ふでのゆくまま

みたかのみかた

一人で住む住所を決めて、借主本人が記入する契約書は、初めて鷹を書く子供には窮屈すぎた。かろうじて読める程度の住所、燦然と二倍の実効支配面積を誇る「鷹」の字。親父は知らん振りし、母親は乾き笑いをし、俺ははずかすい顔をし、不動産の担当者は弱った顔をした。田舎町と比べてあまりにも交通量は多く、多すぎ、ちょ、轢かれるwww地理に詳しくなるにつれ、自転車の出番は減った。必要なものは近くにあった。もっと欲しいものは新宿まで。中央特快で15分でいけた。それでも吉祥寺には自転車が便利だったが、ある日、本屋で立ち読みしている間に盗まれ、寂しく盗難届けを出した。GoogleMapが経路案内を始めたとき、実家から三鷹駅まで引かれた線に、心強さを感じた。GoogleEarthが始まった時に、部屋から実家までの道順をずっとトレースした。祖父母が亡くなり、無人になった家にちょっと寄り道をし、裏手の山の墓で、一言奉げた。マウスが机から転げ落ち、地球が回っていた。

鷹にでもなったらどんな風に帰ろうか?東北自動車道を走るトラックの荷台とかで楽して帰るかもしれない。まだ試したことのない水郡線経由で帰るかもしれんな。だけどもう僕が鷹になることはない。そんな夢はもう絶たれてしまったんだ。また八月、ぬめぬめと光る電車で、帰らせていただきます由、よろしくたのんま。

2件のコメント

  • NAF

    なんだかよく分かりませんが、
    お帰りの際はお気をつけて。

    事のついでで恐縮ですが、
    明日から再開することにしました。よろ。

    • いしにょ

      言われて気付きましたが、ニュースとして貼るリンクを間違えておりました。まあ、要するに三鷹の「鷹」が常用漢字から外れたのを仰々しくお伝えしようとしたわけですが、それはいいとして、再開を祝して小躍りすると致します。

      そりゃそりゃ。

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