導されてるんだということはすぐにわかるが、なんで?って所は最後までわからないから、見てて意味が分からない。生贄が5人必要なら、1人ずつ順番に捕獲して輸送して~でいい気もするが、5人まとまって納品されないとだめという設定なんだろう。5人のそれぞれにおける役割を「愚者」とか「処女」とか言ってたけど、日本支部の状況では全員女子生徒だったじゃねえかよ意味が分からない。
怪物の群れのストックを持っているのも意味がわからない。施設で賭けが催されていたように、主人公たちの行動次第でどの怪物が出勤するか決まっているっぽいが、誰が決めたのwww怪物たちは儀式が済んだら大人しくカゴに戻るんだろうか?「おつかれっしたー。また次回~」って。意味が分からない。
世界中に支部があって同時に同じ目的で行動してるっぽいのも意味がわからないし、どこか一か所でも成功すれば他は失敗(生贄をささげることができない)しても問題がなさそうで意味がわからない。適当にそこらにあったボタン弄ってカゴが解放される仕組みになっているのも意味がわからない。
遥か昔から定期的に行われていたという意味の説明があったと思うが、あのcabinは200年ぐらいじゃねえのか意味が分からない。ガソリンスタンドのおやじは謎組織に協力的な立場の人物のようだが意味がわからない。いわゆる受付なんだろうけど。
イマイチでんな、と思いながらでも、最後までは観ました。罵るほどでもなく拍手するほどでもなく。困ったもんだ。
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「Father」を観た
Amazonプライムにて。
この映画を観た人の半分はこの物語、その背景に”心当たり”がある。また半分の人はレクター博士を思い起こし、半分の人は現実はこんなもんじゃないぜ所詮は映画だとかぶりを振り、半分の俺は自分にも酷い老後が待っていると確信をよりいっそう強もうだめだああああああああああ。
ああああ。
この作品は映画的な手法で、おとんの記憶が混濁してコミュニケーションが瓦解していく様をうまく表現している。ファンタジーともドキュメントとも違う妙がある。「ねじ式」とまでは言えないだろうけど、なんかこう。だれだって自分の認識のほうが間違っていると認める事は難しい。難しいというか、そういう症状に陥った自覚を得るまでは疑いもしない。ここをお読みになっているあなたのお名前は。家族は。お住まいは。イシャ?何のことです。ほとんどの方が澱みなく正答できる。あなたの回答を受けて、唐突に誰かが「貴方の認知に問題があります」と指摘してきたら受け入れるだろうか。やがて老いたらとかではなく、今日、明日の話で。この映画と同じ事が起こったら、何のドッキリだ子供だましか底辺youtuberかfuck youと憤るかもしれない。
アンソニーは冒頭から一人でやっていけると強弁する。これは実際には一人に不安が出ている人の強がりじゃないかな。自分に周りの心配が寄せられているのを感じ取り、またある程度の”症状”に自覚がある。そういう自覚が出てきたら、早めに何か準備しておくものなのかね?準備したとて後から自分で納得できるものか、果たしてわからない。あしたから宜しく、っつって違う人が来るんだもんなあ。
ま…生きているうちにお別れするというのが現世の習わしでありますか。日本の話だと、死んでからの諸々手続きがクッソ面倒なので生きているうちにどれだけ済ませるかがキモらしいです。故人が使ってたサブスク系のサービスとかどうやって解約するか把握している人なんていないよ。「死人に口なし」なんて怖い言葉がありますが、生きているだけではどうにもままならん、というのが本作の内容だと思う。生きているうち、では遅すぎる。始末をせねばならんのです、今日、明日の話で。
いろいろ考えねばならんのですね。
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「ルックバック」を観た
Amazonプライムビデオにて。漫画版?の時にえらく評判になったと記憶している。一時間でみれるらしい、という所に背中を押された格好で拝見。アニメ作品を自主的に見るなんてパプリカ以来じゃないかな。
全体的に良い話だなーといった感じです。Look backという言い回しを「背中を見ろ」とも解釈するというタイトルのアイデア。一般的には「(過去を)振り返る」という意味になる。前を歩むものは後ろを振り返り、後から付いていくものは先を行く者の背中を見る。
本作もそのうち人間俳優の演じる実写版が出たりするのだろうか。どんな需要なのかは理解しがたい。デビルマンなんかは比類なきレジェンドなので極端なケースだとしても、実写版を観たいというのはどこのどいつなのか。この作品を観た人も、実写版も観たいと思うのでしょうか。
気になって調べたら「進撃の巨人」とか「ジョジョの奇妙な冒険」とかも実写化されているんですって。何か背に腹は代えられぬ事情でもあるんでしょうか…ひとまず業界の風習ってぐらいに理解しておきます。