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G
朧げな記憶ではあるのだが、就寝中、みみもとでカサコソと音がした…ような気がした直後、何かが耳たぶに触れていった。事態を察してなるべく動かずにシーリングライトのリモコンをまさぐり、起き上がって点灯。ご丁寧にこちらを向いているGのフォルムに憤りを覚えたものの、夜更けであるからドタバタも出来ず。とりあえずスリッパそうび。距離を詰めると風呂へ逃げていく。殺虫剤もない。この場面で洗剤をぶっかけるという対処を思い出す。台所から食器洗剤を手に取り、じりじり間合いを詰める。
なんでも、洗剤まみれになると足もにぶくなるし、呼吸ができずに死ぬのだそうだ。このサイズのGをひたひたにするんだから、結構な量が要りそう。ためらわずに全力で握ってぴゅ~~っと放射したものの、見事によけられた。よけた先に二発目を放つもかすっただけ。洗剤まみれになってしまった壁や床の様子に既にげんなりしてしまう。三発目で体を捉えた。シャカシャカとうごめいているところを、足にそうびしなおしたスリッパで圧殺。ゴミ箱ぽい。そのあと、あるだけのタオルを使って洗剤をふき取ったり拭ったり。平日の午前四時に何をやっているのか。
元気なGに洗剤で対応を試みるというのは、こういうことなのだ。無茶だな。やっぱり殺虫スプレーだ!文明!ちょうどアース製薬がMリーグに参入したところなので、ウェポンを買ってみる。凍結させるスプレー。
https://www.earth.jp/products/mushi-korori-kourasu-jet-spray-300/index.html
まず気を付けることには、商品説明にある対象の害虫にゴ…Gがいない。うーん。G専用の商品もあるからかなあ。いずれにせよ、毒やら爪やらない昆虫相手なので、人間の物理攻撃があたるほどに動きが止まれば十分だ。使う機会がないことを祈りたいが、頼りにしておこう。試しに噴射してみたけど、ゴ…Gスプレーみたいな「シャーーー」ではなく、「シュゴゴゴ・・・」というサウンドだった。ショーで使うようなドライアイスの感じ。
ところで、G様はどちらからやってきたんだろうか。ドアを開けたタイミングで一緒にはいってきた、とかだったらもう防ぐのも難しく、なんなら閉めてても隙間から入ってくるなんてまさかね?ほかに建造物の構造的に入ってくる、というのであれば、壁に開いてる換気扇か。あとはエアコンの排水ホースから入ってくるケースもあるらしい。気にした事ねえなあ。情報を漁ると、排水ホースに網をかぶせるとか地面から浮かせて防虫策とするようだ。これはやってみるか。気にしたこともなかったので初めてその排水場所を確認したのだが、その終端は地面にだらりと10cmほどねかせてある。千客万来じゃねぇかよ!しかし、その直径は想像したより細い。あのGが入れるとは思えないのだ。あいつら平べったくてドアの隙間通るけども、細く丸まってこの中を進んでくるなんてこと…どうだろうな。昆虫は油断ならん。
そこでちょっと勇気をだしてホースを手にとって覗きこんでみようとしたが、手に取って持ち上げたらホースが曲がったところから簡単に折れた。結果、排出口は地面から浮いた。Gにおちょくられた心持ちで気分を害したが、簡易対策完了してもうた。で。ここから先。賃貸であるからして何か薬剤ぶちまけたり素人造作をするのもはばかられる。でもデタッチャブルな網とかフィルターぐらいは問題になるまいという目論見で、網を取り付けておけばよいか。目の粗い網を大きめのサイズでくっつければ、そんな埃詰まりなんてことも起きないと思いたい。あるいは、穴を空けたコップでも置いて排水ホースの先っぽを付けておくだけでも昆虫の侵入不可能という気がするけど、それだと排水はされないのかな…?理科の実験って感じだな。大気圧のせいで排水されないとかありえるのかな。エアコン壊れてしまうし、これじゃそもそも水が蒸発しちゃうか。コップに蓋をすれば…?まあやめとくか。
そーいえば、クモの類は他の虫を捕獲してくれるから同居もいいなんて主張も目にする。だからってお布団や衣類に居座られても困るし、巣を張るタイプでも困るんだよな。ヤモリとかも同じく。トラップ系の対策も用意だけはしておくかな。侵入を許したとしても、耳元の徘徊は避けられそうだ。