えさのじかんだ,  ふでのゆくまま

サシで。

風のない世界。そのガラス窓は開かれることはなく、窓というよりは透明な壁。常にブラインドが下ろされていて、外の景色を見ることはできない。時折顔を上げると、夕日が漏れてきていることがあって、どんな景色が広がっているのだろうと空想はふくらみ、終には窓ガラスを内側から吹き飛ばす。地面に降りる前の雨の匂いがする。ぐえええ、傘がないとうろたえる勤務中。

予約の時間がだいぶ遅くからしか取れなかったが、それでもやや遅れてしまいそうになり、駅から小走りに駆け出すも雨脚はカモシカの脚のようにピチピチしやがって遠慮なく肩に額にてめえ殺すぞ、こりゃああかんとコンビニへ駆け込み、傘を買う。中国人の店員がそぼ濡れた自分を一瞥して、何も言わずに包みを剥がす。広げたその内側から腐った雨の匂いがし、掲げたその外側にはやがて待ち人の姿が滲んで浮かび上がる。本日も、サシでオフる。

都内某所の豆腐の店。俺の体には少々椅子が狭い・・・。豆腐は美味。隣の席が団体でやや五月蝿い。サシでオフるにはもっと静かな所が良いが、前々回も前回も喧騒であったのを思い出し、「もてなす」というセンスにかけては皆無どころかマイナス一個の光粒子。蒸篭の内側から腐った豆の匂いがする!大変に美味い!

どうでもいいが、前々回というのは店員がマイクで「ビンゴげ~む!」などと始めてしまい、前回は隣の席で客同士が揉め始めるという酷い体たらく。次にサシオフの話があったら相手に店を決めてもらおうか。当方酒とタバコが苦手です。

お会計8900円ほどであったが、当然初対面である仏像が、人見知りなどと言いながら、オフ会初めてなどと言いながら「キモメイツ」などと法学部卒でありながら法的根拠に乏しい縁組を押し付けるので、呪いの言葉を思い浮かべるなどしていたら実に6000円ほどを負担してくれたので素晴らしい人格者であると思い直した。ついでに終電も逃したようなので全くもってお疲れ様なことでありました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)