えさのじかんだ
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「畑のお肉」は肉でも大豆でもなんなら「畑のお肉」でもなかった
自分が物心がついたぐらいの昔から、「畑の肉」って言い回しがあった気がする。子供の頃、親戚のおっさんに「これなーに?」て訊いた場面の記憶が…あるような、ないような。大豆の豊富な栄養と、加工して肉に近い食感になるからそういうのだろう。…だろう?うん、そうだなあ食べたことがないなあ。
大きい袋に大袈裟に梱包されているが、中身は随分と小ぶりなサイズの破片になっている。悪く言えばボロボロだ。そのままひょいとつまんで一切れいただく。…美味しくない。恐ろしく美味しくない。正直に言いましょうクッソ不味い。肉でもなければ大豆でもない。食べた事のないものを口にした、と言うのが一番素直な感想だろうか。しょんぼりしながらもムキになってそのまま全部いろんな味付けでむりくり消化して、パッケージを確認する。お湯で何分とかレンジで何分とか書いてないので、加熱せずとも衛生面に問題はないと思う。お湯で戻す必要もありません、と書いてある。
じゃあ加熱して食えば美味いのだろうか?パッケージには回鍋肉なんかの調理例が載っているが、この感じでは冗談キツイなあと。この畑の肉を名乗る謎のたんぱく質を、すこーーーし油を引いたフライパンで軽く炒めて、塩胡椒で頂くことにする。ううむ…熱が通った分、食感は肉に近づいた。しかしこれはやはりちょっと…。これなら普通に大豆を食います。何より謎の酸味が果たして食べて大丈夫なものなのかと疑問を抱かせます。2パック頂いた自分の体は無事ですんで大丈夫なんでしょう。
これは、宗教や信念により肉を口にできない人専用のアイテムという感じでした。仮にそういう人でもこれを美味しい!と言うのかはたまさか疑問です。何か味が濃くてボリュームのあるもの、ということならば、自分ならチーズが厚揚げあたりを所望したいですねえ。お堅いベジタリアンは乳製品も食わないとは聞きますが。
あゝ残念な一品でした。
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米を炊く
何年かぶりに米を炊いた。
前回は記憶に残る限りは夏だ。ウナギのかば焼きを買って、勢いで飯も炊いた。だいぶ前だ。しかし記憶にないが、ふぇーすぶっくの記録によれば2014年の11月末に飯を炊いて食ったっぽい画像が残っていた。麻婆豆腐が白米の上に乗っかっている。レンチンご飯かな?麻婆豆腐も自分で作ったものかわからない。
肝心のウナギの画像が発掘できない。ウナギと飯ではなく、買った店の暖簾が映っている画像だったことは覚えている。それを探しているうちに、別の米を炊いた画像が発掘された。鮭のハラスと大根の炊き込みごはんだ。3合近いのをブランチと夜で全部食ったのを覚えてる。しかしそいつは2012年の画像だった。ウナギの件、そこまで古かっただろうか??その時も飯を炊いたのは久々だったという事を、勤務先で喋った筈で、喋った相手はあの地震より後に勤務先に入社されたのではなかったか…?そので絶対に2011年よりも
あ、あった。うなぎは2013年の6月だった。途中で発掘した麻婆丼の画像は覚えがないので、たぶんそのうなぎの時以来じゃないか、今回飯を炊いたの。今回炊いたのも、特に特別な理由がないというのもいかにも自分らしいわ。スーパーで900gとかそういう少ない量の米を見つけたので買った、というだけ。総菜売り場にあったホッケの開きと、納豆をかって、たらふくホクホクの飯をくった、というお話でした。
…炊飯器自体に火を入れたのは一年ぐらい前にあった。保温機能でローストビーフを作れるというものだけど、安いモモ肉の塊で作ってもイマイチでありました。牛丼に乗ってるような切り落としを多めに入れた野菜炒めみたいなの食うのが自分のような人間には向いてるのよ、たぶん。しかしスーパーで買えるぐらいのクラスの肉だったら奮発してみても面白いかもね、炊飯器自体がまだ動くのは確認できたし…。
食ってから書くのが嗜みというもんだろうけど、まあまだ肉を買ってもねえのよ。
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ウニ is not
ウニ不味い。
多分30年ぶりぐらいに口にする機会があった。結構な高級店でしかも他人のお財布という有難い機会でありましたが…美味しくなかった。なんというか…何味なんだあれ。いやウニ味なんだろうけどもさ。味も香りも特にこう、訴えるものがなかった。一緒に食した人々はおおむね好評だったので、こういう味なんだろう。あゝこれは決まってしまった、ぼくはウニを好んで食べることは生涯ない。結論が出て、粗末な人生がまた一歩前へ進むことが出来たのでありんす。
しかしもう一つ発見があった。ウニはウッペッペッペと吐き出すものでもなく、食後に気分が悪くなるものでもなかった。しっかりと味わい、そして美味しくないと思った。ノーリアクションという表現が一番近いか。いや伝わらねえよ。この現象はきっと、高級嗜好品あつかいしている世間が誤っているんだろう。こんな事言ったらお財布の人は塩水噴いて怒りかねないが、ちゃんとご配慮もしましたよ。その場でカラスミ初体験もしようと思えばできたが、ご配慮によりご遠慮。これも高いんでしょ?
他に食べた事ない高級品で、しかし世間で比較的馴染みのあるもの…というと、スッポンとフグ。どちらも「それ用」のお店があるから食べようと思えば食べれるんだろう。しかし食べようと思わない。高いし。なんというか、グルメじゃないんですよねー自分。
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お前が揚げ物を覗き込んでいるとき、揚げ物もまたお前を覗き込んでいる
油のストックをタブらせてしまったため、調子にのって揚げ物をしようと思いつきました。以下実践。画像がないのはいつもの通りです。ブログに載せないだけで撮ってあるパターンもあるのですが、今回は撮ってもいません。
一人暮らしの経験がある人ならお分かりかと思いますが、揚げ物ってほぼ絶対しません。一人分でも結構な量の油が必要になりますし、使用済みの油を使いまわすにしてもその消費にはなかなか時間がかかります。そもそも油が用意できれば後は放り込むだけなんで、大量に作るのが簡単。だからって作り置きしても美味しくはない。作り置きならそこいらで売っているという話です。どうせやるなら揚げたてをすぐ食べたい。そして、煮物じゃないのでその場を離れるのは危ない。などとそれっぽい理由を引っ提げて大量に作ってそのまま食うという所業に。緻密に演算すれば理論上は一週間分ぐらいのカロリー採れますね。浮動小数点とは揚げ玉のことです。
勿論、今まで一回も揚げるという事をしたことが無いわけではないのです。酢豚をレシピ通りに作るかーと片栗粉付けて揚げましたし。でもあれは、揚げる分量も豚ロースのブロックを数切れ程度です。油もロース肉がぎりぎり油が被るぐらいの量で済ませました。今回やろうとしているのは本当の揚げ物です。天ぷらです。勢いでモリモリ食べます。では何を揚げましょうか。大体なんでも食えるという話なんですから、スーパーで適当にそろえた材料はというと、いんげん、ちりめんじゃこ、玉ねぎ、銀たら。まーチョイスは適当。一番簡単であろういんげんから行きました。洗ってヘタを取って衣付けて油にポイ。
IH調理器は温度が指定できる揚げ物モードがあるんですね。キャノーラ油を過去にない分量片手鍋に満たします。油が入った鍋の重さよ…背徳感に眩暈を覚える。しかし温度計もないのに具材の入れるタイミングはどうすれば。適当に衣を油に落として、ジュワと揚げ玉が生成されたので頃合と判断しました。細長いいんげんを菜箸でつまんで衣に浸し、鍋に滑らせるように入れます。静かにシュワシュワと音を立てて油に気泡が認められます。どのぐらい揚げればよいのかも謎なので、まずは一本で様子見る。どう考えても1分ぐらいで良いよね。
拾い上げて、ちょっとフリフリして油を落とし、キッチンペーパーにダイレクトに載せる。ふーふーしてやや冷まし、塩振って食ったらうわなにこれやばい。喜びがあふれてくる。美味いというのは感情なのだ。感嘆の深くて甘いため息が漏れた。「っほぁあああ…」って。正直、ここまで美味いとは全く思ってなかった。いんげん10本ほど狂気のテンションで鍋に放り込んで、揚がってはじゃがりこみたいな勢いで食いつくし、ちりめんじゃこのかき揚げも3枚ぐらい揚げたのを一瞬で食い尽くし、玉ねぎはただ油っぽいだけになったのでかき揚げ一個で終了し、銀たらは揚げる前に綺麗に骨を抜く方法がないかが課題となったが兎に角やばい。美味い。うめええええEEEEEEEEEE
そして油もやばい。当然、衣に吸われてかさが減るのだけど、これだけの量の純然たる油を食するというのはやばい。見た目にももちろん減っているし片手鍋を持ては軽くなったのがわかる。背徳。加熱すれば発火するんですけどこの油ってものは。摂取カロリーとかそういうレベルの議論じゃない。医療機関の診察が必要なのでは。人体発火現象の答えこれじゃん。こんな肥満体に許される行為ではない申し訳ございませんでしたもうしません。でもね、クジラ肉が手に入ったら許して。クジラ肉の天ぷらが実に美味いらしいのでその時は容赦なく。
ここで第二ラウンドを翌日に行ったのは流石に暴挙だった。油処理関連を忘れてて、鍋に油を入れたまんまの状態。この第二ラウンドの具材と一緒に吸わせるテンプルを買いましてん。油を足して加熱。第二ラウンドの具材は、しいたけ、ちくわ、いか、茄子。ちくわがマジやばい。安い弁当の隅っこにいるだけの彼が、揚げたては気が狂うほど美味い。世界がバグる。美味いんだけどもうおっさんですから、油物への耐性が流石にアレで、二本ぐらいで一旦休憩。しいたけも美味しいんだけど、すぐに飽きるというか…。6つも揚げるんじゃなかった。イカもなんかこういまいち。何の下ごしらえもなく放り込んでいるだけだからな。ちゃんと作れば美味いんじゃないか。茄子はこれまた美味い。これは塩よりも麺つゆだな。
まーーーとにかく野菜が美味いのはビビる。サクサクした衣とジューシーな中身の組み合わせ、そりゃ天ぷらだからそうだろうって話なのかもしれないですけどもー。実践してみたらここまで美味いとは。野菜嫌いの子供にはまず天ぷらが良いんじゃないか?炊き込みごはんとかカレーなんかでも良いのだろうけど、卒業後に野菜メインで食わす時のハードル高い気がするんだよな。天ぷらで食えたなら、そこから温野菜とかスープはそこまでハードルが高くはないのでは。ああでも天ぷらのサクサクの感じは他の調理法では絶対ないからなー。
自分が嫌いな食材を実際に天ぷらで食えたらこの仮説も真だろうと考えを巡らせると、自分の嫌いな食い物と天ぷらの相性が良くなさそうであります。生および半熟の卵、いくら、うに。山芋も好きではないが、細切りにして海苔で巻いて揚げたものを食べた記憶がある。素揚げだった気もするけど、揚げればいけるもんだ。
ま。月一ぐらいで食うことにしましょう(食いますとも)一人用フライヤーなんてものも安価に売ってるんようだけど、置き場所もとるしメンテナンスとか面倒そうなので、今使っている片手鍋で良いかな…。
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という天ぷら祭りから一カ月。流石にクジラ肉には出会えていませんが、忘れていました。魚肉ソーセージ。第三ラウンドは魚肉ソーセージとサーモン。サーモンはフライが大好きですが、パン粉なんか買ってしまうとあまってしょうがないので天ぷらでいきます。魚肉ソーセージの天ぷらといえば、何か思い当たるフシのある人もおりましょう。そう、一部立ち食いソバのウィンナー天蕎麦です。魚肉ソーセージをどうやったらウィンナーと呼ばうのか謎だけど、あの味わいはちょっとノスタルジー。最近は売ってないんじゃないかなー。作法にのっとり、縦に切って揚げます。勿論不味いはずもなく…。なんか感動も薄れてきて筆が進みませんが、食は進みに進んだご報告を以て揚げ物祭りの〆といたす所存。
埋め込み動画は人気落語家、柳家喬太郎師匠の「時そば」なんだけど、本題に入る前の枕の内容が後世の語り草。次の天ぷら祭りは蕎麦も用意しましょう。
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めしにしましょう(3)
前にもどこかに書いたっけ?「めしにしましょう」という漫画作品がお気に入りであります。初期~中期のこち亀のような、登場人物が無茶苦茶をしでかす痛快さと、実際に行われたであろうめし調理の緻密な演算が良い。よかったですね。最近3巻がでました。
めしの好みって人生を通してみれば何度か変わっていると思う。しかしいつ、どこで変わったのかは定かではない。ある日、何となくトライしてみたら苦手なものが美味かったとか、逆に久しぶりにごちそうを口に運んだら美味くもなんともなくなっていてがっかりしたとか。そう、食ってみるまでは気付かない。医学的な原因がどこかにあって、食い物の好みがある時変化していようとも、それその対象を食ってみない事にはなにも判明しない。そういえば知人に嫌いなものに定期的にトライしているという人がいるが、良い試みなのではないかと思う。大人が食い物が好きの嫌いの真剣に向き合う物でもないという声もあるだろうけど、何度か試しているうちに食えるようになっていたことが判明したり、食えるような調理法が判明でもすれば、例えば会食の席なんかで頭を回す必要のあることが一個減るってもんだろう。
会食の席ってまあ要するに勤務先の飲み会とかそういうのも含めてざっくりと。話のタネにトライしてみる人も多いと個人的には思う。他の人に召し上がって頂けば、無駄になることもないですし。自分はこれでめかぶが頂けるようになった。甘酸っぱいワカメの根っことか言えば良いんですかね。何で嫌いだったのかも良く分からない。納豆やおくらなどネバネバいけるのに。一方、山芋というかとろろがだめだ。飯にかけても美味いとは思えない…。
好きな食い物の好みはより狭く固定化されていくもんだと思う。絞り込みだ。カレーが好き→辛口より甘口が→豚より鳥が。そう、カレーぐらい幅が広いと、自分で作る自分の好みのカレーは世界に一つのレシピ感があって誇らしい。
以下、世界に一つです。
玉ねぎは雑にみじん切りにします。1cm角ぐらいでも全然良い。肉は大きい塊を、大きめに切り取ります。口に入るサイズなら良いです。手に入れやすいのは鳥のモモ、豚のバラとか肩ロースあたり。牛はカレーにはイマイチと思われます…。あとはカレールーを用意します。たまに人参が入りますが、入れるときはこれも大きめに乱切りに。
鍋を温めたら軽く油を引き、肉と玉ねぎを同時に放り込みます。人参が入る場合は、先に人参を適当に炒めます。肉の表面に火が通ったら、火力を弱めて蓋をして、蒸しつつ時折かき混ぜます。15分ぐらいでしょうか。ルーを入れます。多めに入れます。目指す仕上がりは、お玉に掬って逆さにしても簡単には落ちないぐらいの、実に濃い仕上がりになります。そのため、水よりも先に野菜の水分でルーを溶きに行きます。結局は水で微調整しますが、兎に角濃くします。
肉に衛生面で問題がないレベルまで火が通れば出来上がりです。煮込むとかしません。玉ねぎが口の中でややジャキジャキ言います。肉も人参も大きいので噛みごたえがあります。ご飯やうどんにかけず、このまま煮物のようにいただきます。粘性が高いのでちょっと冷ませば箸でも行けそう。ルーはジャワカレーの中辛が一番好みでした。
こうして作ると、なんといっても香辛料はもとより塩分の濃さが脳にガツンと来ます…。麦茶や無塩トマトジュースなどでガブガブと流し込みますと、恍惚の笑みです。どこぞの著名な弥勒菩薩もこのカレー食っている姿が彫像されたに相違ないのです。
アルカレーイックスマイル(2点)
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パル