どくしょかんそうぶん

  • どくしょかんそうぶん

    WHIPSLASHを見たのス

    何それ?という人が殆どだろう、買うまで自分も知らなかった。日本語題が「セッション」となっております。感想など。ネタバレ100%なのでご注意。コレクター版などとなっているのを買ったんだけど、日本語字幕で見たかったというだけです。

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    アカデミー賞云々はわりとどうでも良い。毎年なにかしら受賞するわwwグラミー賞みたいなもんだと。新しい映画だから世間の高評価が長年積み重なってもない。既に高評価なのはご存知の通りつうわけではあるけども…。自分はなんで興味を持ったかというと、舞台が音楽ガチ勢の住処、音楽学校ということ。俳優さんは演奏どうするんだろうか、なんてところにも興味があった。学校という事は演奏する人も主人公だけじゃないよねって。そんなもの過去に何作もあっただろ、というツッコミはご尤もですが、映画には強くなくてねーごにょごにょ。日本の高校のブラスバンドの話で評判良いのあってねたしか(精いっぱいの知識)

    で。

    面白かったです。その作品の舞台となる世界には興味があるところだし、きっとこうなんだろうなあ。なんて思った通りの雰囲気があった。個人的には教官が「ハートマン軍曹」にしか見えなかった。それが嫌とか興ざめだということもないけど、まあ厳しい指導者はそうなんだろう。少なくともアメリカの感覚ではあれが一般的なんだろう。

    114小節目からと言われてすぐに演奏が始まるの、凄いと思ったけどプロを目指すならそのぐらいは普通なんだろう。

    なんだかんだ言って、成功を夢見る若者の物語なんだなあとは思う。家族の会話のシーンとか象徴的だと思う。最後嵌められるところも、そもそもその舞台に立った理由も偶然の再会から声をかけられたからだろう。気のあった女の子を誘ったりするあたりもそういう印象を受ける。

    演奏シーンは見事なものだった。あれは俳優さんの訓練かハリウッドの魔法かは知らないけど、ドラムをたたいたこともない自分には申し分ない。ここがアレだと白けてしまうもんだけどそこいらのクオリティは流石に。別にあら探しをしようと思って見たわけでもないからまあ。まあ。演奏シーンの訓練が作中よりも厳しい、というレベルだったりしたら俳優って凄いなあと。実際どうなんだろう。俳優志望にも楽器弾ける人間はいくらでもいるだろうなあ。そう考えると、最初にこの作品を知った時に思いついた「俳優さんは演奏どうするんだろう」なんて疑問は的外れもいいところで、当然そういう訓練する、あるいは、最初から弾ける人材が転がっている、ということになる。凄い話だ。

    話を映画に戻すと。ちょっと一ヵ所??のまま終わってしまった部分があった。椅子の上に置いた譜面が消えた場面。それを契機とした展開はこの映画の主軸なんじゃないかと思うんだけど、結局「何故か一瞬でなくなりましたー」のままで終わってしまった。オリジナルと比べて字幕版はカットでもされてるのか?スコアが一部ないぐらいでバックアップがないというのも…、そういうものなんだろうか。まああくまで学生と教官だからな、そんなところの面倒見るもんかという話か。自分が学生のころ、素人に産毛が生えた程度で部活の一環としてそういう演奏会に出たけども、確かにそんな予備なんて持って出かけてなかったわw。朝六時に寝過したのも全く何もなく終わってしまったように思うのだが、ま、伏線云々うるさい批評する人は好かないのでここいらで。

    かなり評判が良いらしい最後のシーン。本当の最後の映画の終わり方からしても、さっき挙げたような余計は話はもうすっ飛ばしていくということなんだろうなと察した。誘った女?知らないわ。事故った車?しらねえわ。なぜ主人公は目をかけられたのか?知らねえわ。楽器が鳴っている間だけの煌めきに命を懸ける姿の美しさというありがちなテーマ、故に人の心をうつとしたものだろう。これもハリウッドの魔法かしら。

    まとめ。面白いかった。しかしどこかで見たことのある、如何にも映画のストーリーだ、という展開が多いので、そういうのを嫌う人は眉をしかめる場面が多そう。遅れるなよ!→寝過す 遅れるなよ!→移動中にパンクとか。まあそういうので取り返しのつかないことになるのも人生よね。

    以上。

    見終わった後にチャーリーパーカーでググった奴は挙手。

  • どくしょかんそうぶん,  ふでのゆくまま

    りえことたまきち

    西原理恵子と桜玉吉。共に漫画家。前者は2013年ベストマザーなどといろんな方面で話題の豊富な方であります。サイバラと書いた方が知ってる人多いのかもしれない。漫画を読むともっとアレでとても楽しいです。昔から読んでいた人は結婚で吹いてアニメ化や映画化で噴いてベストマザーで昇天する。いや、無鉄砲もののイメージだったのよ最初ーーー。ここのあたり、今となっても包み隠さず作中で触れていくあたりが素晴らしい。今となってはいい「かあさん」に異論はない。あのサイバラがねえ…。なんて古参ぶるといった感じで続きましてー。

    後者はちょっと知らない人の方が多いかもしれないけど、古くはASCIIの「ファミコン通信」で愉快なキャラクター漫画を書いていたが、日記風の作風になり、さらには作者の価値観と精神状態により暗澹たる人生を薄墨で塗り絵するようなーーー。という一連の流れが熱い支持を得ている。篤いというか。近年は細々とどうにかこうにか食いつないで暮らしている、という印象。

    どちらも大好きな漫画家で、また、とてもお勧めできる。途中で読むのを止めたりしてもすぐに続きを楽しめるのが良い。一ヶ月ほど読むのを止めた後、また読み返してなんだっけ?というのが実に煩わしく、小説の類は読まなくなってしまった。一話完結(というわけでもないけど)のタイプは途中で読むのを止めても再開が楽だ。そういう漫画が好きだ。何度目だろうかこの主張。

    ここまで書いてなんだけど、後者はまだ届いてないから読んでない。桜玉吉の作品がまた読める日が来るとはねえ…。

  • どくしょかんそうぶん

    失踪日記2を読んだ。

    「失踪日記」という漫画があって、これは間違いなく傑作なのです。漫画家の吾妻ひでお氏の作品で、失踪してホームレス暮らし→警察に保護される、とか、失踪後ガス関係の設備会社で現場作業員として働いたり、といったエクストリーム日記である…。公式サイトによると30万部売れたらしい。自分も作者の素性など全く知らないがお勧めされるままによんだ一人であり、その暮らしを堪能した。

    で…この、続編がこの「失踪日記2」というわけなんだけど、副題に「アル中病棟」とある。著者がアルコール中毒で入院していた時の体験記という内容。絵柄はのほほんとしているが、登場人物は病人と医療スタッフばかり。バラエティ豊かな登場人物で、半閉鎖病棟の身近な異世界を見事に描画しており…うっと真面目な内容検討はしねえんだった。面白かったです^^

    「完全失踪マニュアル」なんて本が流行ったのは、自分が高校生の頃だったと思う。同級生がおもしろいよ、とかさらりと言ってのけてビックリしたものだ。当時、筒井康隆を読んで、読書感想文以外で「字の」本を初めて真面目に読んだ、などという自分にはその「失踪」「マニュアル」なんてタイトルの本を読んでみるというのは途方もない発想に思えたのだ。

    え、だって、失踪とかしたくならない?

    そう言われても「何を言っているんだこいつは」ぐらいの感想だった。しかし呑気だった子供の時代が終わる。こうしておっさんになってしまうまでの間に、そしてこれからもずっと、ある日静かに椅子から立ち上がりそれ以来行方がしれません、と、いったような幕引きに、なんかこう魅力を感じつづけるのがわかる。大事にしていたものを裏切りたくなる…というのとは多分違う。愛着も責務も、すうーっと自分の手からこぼれ落ちたらどんなにか軽くなるだろうかって、夢を見てしまう…。自我とは世界との連結点である。いなくなったことにするだけで、どうにか新しい扉を、とか言い出すとこれは宗教チックになる。

    もうちょっとだけ愚鈍というか。はあめんどくせえ、で逃げ出せる、捨てるという私利私欲。セーフティネットなどという議論に注目が集まったりするのは、社会をよりよくするとか、そういう話よりも、自分がそこに身を投じてみたいという関心の方が強いのではないかと思っている。それが簡単にできないから酒や薬で身を滅ばす人が出る。たが、誰もが簡単に投げ出すことでメリットを教授できるというのはまた誤りであろう。

    山を降りてもいいというのは、次にまたトライするから。一度しかないなら死ぬもまた…?そこに必要なのはただ、ただ、体を休めて留まれるだけの小屋なのに、人生にそれを得ることができるのは果たしてどれだけの割合なんだろうか。

    難しいね。

  • どくしょかんそうぶん

    ハウス加賀谷・松本キック「統合失調症がやってきた」を読んだ

    懐かしい。彼らの名前が全国的に有名になったのは「ボキャブラ天国」というテレビ番組だったかと思う。もう20年前じゃあないか、そら俺も年をとったわいふぇふぇふぇ。その後、自分もテレビを見ることがあまりなくなったので、彼らのことなど全く知らずにいた。耳にしないということは売れずにフェードアウトしたのだろうと。ところが思いも寄らぬ所で「ハウス加賀谷」という名前を目にすることになった、というのがこの書籍である。彼は統合失調症の治療をしていたのだ。当時、素っ頓狂な芸風であったのは記憶に残っている。既に発症していたというなら、あれは芸風+人格だったんだろう…というのは勘ぐりすぎか。

    んで。

    書籍の内容は、少年~芸能界デビュー~入院~再デビューあたりまでの思い出を綴りながら、症状と治療について綴っていくというもの。わりとのほほんとした感じであり、凄惨な精神医療の実態云々みたいなものとは無縁で、眉をしかめて読むような書籍ではない。また、入院後、治療を受けてデビューへの道のりはポジティブなバイブスであふれている。

    霊が見えるとか主張する人おるよな。全く相手にしない。なぜなら霊は存在しない。そこに理解など微塵もない。議論も検証も要らん。だけどもし、自分が霊に出くわし怖い思いでも良いし心温まる話でも良いけども、実在するとの確証を得てしまえばすぐに掌を翻すことになる。そらそうだ。いたんだもの。

    統合失調症のような病状も、まあ誰からも理解はされないだろう。ただ、ま、この書籍のようなものを通じて、実体験が広まれば、そういうこともあるのね、程度の認知は得られよう。皆々様がご存知であるところの「現実世界」に生きることはかくも煩雑で危うい。いつか世界がぶっ壊れたときに、新小岩駅へ突撃する前に歩みを止めるきっかけが要る。あなたの、あなたの愛する人の歩みを一旦止めて体を預けてみたり、また支えてみたりする、そういう方法も効果がありますと。

    良き一冊でございました。

  • どくしょかんそうぶん

    「Football under cover」を見た

    「football under cover」は、ドイツとイランの女子サッカーチームが対戦するまでをドキュメンタリーで描いたもの。文化、政治の違いによるギャップを埋めながらイランでの試合の実現に向けて進んでいく…といったストーリー。撮影は2005年あたりです。なお、国内で入手は困難のようで、ドイツのamazonから輸入しました。英語の字幕があります。画面は16:9でした。自分が手に入れたのにはコメンタリーとかouttakesとかありましたが、全てについているかは不明です。あまり見ないで買ったからな・・・(´・ω・`)再生はPCでOKでした。DVDプレイヤーは自分は良く分からないので、リージョン云々は不明です。

    さて、内容。当然ながらというか、政治的な、制度的な主張は作品に含まれていますし、一部シーンではその主張が極めてストレートにカメラに収められていますが、いわゆるフェミニズムってもんではないので、そゆうの嫌う人でも大丈夫かと思います。ケレン味の無い、というか、至って普通のドキュメンタリーという印象でした。

    もっとも印象深かったのは、映画本編とは関係ありませんでした。ドイツのチームのメンバーが、イランのサッカー協会と会議のテーブルについた場面。ドイツ側は二名(ドイツ人+シリア人(?))とイランの人々十名ぐらい。みんな英語で話してました。当たり前だろ、といえばそれまでなのですが、海外で暮らした経験のない俺には、日々インターネットで感じている「英語が公用語」状態が、より一層印象に残りましてん。いやいや、映像として残っている場面だけだろっていう指摘があればそりゃそうかとも思いますが、しかし、実際のところ、母国語+英語は、もはや必須なんだなーって。

    良い作品で御座いました。