ふでのゆくまま

雪の降る街を

「降るらしいよ?」「へえ」

事務所の窓を開けると牡丹雪が舞っており、見下ろした車の屋根にははっきりと積もり始めていた。息を吐いたらゴジラになったのもずいぶんと久しぶりな気がする。事務所をでて、濡れない様にしながら不恰好にカバンから書類を取り出し、ポストに収めるころには体の半分が雪に覆われていた。ばふばふと払いのけて、ふと、これもずいぶんと久しぶりな気がする、と思った。雪合戦のときの、雪玉を食らった感覚は実に独特で、みんなよけるフリをしながらも当たってはおおはしゃぎでさあ。どうせ最後には人型にダイブして雪まみれ。雪の中でかくれんぼして、「死んじゃうよばか!!!ああもう!!!」ってタカユキ君のカーチャンに怒られた。今考えると本当にしんじゃうよな、あれ・・・。

翌朝。積もってない。郵便受けの上にわずかに残っていた雪を握り固めて、溶けるまでずっと握っていた。硬く硬く握り締めた。電車が遅れるかもしれない。急ぎましょう。急ぎましょう・・・・。

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