リーマン bros
「というわけで」
賑やかな会場の中ほどのテーブルに、男が三人。一人は場をリードして話をはじめた陽気な男、もう一人はその男の連れ、もう一人は何を食べようか物色しているところを、陽気な男に捕まったって按配。
ヨウキ:「こうしてデザイナーなんて職にありついたってわけだ。連れはそこの後輩さ」
「なるほど。それはご丁寧にどうも」
ヨ:「さて、自己紹介願えるかな。早くしねえと、スモークサーモン乾いちまうぜww」
「ぼくはリーマンさ」
ヨ:「リーマン」
リーマン:「そうさ」
ヨ:「今日は一人で?」
リ:「ああ、ま、こういう場には慣れてるつもりだったんだが」
ヨ:「だが?」
リ:「あんたがあんまり陽気で、少々面食らってるよ」
ヨ:「おっと?話す相手間違えたかな?」
リ:「とんでもない!」
連れがスモークサーモンとってくる、と言って席を立った。
ヨ:「見たとこ、歳は一緒ぐらいかな?で、何してるのさ?」
リ:「うん?いや特に?」
ヨ:「特に!おいおい、参ったね。俺の話からやり直そうか?」
リ:「ああ、サーモンないらしいよ」
振り返ると、連れが遠くでウェイトレスと一緒に肩をすくめてみせた。
ヨ:「なんだ?サーモンばかり気にして本当に聞いてなかったのか?」
リ:「僕はリーマンだよ」
ヨ:「OK!!ご丁寧にどうも!だけどちょっとまてよ、まあ、これ見てくれ」
ヨはノートPCを開いて、いくつかのフォルダを開いた。画像が散乱している。
ヨ:「フォルダの中でアートしてもしょうがねえのさ」
リ:「すごいな」
ヨ:「だろう?こいつらのうち何割が売れていくと思う?」
り:「あー。二割ぐらいか?」
ヨ:「すごいな。まさにその通りだよ!まあこれが・・・」
また別のフォルダを開いた。ファイルの名前に規則性がある感じだ。
ヨ:「無事に売れていったってわけさ」
リ:「どれどれ・・・ほー。さすがにプロの仕事だな!」
ヨ:「そう!仕事!メシの種!サーモンだけ食えばいいってもんじゃないだろう?」
リ:「ああ、そうだな。」
ヨ:「ところで、君は何をしているんだ?」
リ:「僕は、ま、リーマンだよ」
ヨ:「なるほど!」
ご丁寧に・・・と言いかけて、BGMが変わった。Extremeのトラジック・コミックだ。
ヨ:「こいつは懐かしいな!」
リ:「最近再結成したって噂だがねえ」
ヨ:「おー?そうかい?じゃあHe-man woman haterって曲知ってるかい?」
リ:「なんだい急に?知ってるけど・・・」
ヨ:「あれな、あのイントロどうやって弾いてるんだ?理解できねえよな!」
リ:「あれはな、ディレイのタイムを調整してな。
ノートを倍にしてると言ったら良いのかな」
http://jp.youtube.com/watch?v=Yk_vBQ39C7s
ヨ:「くわしいじゃねえか!ギターも相当弾けると見たよ!」
リ:「ああ、でも最近は仕事が忙しくてな」
ヨ:「仕事!そうか!仕事ねえ!酷いな!」
リ:「まったく!!<censored>だっつうんだよな!」
ヨ:「おお、そうさ!仕事ってやつは。で、リーマン、何をしているんだ??」
リ:「僕はリーマンさ!」
いまいち。