どくしょかんそうぶん

「ピエロがお前を嘲笑う」を観た

出ました!どんでん返しを売りにしてくるやつ。やまとことばでいうところの、地雷臭がします。

世間の評価でいわれているのと、映画の宣伝文句で言われているのでは全然期待値が違う。どちらのタイプの評価にしろ、本当に腑に落ちたのは例えば(censored)など案外少ない。特に(censored)はそういう作品ではないのにシンプルな一撃に痺れたものでした。本作は如何に。宣伝文句通りの内容を期待している人は、以下はネタバレなので読むのをやめてくださいまし。

ドイツ語音声と日本語字幕で視聴。原題は「WHOAMI」

物語の終わりの場面、メンタルの病気落ちは夢落ち以上に糞ダサくだらないのでげんなりしていたが、もう少し続きの仕掛けがあり、そんなしょうもないオチとは違った幕切れだった。ああなるほど。それでも、サーバールームで高速タイピングなんていまどき現実味の薄いハッキングシーンは興ざめしてしまう。そうじゃないと緊迫感出ないんだろうなあ…確かに出なそうだよなあ。侵入して見つかる前にデータ頂いて脱出ってやるんだもんな。最近コールドウォレットから仮想通貨盗まれる事件がありましたが、こういうこと実行された?

https://crypto-times.jp/explaining-dmm-bitcoin-outflow-as-of-6-2/

ソーシャルハッキングをキーにしたのは良いと思う。高速タイピングなんかよりはるかにいまどきの仕掛けだ。現代社会のシステムに於いて、人間の存在それ自体が弱点というのは戯言のようであり、本当でもあります。

今時じゃない高速タイピングを”実際に”行ったと思われるあの五分間の場面で、ちょっと違和感を覚えたので見返してみる。その画面の様子が会話と共に何度か映される。日本語字幕で”文章発行”と出ていた文字列「urkundenausstellung」は、ぐぐる翻訳でドイツ語→日本語にして確かめるとその通りだった。ではそのあとは?フォームに入力された文字は「BENJAMIN ENGEL」となっている。これはこの主役キャラの名前だ。項目名は「vorname Geburtsname」となっている。機械的に翻訳すると、ファーストネームと旧姓(出生名)となるようだ。直後、ご丁寧にバックスペースキーを連打してBENJAMIN ENGELを削除する場面が映し出されている。彼女が許諾した「証人保護のコンピュータープログラム」の書き換えではなく、自分の名前を書き換えているということになる。これが伝わらないとそのあとのどんでん返しに繋がらないんじゃないの。ドイツ語話者なら当然わかったんだろうなあ。

MRXの中の人は、あのインターポールの女だと思って観ていたんだけどな。…これは違うの?

世間に残したイメージ。中指を立てたピエロがあった。ベンジャミン単独犯というならば、映像と目の前のベンジャミンを照合すればすぐわかりそう…。まあこれはいいか。

カメラ目線でウインクして映画が終わるなんてのも糞ダサくだらないのでおいおいって思いました。でも、そこで「ソーシャル」という言葉が頭を過ります。視聴者にむかってウインク…まだ何かトリックがあったんだろうか?主人公の髪の色がかわったなあ、ぐらいの印象はあったけど、他に何か?この作品自体が現実の世の中に何か。まさかCicada3301的な仕掛けが?考えてみれば、作中のこの人たちってそもそも何がしたかったんだっけ?と首を傾げてしまった。

ま…どこまで行ってもエンターテインメントではあるので、まずまずの作品でしたと。そんなとこ。

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