ふでのゆくまま

炊事場にて生命の惨禍にまみえること

毎年。夏ともなれば水回りの衛生には他の季節以上に気を遣う、という世間の常識がどうにも疎かになる。疎かにしたままでは当然ながらそれなりの事態が発生するわけで、コバエが沸いてしまった。物陰に野菜くずが落ちている、などという理由で発生したりするのだろうけど、一度掃除をし、コバエ取りのトラップを仕掛けて片付いたかに見えたが、再発生してしまって難儀している。もう梅雨も明けていくというに。

こまめに繰り返し対処すれば減っては行くだろう、そうこうするうちに居なくなった。お掃除の上にまたお掃除。憎むべき哉人生。これが面倒で夏場は自炊頻度が下がる。暑くてことことと野菜スープを作る気にもならないし、そもそも食材も冬に比べて傷みやすい。冷たくても美味しいものを作り置きしておくというのが冷蔵庫が普及した世界の知恵ではあろうが、生憎そこもそんな豪勢な冷蔵庫ではございませんでー。とはいえ、何か覚えておいて損はないな。冷凍庫を開けたらズブロッカが入っていた。

コショウは何をお使いか、少し前までゴリゴリと回して振りかける奴をつかっていたん。あれ、確かに大変に良い香りがする優れものなんだけど、あの蓋が一切外れない。捨てる時に分別できず、蓋ごとビンとして捨てた。そういう作りも今時どうなのか。

ツナ缶を買ってきて、玉ねぎとキャベツのサラダにどばどばとかけて食うのが美味い、ふと、賞味期限を見て非常用バッグにツナ缶入ってるの思い出した。取り出して賞味期限チェックすると、半年ほど過ぎている。これは即ち、非常用バッグを一年ぐらいはメンテしていないということだ。どんな惨禍も忘れてしまう。買ってきたのはバッグに入れて、出したほうを食べた。体調に異常はない。そういわれれば勤務地の備蓄もチェックしていない。

コバエトラップには十数匹は捕獲されていた。それが4つほど。憎しみを込めて燃えるゴミへ、六畳一間の我が家では蚊取線香のスイッチがはいり、虫を殺める、そこに慈悲の心がなかったと言います。

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