どくしょかんそうぶん

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    「飢餓海峡」を観た

    ネタバレ。邦画の名作と目されるものの一つであるが、流石に3時間はなげーわ。

    この作品のamazonプライムビデオの無料期間が数日で切れるようなので、とりあえず再生をポチっと。ジャケット(というか公開当時のポスター?)では連絡船でテロか災害パニックでも起こる映画なのかと思ったら、刑事ものだったのでびっくりした。

    感想として言うならば…まあいうほど面白いとも思われず…ただ、「砂の器」を観た時のような、丁寧に作ってありますね、みたいな感想になる。どの辺がと言われても表現に困る。多分だけど、たぶん、たぶん、セリフの情報量が多いからかなあと…。文字数と言っても同じかもしれない。全部喋って説明した、みたいな。まあ俳優さんの芝居があってこそ成り立つんだろうけども…。

    で、この作品の感想としては、おんなのひとって面倒くさくて怖いねえって。自分は某有名ミュージシャンのストーカー女事件を連想してしまった。いやいや、これまさにストーカー。

    灰を差し出されて途端に諦めて態度を豹変させた辺りは、どうにも腑に落ちない…。何の灰でもいっしょだろがよ、なんすかそのリアクションは…しかしながら、このリアクションから、作中で刑事の推理した「海峡を渡った証拠を消すために船を焼いた灰」ではないのでは、という想像が膨らむ。…膨らまそうと思ったが、プライムの閲覧期限が切れてしまって、細かいところ再確認できないな。この話題やめまー。

    どうにも何かと似たり寄ったりの印象が否めない。しかしこの作品こそが、その「何か」を制作した人々が目指したものであるかもしれない…とはいえ、そんなお勧めはいたしかねますねえ。

  • どくしょかんそうぶん

    「ジャック・ライアン」を観た

    ネタバレネタバレ。

    同じものは幾つもあるでしょうね、という設定の、アメリカ合衆国のエージェントが活躍するドラマで、amazonオリジナルの企画。まあ製作の規模が大きい話で、見てて退屈なわけない。凝ってる映像もあり、派手な場面もあり。ただ、最後にはボスの犯人と主人公が追っかけっこしてハンドガンで撃ち殺して解決するあたり、まーたこれかよって思ってしまう。じゃあそれ以外なら納得?って言われても、答えに窮するんだけど。

    水戸黄門とかダンディー鷹山セクシー大下のドラマと考えればまたこの展開か、の流れも「そういうもの」ぐらいで納得できる。主人公と出会う女性と懇ろになるパターンとかもハリウッド名産品ですし。しかしね、敵味方の二人が取っ組みあいもみ合って倒れ、そして落とした銃に必死に手を伸ばすパターン…これはさすがに笑ってしまう。ありきたりの極致でもあるし、また、シチュエーションは命がけなのになんだか嘘っぽさが前面に押し出されているように感じてしまう。どう言ったら良いか難しいのだけど…どんな場面でも演技であるなんてことは重々承知して映画を見ている。それでも役者の演技を始めとして画面に映るものに心奪われる、というのが映画の楽しみでしょうよ。このシチュエーションでは、「撮影現場」のイメージが強く感じられてしまう…アクション!の掛け声と共に床で転がっている俳優さんがうねうね動き始めるたんだろうな、とか。周りじゃ手の空いたスタッフが腕組んでそれを見ているんだろうな、とか。勿論、どの場面だってカメラの外側はそう大差ないとは思う。しかしこのシチュエーションの場面だけは何故かどうにも白ける、を通り越して笑えてきてしまう。

    本当になんでだろうな。そんな思い入れにいたる理由が見つからない。

    主人公が軍属経歴があるとはいえ、”本業”ではないようなのでジェイソンボーンみたいなド派手なアクションはない。けど、作中で如何にも現代っぽい手法で重篤な情報のやり取りがされていたりして、本ストーリーのキモになっているあたり、面白い。自分も実際にやったことあるからなあ。指令室から情報戦的な要素と現場で走って銃を撃つ的な要素がそぞろバランス良くまとめられた印象、なかなかの作品だと思いましたー、と。

  • どくしょかんそうぶん

    「新幹線大爆破」を観た

    人々が言うには「スピード」という映画の元ネタになったと。確かに同じ骨子ではあるなあ。以下ネタバレ大爆破。

    評判を耳にするに、なかなかの傑作らしい。確かに面白かった。千葉真一が出演しているんだが、若いころのお姿知らないので、どれがその人だか分からなかった。丹波哲郎と宇津井健、高倉健はわかった。女性陣は全くわからず。しかしそれでも、豪華キャストってやつ。面白いとあって不満ない。そういえば「砂の器」の時もそうだったけど、街中の様子とかが昭和だな~~って感じで…もうそれだけでちょっと古い日本映画には一種の趣があると思えてくる。

    それにしても、「新幹線」って凄く具体的な素材の名前に、「大爆破」とくれば妙に迫力おまへんか。あまりにあり過ぎて、当時の国鉄は撮影協力を断ったという逸話があるようだ。1975年というのは、クアラルンプール事件なんかもあったような時代で、こういうテロリズム手法と見て取れるような内容を描写した作品が、ものすごく日常的、具体的な舞台で起こるというのは…「お上」のみなさんもピリピリしてたのかもね。

    たまたま乗り合わせたヒーローだとか、どっかから派遣されてきた特殊部隊が事件を解決する、のではなくて、現場のみなさんがすったもんだしながら解決に導くプロセスは個人的には好みであるかもしれない。映画的な手法でばっさりカットされていたりするけど、何かこう、場面に活気があるような気がする。本作は時間制限という所が手に汗握るのであって、そら現場のてんやわんやを思うに…自分のてんやわんやを重ねるとウッてなりますううううう。何度目だ。

    唐突な喫茶店の火事は流石に「はあ?」って感。ネットのレビューも見てもそうだった。あそこはみなさんツッコミどころだろう。自分も観ている時に、あまりにあっさりと燃えている場面になったものだから、

    作中の台詞にも出てきたが、そもそも80km/h以下になったら爆発するように仕掛けるというアイデアは、「何かあったら停止する」という新幹線の安全対策の根本思想に存在する”穴”をついているのがとても面白いと思う。この辺のエピソードはwikipediaにも載っているので目を通すとさらに面白い。ブレーキ壊しても同じじゃねーかとも思ったけど、それには無理やり止めるという手段が残されているが、速度の低下で爆発するんでは走り続けるしかない。パニックになった乗客が非常停止レバーで止めようとするあたりはリアリティがあって実にハラハラする場面。ここにも活気があります。

    横道なんだけど、似たような場面に実際に遭遇したことがある。電車に乗っているさなか、近くで人が倒れたらしく、ざわざわと騒々しくなった。誰かが「非常停止ボタンを押して」と言った所、すぐさま「駅まで進んだほうが良い」という声があがった。倒れた人は次の駅で抱えられて降りて行った。うっかり止めてしまうと助かるものも助からないかもしれない。緊急時にはこれを押すなんてところだけ覚えても仕方がないもんなあと思ったのだった。

    映画に戻ると…乗り合わせた乗客から度々「止めろ、降ろせ」という声が上がり、乗務員に詰め寄る。自分の乗っている新幹線に爆弾が仕掛けられているという事情を知ってなお、そんなことを言い出す。外に連絡を試みる人たちが車内公衆電話に列をなして並ぶけど、また別の乗客はそこに現金を渡して割り込もうとする。(漫画みたいなだと思ったけど映画だから同じようなもんか)このあたりが高度成長社会における日本ビジネスマンの風刺的な表現である、と他のレビューに書いてあった。今ではそんなこと試みそうなのは反社会勢力とその予備軍のDQN達だけだろうな。映画的表現とは言え時代を感じる。活気があります。

    新幹線が無事に止まった後、みんなで万歳三唱しながら近寄っていく場面なんかも、今なら映画にも登場しないだろうし、実際にもやらない。映画の演出でやらなくなるんではなく、世の中から消えていく。万歳って選挙のニュース以外ではもう見かけないんじゃないか?活気活気。

    全般的にテンションの高い、緊張感のある展開が続き、長めながらも飽きないと思います。また、実際に起こったら他に何か解決策がないかな?なんて考えながら観るのも面白いかもしれません。ヘリで乗客を吊るには時間も足りなそうだし、電線が邪魔そうだなー、なんて。でもね?現在でこれやられても解決策なんぞなさそうなあたり、新幹線という非常に日常的なシチュエーションであるあたりが手に汗握る要因でもあると思います。

    スマホでググって解決した、なんてことになるかもしれねえのも現代ではありますねけど。

  • どくしょかんそうぶん

    「スイス・アーミー・マン」を観た

    以下はネタバレです。

    一言でいうなら、アート志向でスベっちゃいました(><)という感じ。しかし最後まで真面目な話に仕立てているので総じて意味がわからない。これはアートだという事にすると、おさまりが良いように思われますので。あらすじをAmazonプライムの作品紹介から引用する。

    無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。果たして2人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?

    あのさー、まあ見たくなるじゃないですか。実際、確かにこの表現に偽りない場面が出ます。映画開始10分でそのシーンに辿り着き、しかし数分経たずに終わります。そこからの展開がアート志向としか自分には言いようがないんです…。何かのパロディかどうかもわからず、ときおりここで笑ってほしいんだろうなあという一発芸が挿入され、最後まで夢オチを危惧せざるを得ないままに終了。

    わざわざあらすじを引用したのは、どうも作品の印象とかけ離れていて、風呂敷広げ過ぎた広告みたいだと思ったんだよね。そら馬鹿な設定から始まる映画なのは重々承知と言えど、冒険活劇みたいなもんかと思ったらまさか半生を振り返る系とは。そう、突然死体と仲良しになって語らい始める。こうなると主人公にも死体にも、そのやることなすこと違和感ばかり覚えてしまって。

    無理やり、無理やりですよ、何度も言うけど口が滑ったレベルの無理やりで言うなら、レインマンのパロディに見えなくmああ石が飛んできたので〆。おすすめしません。はー。

    しかしスイスアーミーって便利ツールのナイフのあれか?

  • どくしょかんそうぶん

    「潜入!医療大麻ビジネス」を見た

    Amazonプライムで見たnational geograficのドキュメンタリー。原題わかんねえ。アメリカで成長しようとしている医療用大麻ビジネスのドキュメンタリー。40分。大っぴらに取材しており、潜入という言葉のイメージに結び付く場面はない。いつもの事だが邦題が悪い。ドキュメントの製作は2010年で、フレッシュなドキュメンタリとは言い難いのでご注意か。

    さて。医療用大麻を銃に置き換えてアメリカの現状を見て、ビジネスという言葉を足し算すれば乾いた笑いになる。このドキュメンタリーに登場する関係者が美しい事しか言わねえのも如何にもだなあと思ってしまう。日本人ならみんな眉しかめるでしょうね。そう、こういうのを胡散臭いと言うのです。しかして医療用大麻のおおっぴらな流通を認めようではないか、という主張には頷けません。

    既に述べたが、このドキュメントの製作は2010年。例の事件よりも前だし、2018年夏の現時点で医療大麻関連のトピックがどうなっているのかは、このドキュメントからでは正直、伺い知れない。先に例に挙げた、銃の場合の”現状”は惨憺たるもので、今年は何度も犠牲になった高校生たちの抗議行動も記憶に新しい。違法薬物による犯罪の犠牲者は世界で相当数になる。医療用という枕詞にどんな多大な意味がある?

    そもそも、医療用大麻ってなんだよ、どこにどういう需要がある、という所にピンとこないのでなおの事。ニュースを調べると、日本では町おこしを騙って不法に所持して逮捕されたり、やっぱりなあという不祥事が発見された。なお、このドキュメンタリー同様に医療用大麻としての有用性を主張する日本語のサイトもいくつかあった。各種の疾病に対する効能があるという主張がされている。

    このドキュメンタリーでは医療用大麻に関して、野放し全開放ウェーイでも全部焼き払えヒャッハーでもない、どちらかというと慎重な歩みで以て取り組んでいる…というような話が記録されているようだ。上手く行きそうじゃないか?とは…やはり思えない。かり上手くいっても銃と同じことになるだろう。産業が大きくなりすぎて国の権力だけでは潰せず、海外も手を付け始め、儲かれば良いんだ、としか言わない投資家や創業者たちが後始末に手を貸すわけもない。おいおい、作中にそんなことを言う投資家の姿が描かれているじゃないか。あゝ乾いた笑い。

    “医療用”なんだからアメリカの医療制度がどうとか、その辺のお話があるかなーって思ったが…そこらには触れられないドキュメントだった。どうやって合法のお墨付きを受けてビジネスが成り立つのかに苦労しそうだ、そういう話でした。経営者、起業家だけではなく、生産農家も含めて。なんかこう…トウモロコシの新種でも同じドキュメンタリーなんじゃねえのかって思ってしまう。自分はこの作品のタイトルから、刺激的なものを少々求めすぎたようだった。また、別に医療の現場の話が出てくるわけでもないので、為になる感も少ない。加えて情報が古いと来た。うーん。

    一方日本では、しぇしぇしぇのしぇ。

    自分なら医療用大麻とやらと同じ効能を持つ薬剤の開発を応援したいです。以上~~~。