どくしょかんそうぶん

「Bowling for Columbine」を観た

Amazonプライム枠。

本作は確か過去に一度見たことがある…筈。本作公開以降も、アメリカ国内では同様の事件も何度か起こっている。何なら、数字はもっと派手になっている。違法に製造や取引がされた銃による事件ではなく、そこらで売ってる銃で人が死んでいるというのが、何にもまして印象深い。

どんなドキュメンタリーでも、その他多数の映画と同じ方法論?とか撮影手法で作られていると思ってる。”売り方”とかも一緒なんだろう。作品にはなんらかの主張やテーマがあって…。だから、何かが極端に語られて、地味な事実をセンセーショナルに魅せて。事実をかき集めて切り貼り切り貼り。お陰様で、大変に、学びがありつつもエンジョイできる٩( ”ω” )و 彼は本作より先に「アホでマヌケなアメリカ白人」という作品を上梓している。そちらは読んでいないけど、兎に角アメリカ社会には、良くない事が多いと考えているようだ。後年、ドナルド・トランプ氏へも強烈な批判を向けることになる。

だから…どうせ政府や企業のせいにするんだろうな、みたいな斜に構えた観かたになってしまったかもしれない。「なんでアメリカはこんなことになってるんだ?」という問いかけが一つのテーマなんじゃないかと思ったけど、そこに対する明確な答えはとくになかったと思う。カナダとの対比は面白かった。あの三人組のインタビューだけでも面白い。銃の問題については、ずっと恐怖を煽るようなことを言っているメディアにその責任の一端があるという主張も読み取れた。「敵」が復讐の機会をうかがってる!…そんなホラー映画みたいな文句が通る理由は、アメリカの過去にあるとか、なんとか。ああ自業自得という話?

ここで余談。

オリジナル字幕

Sept.11 2001:Osama bin Laden uses his expert CIA training to muder 3,000 people.

日本語字幕

2001年 9月11日– ビン・ラディンはゲリラを使い—3000人を殺害

英語力が高いわけじゃないから、聞き取りでは見落としてしまうこういう違いに気づくのがちょっと楽しい。これには悪意があるとかそういう主張ではなくて(悪意のものもあるだろうけど)なんでこうなるのか、という事情に興味がわく。このCIA traningとは言うまでもなくゲリラ戦である、というコンテクストが英語側の表現になければ、このように日本語に翻訳されないと思った。もう一つの可能性は、CIAが何を意味するか日本では知られていないという判断。そんなことあるか。あるいは、原文の言わんとすることは誤りなので日本語字幕にそのまま翻訳するのは憚られた。…そんな判断誰がする?ジョン&ポールをビートルズに変えるのとはわけが違うぞ。

余談おわり。

COVID-19を経過して本作を観ると、ワクチン接種を意地でも拒むアメリカ市民の考えも少しわかる。日本にもいくらかいる。まさに恐怖にとらわれて、陰謀論のとりこになった人々、という印象。そりゃあ日本だって水俣病のような例があった。ワクチンなんだから後遺症はある。だからって原発にしろCOVID-19にしろなんなら台風情報までも含めて、政府のいう事は何も信じない!なんてどうかしてる。そんな人たちにもそれなりの考えがあるんじゃないかと思わなくもないけど、正直、どうかしているケースばかり目に付く。世の中にも自分の中にも矛盾を抱えつつ、右に左に、前に後ろにバランスを保っていこうとするほうが普通なんじゃないかと思う。

本作の内容だって、冷静に見ればバランスを欠いているかもしれない。作者には主張がある。そのためにドキュメンタリーと言いながら、どこかで作品に都合の良いようにアレコレしている。何かが極端に語られて、何かが伏せられている筈だ。重箱の隅までつつくなら、モータルコンバットは日本のゲームじゃねえぞ?それでも、その主張のために”やっている”作品ではないだろうという程度に信用できる。

企業が悪い政治が悪いと訴えている。そりゃそうだろうとも思う。でもまた、原因はそこですと言い切れる事はないと思う。じゃあ日本であの数字が”39″なのは日本政府と日本企業のおかげなの?という話にはならない。日本人としては”39″だって信じられないぐらい多い。間違っているか、一般的な報道などの事件以外もカウントしていると確信できる。アメリカ人から見れば圧倒的に少ないが、それを政府や企業が頑張ったからとは言うまい。日本人からすれば信じがたいほど多いが、日本人は政府や企業のせいだ!なんて言わない。「ああいう人」たちですら、言わない。

Is that our expert CIA training, huh?

少々客観的な観点が欠けていても、時に見切り発車で思い切った意見をぶつけてみることに価値はある。それが珍カルトになるのか、人の心を深く穿つドキュメンタリーになるのか、場末の酒場のブラックジョークになるのか、犠牲者多数の事件になるのか。アメリカの隅々までこんなだ、とは思わない。何か特別に事件になっているから、映像になって世界の目に触れる。だけど、例えば警官に車止められて銃で撃ち返す、とか、そらアメリカが特別イカれているって話になるだろがよ。…というドキュメンタリー映画みたいな文句が通るどころか…

作品タイトルは、射撃の練習に人間に形が似ているという理由で使われるボウリングのピンと、犯人が事件当日の朝にボウリングをしていたことから付けられた。犯人が聴いていたマリリン・マンソンに批判が集まるなら、どうして直前に遊んでいたボウリングの悪影響があったのか論じないんだ、と。

物言わぬピンに球をぶん投げるが如く、マリリンマンソンが悪いとか犯人が悪いとか実はボウリングが悪いとかマイケルムーアが悪いとか、議論してもどうなるっていうんだろう。銃だけ規制をしても矛盾を抱えた社会の問題が解決しないなんてことは承知のうえで、先ずは黙って銃をしまえ、話はそこからでも良い。この辺りが市民の願いだったりするのではないか。

ワシントン(CNN) 米連邦政府は2日までに、新型コロナウイルス対策の勧告を更新し、銃器や弾薬の販売店を「必要不可欠なサービス」に認定した。これにより外出禁止令の下でも営業継続が認められる。

https://www.cnn.co.jp/business/35151792.html

なんなのアメリカ。WTF???

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