Days of races
だらしのない恰好で寝そべっていたらどうやら寝入ってしまった。照明を落として動画など見ているから心地よくなってしまったようだった。携帯電話を探り、時刻を確認すると、0:30だった。三時間ほど寝入ってしまった計算になる。このまま朝までグデグデと寝てれば良いかとも思ったけど、このクソ暑い日々、体には昼間の汗がじっとりと残っているし、せめて風呂に入ろうとして、ユニットバスへ向かった。玄関の空気は多少はひやりとしている。風でも通せば心地よかろうと、出窓を開けようと玄関の扉側に近づいた。人の声がした。
三人ほど、扉のすぐそばに居るのが窺い知れた。一人は女性であろう。思わずドアノブに視線を落とす。大丈夫、ひとまず鍵はかかっている。会話は続いている。どうも日本語ではないようだけど、さっぱり聞き取れない。耳をそばだてながら努めて努めて冷静になろうとする。明かりをつけるのはどうだろう。窃盗の類が狙いならそれで退散することだろう。もし俺を尋ねてきたのなら、ドアでもノックするだろうか。・・・しかしこんな夜更けに俺を尋ねてくる理由は???理由があるなら喋ってないでぽんぽーんて鳴らすだろ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恐ろしくなってじっとしていると、やがて五分ぐらいして、何か話し合いながら声は遠ざかっていった。ベランダ側の戸締りを暗闇の中で確認して、暗闇の風呂。五分で出たわ。こえーよばか。
後日、同じアパートに越してきたアジア系の人だと判明する。三人の声がしたが、三人とも引っ越してきたのだろうか・・・。で、外国人ってだけでな、不法行為を働くだなどと見てはいかんのだ。少々疑うぐらいはするけど。だけど、日本人なら夜更けにひとんちのドアの前で立ち止まって話などしないもんだ。社会行動の規範を「我々の文化ではそうなっている」と強要することは、悪いことじゃないとは思うけど、なんだか妙に面倒くさいんだよあいつら。
後日、当然のように分別されてないゴミが転がっていた。まあ国内でも分別がテキトーな自治体ぐらいあるだろうけどよ。