どくしょかんそうぶん

「鑑定士と顔のない依頼人」を見た

ネタバレですよ。英語での原題は”The Best Offer”

騙された!の一言で説明がついてしまう物語だけど、肝心のところは具体的な説明をしていない。端折っているともいえるかな?よって、キツネにつままれたというような、うすらぼんやりとした感じが出ていると思う。観客に想像させる手法とか言えば良いんですかね、こういうのは。対象の物品が山のような美術品コレクション、つまり価値に揺らぎがある。ある人にとっては至宝であり、ある人にとっては滑稽なオブジェ。動いた金で言えばそらあ大した金額で、こいつをすっこーんととられるわけだ。いやぁ見事にやられましたなあ、と。

さて。

愚鈍な自分でも映画をいくつか見ていると、事件は登場人物が起こすと気付く(当たり前だ)本作も豪快にどんでん返しを持ってくるわけだが、スッとつながる線が細い印象。あらましは把握したけど、あれ?なんでだっけ?ってなる。あの女が隠し部屋のコレクションを目にしたのは偶然でしかないように見える。これが仕込まれた詐欺なら最初の電話の時点から騙す目的じゃないと何もかもが成立しない。主人公のコレクションは誰が知っている?登場人物のどこまで仲間なんだろう…。あの女の使用人はもちろん仲間だろう。ではメカニックの恋人はどうだ?主人公のマネージャー的な人は…違うか?

すると…オークションでグルになって絵を買い漁っていたあの爺が黒幕かと思い当たる。彼なら、主人公の「手持ち」のアイテムがどこかに存在することは知っている。なんならその価値も。主人公がグルですもの。あの女を潜り込ませ、場所を把握したら運び出してミッション完了。そういう筋書きが進んでいると観客にバレては面白くないわけで(当たり前だ)見事なもんだね。悲嘆にくれる主人公に同情してしまいそうになるが、そうだった、このコレクションは”不法”に手に入れたものなんだよ、そもそも。警察署の前ので立ち止まり、一瞥をくれて立ち去る場面もあった。警察に被害を届けないのは、不法に手に入れたものだからだ。なるほど~。

多分、解説とか考察をしたサイトはいっぱいあるだろうから、気になる人はそちらをあたってくだされば。ここで一つ、そういうサイトを読んでいて気付いたのですが、本作はamazonプライムビデオで見たのですが(当たり前だ)劇場で見た人のレビューから察するに、”事件後”の興味深いシーンがカットされているようです。病院に放り込まれた後、外に出ていく原動力になった何かが…。んもー。

ま、楽しめる作品でした。

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