ふでのゆくまま

彼のことを「いおり」と呼ばせてもらう。なぜ、って本人がそう名乗っているんだから仕方がない。その正体は、というと、→の方にリンクがあるのでどうぞ。面八句。

唐突にいおりの姿が目に入ったのは電車を降りてすぐの、商店街の中ほどだった。こちらは思わぬところで見掛けてぽかーんと口を開けているのに、さも当然といった風でにまにましている。「いよぅおひさし~」と手を振っている。なんなのだ。それ以上に驚いたのは、この土地勘があるような素振りだった。八百屋のまん前に臆面もなく車を留めていて、私に乗るように促すと、店主のにいさんと、んじゃまたいつか、などと挨拶している。助手席で揺られること数十分、暢気に楽器の話などしながら、目的の浜に着いた。既に日は傾きつつあるが、穏やかな暖かさで心地良い。砂浜に靴のまま降りてもまだその熱さを感じることができた。いおりはそこいらに腰掛けてなにやらスケッチをしている。俺はすることもないので、のっぺりと立ち尽くしいろんなものを見ては、深呼吸していた。確かにこの場所で良いはずなのだが、することもないとはどういうことか・・・。

ポケットでスマートフォンが震えた。取り出すと、着信は母からで、テレビ電話モードになっている。しかしこまった、応答の仕方がわからない。適当にいろいろ触っていると、画面の母が話し始めた。もしもーしと声をかけるが、こちらの声は届いていないようだ。「もおおしいいいいもおおおしいいいいいいい」と声を荒げてみたが、母ももしもーしと繰り返すのみでどうにもならん。いおりがそれに気付いて、どしたい?と近づいてくる。母は留守番電話と勘違いしたのだろう、要件を話し始めた。父の行方がわからないと・・・。驚いてスマートフォンを手から落としてしまう。画面の母の姿が消えた。

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目が覚めた。腕の上には蜘蛛が這っている。息が荒い。大変に疲れている。

4件のコメント

  • いおり

    なんかのフラグか!
    また機会あったら遊びたいねぇ。
    4月からの学校を首になったら暇になるぜー。

    • いしにょ

      クビて・・・。しかし半年先の話かー。おっさんトークしようぜー。

    • いしにょ

      おお、そういえばすっかり何も連絡しておりませんな・・・。まあメールでも送ってみましょうぞ。

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