• ふでのゆくまま

    東京地下神殿

    下水道の陥没事故対応が思ったよりも長引いた。このエントリ書いているのは二月末。事故発生のニュースを見たときには、すぐに車も引き挙げられて運転手も助かるんだろうなんて思っていたのだが。

    そんなニュースを見るとやっぱり自分の身の回りも気になるものだ。散歩の道すがら、路上のマンホールを眺めながら歩いてみる。すぐに気づいたのだが、普段通っている道でも、すんごい数のマンホールがある。正しくはマンホールの蓋と言えばいいのか。家があればそこに上下水道は当然繋がっているので、少なくともそれだけの数のパイプと連結部があるわけだ。大小さまざまで、人が入れるサイズ以外にも、きっとメーターが埋まっているだけとかそんなのもあるんだろう。こういう物が道路にあるというのも、考えてみれば当然だ。建物の下にあってもアクセスできないもんな。という事は、開口部だけではなく、配管も全部道路の下なんだろうか?そんなクネクネと配管を這わせても、水は流れにくいし、詰まりそうだ。ある程度は家屋の下も流れているのではないか?

    坂道はどうなんだろう。地下でウォータースライダーになっているんだろうか。あるいは階段状になっていて、徐々に段をおりていくのか。なんて想像していると、行政の資料が開示されていた。そらそうだ。すんごく細かく記載してある。リンク先は東京都のもの。

    https://www.gesuijoho.metro.tokyo.lg.jp/semiswebsystem/TspAgreementWeb.aspx

    わりと専門的な図面のようだ。配管の太さとか勾配なんてデータもある。高さ4m幅6mなんてものだってある。そんなところに落ちてしまえばそう簡単に助けられないのも納得だ。インフラの老朽化の話もよく耳にするけど、こんな下水道なんてものを本格的にやるなら、住民がいなくならないと出来そうにない。そうなると「インフラの本格的なメンテするからどっか引っ越してくれませんかねえ」という話になるんだろうか。

    もう年度末だ。年度末に道路工事ばっかりやってて渋滞が多いのは、予算使い切るためにテキトーに掘り返しているだけだ、なんて悪態を耳にすることがあるけど、実際にそういうのもあるとしても、住人が多数いるなかでの都市のメンテというものは、そのぐらいが限界なんだろうか。交通規制しながら夜中にドガガガガってできるような範囲。でも、それにしたっていつかは、💩流すのも風呂もダメです、って通告を受けての大工事なんて日が来ると思うんだけど。どうだろう。あるいは過去にあったんだろうか。

    こちらは、そんなメンテのために工事を進めているという紹介記事。すんごい深いところを掘っているのだけど、東京って土地は凸凹だからなあ。オランダみたいに平坦だったらもっと楽なんだろうか…。

    https://tokyodouga.metro.tokyo.lg.jp/qc5wrynnjtk.html

    今回はずっと「だろうか」「だろうか」って書いてるな。それだけ興味津々ではある。短期的な停電や断水を経験したことはあるけど、長引いたら生きていけない。1400万人の生活を支える仕組みが用意されており、問題なく使えているということがマジすげえんだわ感謝🙏

    「メトロ2033」っていう小説をもとにしたゲームシリーズがあるけど、東京でもあれと同じような事ができるだろうなあ。個人的には、東京マップの場合にキーになるのは暗渠だと思うんだ。…ま、ゲームの妄想しても詮方なし、災害の備えをちゃんとしましょう。インフラぶっ壊れましたという災害のパターンも考えておきたいもんだね、という無難なまとめで〆だろうか。

  • ふでのゆくまま

    車輪大爆発

    有難いことに、年明け以降夜更けまでお仕事でヒィヒィすることはない。まだない。リモートワーク日にはさっさと仕事を切り上げて、18:00~20:00ぐらいの間のどこかで、お買い物と健康増進お散歩をしている。しかし冬にこの時間帯はもう真っ暗で、その上、仕事帰りの人々で店舗は混雑し、道をいく人も多い。自転車も多い。とりわけ、キッズを保育園などからピックアップした母親のいきおいがすっごい。これから買い物も晩飯の支度もせねばならんうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおという気合にみちた住宅街ノールック爆走などしており、危ない。気が急いていると本当に事故を起こしがちなのでお気をつけて頂きたい。たまにライトが灯っていないマジもんの危険運転もあり、この部分だけはペカペカ光っているluupのほうに分がある。だけは、て。

    悪いことに、配送業者もこの時間は急いている。配り切ったら仕事終わり、というパターンも多いだろう。再配達の依頼も来るだろう。当然、荷物のお届け先である住宅街をうおおおおおおおおおおおおって走り回っている。そんな危なっかしい路面競合たちが居る時間帯に、俺が呑気に買い物散歩をする必要なんて御座いませんぬ。もっと遅い時間にずらしたらどうかと。

    有難いことに、夜更けまで開いているスーパーがある。例えば22:00を目安にするとどうだ。さすがに人はまばらである。並んでいる商品に目を向ければ、総菜お弁当は見込みがないが、この時間まで遅いとばんめしは済んでいるし、無くても別に良いだろう。ただ、お野菜も見込みがないのが残念だ。これは代わりにリモートワークの昼休みにせかせか買いに行くのが良い。でもなー、リモートワークの時は昼休みにうおおおおおおおおおおおおおおお昼寝したいときが殆どだもんな~:;(∩´﹏`∩);:

    どっちにせよ、俺は気楽に自己都合で選べるってのが恵まれている。母も運送業者も致し方なくそんな状況なんだよな。お気楽与太郎の自分にできることは、せめて事故やトラブルの引き金にならんように慎重にお散歩するぐらいなもんか。暗いところで反射するやつ常用するかなあ。なお、こちらが安全に一層の配慮をすると言ったからって代わりに大車輪のご活躍をされてる御母堂の大爆走が許されたわけじゃねえのであって、無灯火で俺とぶつかりそうになったあいつのお子様は悉くお受験失敗すべしである。

    お受験なあ。平日の日付変わったばかりの大よふけ時間帯、予備校の前を通るとまだ職員が仕事してた。ある程度結果は見えているだろう。残念な結果のお子様をどうするのかで、まだまだ忙しい時期が続くんだろうか。親御さんとはどういう相談するんだろうな。残念な結果となりましたがもう一年当校で頑張りますか、的な事を聞くのだろうか。「お前らの教え方のせいだろうが😡」みたいな親もいるんだろなあ。

    お受験様が終わって寒さが和らぐと、すぐに上京祭りが始まる。休日の昼には、仲介不動産の兄ちゃんと連れ立って歩く親子を見かけることになる。自分が東京に出てきた当時とはどれほど状況が違う事だろうか。俺の時代はインターネットもスマホも無かった。そこらの不動産に飛び込みで物件紹介してもらって何件か見て決めた。今ではいろんなノウハウも知れ渡ってしまって、不人気物件には全然入居者が見つからないんじゃないか。上京勢は良い部屋がないから借りるのやめるってわけにはいかないし、何度も部屋探しに東京と地元を往復なんてしてられないから、下見ができる数だって限られている。足元を見られたら弱い。

    個人的には、安ければなんでも良いというのは寧ろ学生が選択するべきではなく、それに付随するリスクをとる腹が決まった人がやるべきだと思う。安いエリア、物件ほど隣人ガチャは外れやすいもんだ。後は、真面目に関東大震災のリスクも考えたほうがいいのかな。最終的には揺れの瞬間どこに居るかという運頼みの話ではあるのだけど…。

    仮に物件の選択肢AとBで、月に2万の差があったとする。満足いく条件がAで、不満が残るほうがBとして。年間24万円、4年で100万近くコストが違う。この差はめちゃくちゃ大きい。家賃が安いほど相対的に大きい差になる。でも、選択肢Bを選びつつ、後から不満点をお金で解決しようとしても、月に2万で解決することは少ないと思う。いずれにしても外れの時は外れなんですけどね🤣じっさい転がしてみないとわからないもんであります。

  • ふでのゆくまま

    それで、2024年は

    いつものように暮れて2025年が厳かに転がり込んできたのです。ここ数年は正月に仕事が入る事もなく、平和に年を越しております、尤も、正確には2024のうちに寝てしまう。初日の出をこの目で確かめるべく暗がりの中、お外にでるのでありました。この試みはときおり目論見通りとはならない。日の出前に帰宅してしまう愚鈍さ、今年もそんな事態になり、留守番で拗ねている2025を横目に寝てしまう。

    今年は都庁へ足を運んだ。非常に寒さは厳しく、滅多な事では身に着けないマフラーを首に巻いた。初詣のつもりなのだ。神仏に捧げるほどに清らかな祈りはもはや持ち合わせておらず、曰く、金が欲しい健康が欲しい不条理なラッキーが欲しい許しが欲しい煩悩も八百万抱えれば英雄なのだ。わははは。これが人の為ならば何かしら素直な心持ちで願をかけることもできるんだろうか。為政がうまくいきますように、とお祈りしてみた。

    外人がなにやら賑々しく闊歩している。飲み屋の前で髪の長い女が土下座している。ホームレスの住まいが都庁への道に連なっている。まさか襲われはしないだろうとは思うが、新年早々、という気持ちが勝り、地上の道を歩く。正月では無かったと思うが、アメリカ大使館のあたりを早朝あるいたら屈強な若い警官が配備されていてびびった。一方で都庁にはポリスメンの気配もない。ああ武闘派の事ム所はやはり気合が違う。あるいは我が国のおもてなしか。

    流石に歩きどおしで足腰がしんどくなってきた。服飾学校のビルがやはり目立っていていい塩梅だ。オフィスビルに仰々しく飾られる門松を横目で見るのが好きだ。竹の緑の鮮やかさに、あれは本物の竹なのかしらんと疑問が沸いてくる。老舗デパートの前で、法被姿の職人が梯子をかけて注連縄の準備をしているのを見かけた事がある。そうなると門松も本寸法のものだろう。

    独自言語と思しき盛大な歌声が聞こえてきた。うわおっかねえ。こっちへ近づいてくる感じがあったので足をはやめ、駅へ。若い頃に何度も立ったホーム。同じ場所に立つも、電車の時刻と行先案内の表示がほぼ見えない。じじいであらせられる。

    年に一回と決めている飲酒をする。スミノフアイスを一本。オロナミンCみたいにグビグビっと。そういや、ノンアルコールのチューハイをよく飲んだ。2024も麦茶と味なし炭酸水をガブガブと飲んだが、その次に多く飲んだのがノンアルチューハイかもしれない。特に麦茶の季節が終わってからは「よわない檸檬堂」と「のんある酒場 レモンサワー」どちらかの350mの缶を週に1本は飲んだかもしれない。箱買いしたらとめどなくいってしまいそうなのでやめた。体に良いものではないだろうし、良い判断だった。

    風呂に湯を張ってそのまま溢れさせる、スープを煮込んでいて焦げ付かせる、という事があったので、キッチンタイマーを買った。もちろんスマホにもタイマー機能がついていて、それを利用していたんだけどそこの操作もしてないからこんな事が起こる。さらなる予防策というやつで、今のところ役に立っている。2024年一番良い買い物だったかもしれない。

    「ベストバイ」って誰が最初に使ったんだろう。「マストバイ」というのも見かける。上記のキッチンタイマーの他には、ユニクロのフリースが安いのに暖かくてベスト候補だ。ググったらアメリカにbest buyという家電企業があった。Best by~で賞味期限の意味になる。消費期限はexpirationなのは知っていたけど、これは有用な学びであった。ベストスタディ2024候補…2024は終わったので2025の候補とする。…なんだそれ。思い付きで言ってるだけにしてもしょーもない。学びは全部ベストであれ。数が足りねえことが問題なのよ。

    2025も良い学びでやっていきましょう。できてないからこんななんです。

  • ふでのゆくまま

    市中引き回しの刑

    お散歩ルートは各自何パターンかお持ちだと思うのですが、特定のコンセプトや名所を巡るような広く知られたコースというのも、御座いますね。私が実践したのは、山手線一周。あと一直線道路。新たに、市中引き回しされてまいりました。キリキリ歩けいっ!

    山手線一周のエントリ

    一直線道路のエントリ

    結論から申しますと、江戸ではなく東京2023を歩くので、そんな風情があるわけもなく。もうちょっと由来のある場所やら、寄り道すべき場所やら調べれば、楽しみもあったかもしれません。ただ、距離も長いし時間的な都合もあるので、難しかったかも。淡々と歩いた。具体的なコースについては、デーリーポータルでやっていたものと同じです。ネットで拾えた地図も、その時に参照されたものらしい。改めて読んでみたら自転車やんけ!なんだよ!

    ルート図

    https://www.google.com/maps/d/u/0/viewer?mid=1EjEUgbgv0RntB16moX9wXghzWJU&hl=ja&ll=35.68084416360078%2C139.76622999999998&z=13

    ※なお、2023年5月時点では、江戸橋から日本橋のあたりが大規模な開発工事をしており、地図通りに進めませんでした。

    先人の企画

    https://dailyportalz.jp/kiji/130416160338

    行程と雑文

    真面目に蘊蓄読みたい方は上記のリンク先をどうぞ。以下、おっさんの散歩メモでしかない。いつものように写真とか無いです。

    1日で28kmは不可能ではないけども、ちょっと気軽にやってみるという距離ではないので、デイリーポータルを参考に2日に分割。初日は小伝馬町を出発して、四谷まで目指してみます。マップ上では赤のルート。全行程通して言えることですが、大通りを通ることが多いので、結構な頻度で信号待ちが発生。また、大使館巡りの時も感じましたが、都心部であるために坂が多い区間があります。

    初日。十思公園スタート。徒歩で浅草方面へ。大通りを浅草寺までただただ歩く。スカイツリー近くで見るとバカでかくておもろいが、これでも1kmほどの距離がある。いったん、雷門を通り過ぎて待乳山という所へ。太鼓がドコドコ鳴っているのに耳を傾けて、折り返して雷門へ戻る。大きい通りを上野へ。流石にこの辺は歩いたことがない。お店の屋号に古そうなのが多いあたりが、江戸の雰囲気を残している…ような気もするが、別に令和にそんな屋号で開くこともできるもんなあ、と思うとやはり白けてしまった。

    上野アメ横周りに屯する隣国の人たちからも距離をとりつつ、湯島天神方面へ上り坂。東京ドームへ下り坂。親子連れなどに揉まれながら飯田橋へ。神楽坂を上り、住宅地をうねうねとあるいて、DNP帝国のビル群を眺め、市ヶ谷へ出る。ここ市ヶ谷でゴールの予定ですが、勘違いしていたため四ツ谷まで歩いた。次を四ツ谷から始めれば問題ないので、電車にのって帰宅。疲れた。

    後日、青のルートに取り掛かります。四谷より、迎賓館の脇を通って赤坂見附へ向かいます。ここで警備の圧に負けて反対側へ渡った結果、道を間違えます。赤坂見附からしばらくは飲み屋街を真っすぐ。夜遊びを終えた人々で、まだ朝なのに思ったより賑わい。日枝神社のごっつい鳥居と階段を横目に進み、大きな通りを渡る。警官がぞろぞろいて、わざわざ来たのに進路変えるのめんどいからそのまま進むと、付いてくるやつはいるし声かけてくるやつはいるし、なんならにらんでくる。アメリカ大使館でした。坂の上から通った事はあるけど逆なので気づかなかった。

    虎ノ門ヒルズあたりから、国道1号線を進む。延々進む。全く面白くも無い…。この先2時間ぐらいは休憩できる場所にも乏しいので試される方はお気をつけて。第一京浜に突き当たったら、左折。また道なりに真っすぐ。山手線一周の時に歩いた道。当時は高輪ゲートウェイ駅が無かった。

    しかし、江戸の頃もこんなに道幅が広かったんだろうか?新橋を超えて、まだ真っすぐ道なり。銀座に出る。自分のここまでの人生では縁の薄いブランドショップが並んでいて興味深い。まだ開店前なので人通りも殆どなく、店員が大童でディスプレイの準備などしていた。鍛治屋橋通…の一本北の路地を右折。所々、裏路地的な場所を通るが、何か意味があるのか地図データの都合なのか。宝町付近では横断できないところを通過しているので、適当にアレンジして合流。ここから先は妙にカクカクと曲がる。当時の江戸では必然だったんだろうか。何かでっかいお屋敷でもあったかな?

    ここから先、ゴールまでは知っている道もあり、個人的には懐かしさもあった。だいぶ疲労がたまっていたので、どんよりとした足取りで公園に到着。電車乗って帰る。

    退屈だったような文章になったけど、いつものお散歩って感じでした。距離が長いので疲れた。歩いた時間帯は休日の朝早く、商店などが開く前のなので、人通りは控えめだった。もっと人通りがあったらさらに疲れていたことでしょう。

    以上です。

  • ふでのゆくまま

    生きたここちを耳にして

    深夜から早朝のお散歩は若いころからの趣味。…趣味というには頻度に偏りがあるけど、人生の半分以上は楽しみとしている。若いころはそれこそ夜の2時~3時に家を出て、朝の日の出ぐらいに帰ってくるようなことを、季節を問わず続けていたと思う。眠れない夜は道端で過ごした。オホー格好いい。ここ十年ぐらいは、ざっくりと日の出前に出発するのが目標となっている。夜明けの空と街中を眺めるのが楽しい。すると当然、日の出より前には外に居たいわけだ。夏至の頃には4時前に起きて出かけることになるけど、涼しい季節になってくると日の出の遅くなるにしたがって家を出る時間も…これがあまり変わらないか。最近はコロナであまりやらなくなったけど、始発電車にのってお散歩スポットへ出かけることも時折ある。だから真冬でも4:30~5:00ぐらいにお出かけが多かった、この冬もきっと。夜明けに感激を覚える健やかさが、まだ自分にも残っております。世界はそれを自己愛と呼ぶんだぜ。

    さすが東京。休日の日の出前という時間帯であっても、大通りには車の列が絶えることがない。夜明け前に走る車両はどことなく威勢が良い。闇にペカーと光るヘッドライトは何か勇ましく、また欲深く。例えばそう、荷物を積んだ大型のトラック。お陰様で日々便利にくらしております。東京都内ではお神輿みたいなペカペカしたの見ない気がする。一方で…普通の乗用車だって、こんな時間からお出かけには事情がある。レジャーに遠出しようってもんならどうだ。そりゃあ気合が違う。またどうだろうか、電車が走ってない時間に稼働しているタクシーは、実際に書き入れ時だろうさ。時折、歩いている自分の姿をみとめると、客だと思って、近くで速度を落とす。これに一切の無視を決め込む。心苦しいが、わてくしお財布も持ってませんことよ。これは大通りというよりも、なんとなく線路に沿っているような道で良く起こる。

    絶えることなく行き交う車も、年末年始にはだいぶ少なくなって。広い通りを渡る折に、横断歩道の途中で立ち止まって、四方に車が見えなかったりしたらテンション上がる。めんたまペカー。こういうシーズンには、”同業者”の姿が目に入る事もある。そんなときは、僕はワクテカなんかしてませんよ、スンと眼をふせ大人しくすれ違う。何か事情があって歩いている風を装う、というのはお互いに難しいものだ。朝の四時に都心部に徒歩で通勤してるやつなどいるわけない。たまに、doggo連れたhoomanの姿を見かけることもある。しかしこれは別の業界に属するというのがオリエンタルでは常識だ。尤も、日の出前ほど早い時間にはまず見かけない。夜に見かけることのほうが多い。人間の事情を考えればこれは当然なことで、仕事終えて帰宅、風呂の前に散歩して就寝という組み立ては効率的だろう。平日でも、仕事に出かける前に早起きして済ます人もいるとは思うが、これは大変だろうと思う。習慣になっちゃえばこなせるもんだろうか。最近は犬を繋ぐリードや首輪が夜にペカペカしている。安全のためだろうけど何より見た目が面白くて楽しい。繋がれているほうがちょっと落ち着きがない動きをすると、スター取ったちびマリオみたいだ。もし人間のほうに落ち着きがないと狂気のエレクトリカルパレード見参、遁走せねば命が。南無阿弥陀仏。

    この夏の終わりぐらいから…。平日の生活時間帯に散歩する機会が増えた。おおよそ20:00~22:00ぐらいか。昼の勤めの人は大体帰宅して、ほとんどの人がまだ起きている時間だ。窓から誰かの会話が漏れてきたり、風呂からシャワーの音が聞こえたりする。楽器を練習している人、騒がしいキッズ…。明かりの灯った窓を見上げながら歩めば、生きた心地が耳に届く。節度ある暮らしの美しさが、芯に染みる。

    大学生の頃。友人と二人で冬の夜道をとぼとぼ歩いていて、窓の下を通り過ぎた。なんでもない、オレンジの明かりが漏れただけの窓だけど、とても象徴的に見えた。一瞬で温かい、優しい…暮らし?が頭をよぎった。将来、こんな幸せそうな暮らしができるだろうか?今は何のプランも望みもなく、ぼんやりと過ごしている日々を経て、自分にこのような暮らしができるものだろうか。デビューすらしてないくせに世の中に辟易していたんだ。その時、その場で友人に話してみた。あの窓が幸せそうに見えて、逆に自分の将来が不安になったと。友人は俺も同じことを考えていた、と答え、二人で笑いあった。笑い声は長くは続かなかったと思う。

    あの夜、あの窓が開いていたら。何か聞こえていたら。ここ数日絶えることなく耳にした明るい声の会話、温かいシャワーの音があの窓から聞こえていたらならば。自分はきっと、聞こえないふりをしたに違いない。

    十月。