どくしょかんそうぶん

“Alive”を観た

邦題は「生きてこそ」となっている。事実を元にした映画というのはなんぼでもあるが、とりわけ本作はその事実が非常に過酷であった点で有名である。あまりに有名なのでネタバレとかどうでも良いよね。原作を読んだことがあるので、映画作品としては特に大きな感銘は受けなかったものの、ちゃんと最後まで鑑賞した。

飛行機が墜落。数十人が墜落事故での即死を免れて生存したものの、救助隊に発見されぬままに捜索が打ち切られてしまう。冬のアンデス山中に取り残された人々のサバイバルを描く作品。最終的には、事故の状況からするとちょっと想像できないぐらい多くの人が生還する。これは事実であるからして、その疑問に対する答えは用意されているわけだ。例えば乗客はラグビーチームの一行が乗っており、そのほとんどが若く体力に優れていたこと。その中にたまたま医学生が乗り合わせていて、応急処置ができたこと。機体の残骸がある程度シェルターになったこと。

“食料”を手に入れたこと。

宗教的な背景を抜きにしても、まさに究極の判断と言われるにふさわしい。彼らの状況を緻密にシミュレーションしても、自分だったらどうするか、など考えを巡らせてもさほど意味はないだろう。あの場にいたという人間以外には、語るべき点も少ない。生きるか死ぬかでaliveのほうを選んだ、というだけのこと。生存者たちはお互いの決意を確かめ、初めて肉を口にする。数日前まで仲良くやっていた人々を。そんな場面においても、ド迫力の遺体の肉塊が画面にでーーーん、なんてことはない。ホラー作品ではないからなあ。

…なんて油断していると、俯瞰の画で人々の隣に血まみれの人間型の骨格が転がっていたり、救出要請に旅立つチーム与える肉が実にフレッシュでドキッとする。特に前フリもない。食べる場面を見て、なんだビーフジャーキーじゃないか、これなら俺でも食えたかな、なんて生温いことを考えていると、こういう迫力の描写にはわわわわってなる。これは監督の狙った演出かなあ?もし自分が監督するとしても、助かったね良かったね、だけの物語にはしたくはないもの、このぐらい凄惨なものを見せないと。おそらくは、実際にも、こうだったのだろう。後から食料になった人々は、きっと新鮮なまま胃に入った。実に、実に凄まじい話だ。

なおー興味を持って本件にかかわる情報を探そうという諸兄は、事故は南半球で起きているということに留意されたい。10月→12月と暦が進むが、厳冬期から春に変わっていくというのはそういうわけである。

それと、鶏肉の味に近いらしいですよ。

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