どくしょかんそうぶん
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「The Bank Job」を観た
実話(を基にした)作品。
今時も「貸金庫」ってサービスは存在するのでしょうか。手元に置けない貴重品を預けておくようなものですね。現金だってまるっきり預けているんだから、その他貴重品を預けたって自然な話です。ググるといっぱいサービスを提供している銀行はあった。考えてみればこれはネット銀行にはできないサービスだなって思うが、一方、銀行って形態での営業に付随する必要が全くないとも思う。値段も個人で利用するには安くはないと思うし、平日は夜19:00までとか利便性は低い。こりゃあだめだ、自分は使う気にならない。少なくとも家からそう遠くなくて、24時間いつでも使えないとそんなに大事なものを預けようという気にはならない。
で。そういう貸金庫が強盗に襲われたのだけど強盗の手に渡った物品の中にはなんと…!という映画です。元ネタになった実際の事件に於いて、興味深いエピソードが一つ。窃盗の被害に遭ったものを特定する為に、警察が貸金庫のユーザーに内容物の情報提示を求めたところ、結構な人がそれを拒否したというのです。このエピソード自体は実話そのもの。一体ナニを預けていたのですか、英国紳士と英国貴婦人のみなさま。そして王室の…?^^
映画の時代(元ネタの実話が1971年)より未来へ旅すること45年、富める者がその財産を守ることは簡単になったでしょうか、難しくなったでしょうか。この現代に、自分の”持ち物”に責任を負うことが出来ますか…。貴方が盗まれたと気付いた時には取り戻す手段もない。人生において自分が本当に守るべきものとは…。2018年のみなさま?^^
映画自体はぼちぼち面白かったです。分りやすい陰謀に分りやすく対峙する。分りやすいピンチを分りやすく間一髪。個人的には実話のえげつなさに気圧されたままに見ましたが、可もなく不可もなく驚愕も退屈もなく。
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「Grizzly Man」を観た
これはお勧め。具体的にネタバレしますが、10年以上も前のマイナーなドキュメンタリーだし良いよね?
環境保護に入れ込んでしまった人たち、そんな中でよく見かけるのがスラングで言えばイタイ人。ああいう人たちは、熱心さを超えて狂気を帯びてくるようなこともある。捕鯨船に薬品バケツぶん投げたとかなかったっけ。そういう一人の男性のドキュメンタリー。彼が言う、政府は敵だ俺こそがクマを守り愛する者だとかいうくだりで完全にドン・キホーテ的な。滑稽に映ってしまう。遠慮なく言えば不快感を覚えた。この反応のほうが多数だと思う。だってこれじゃあ…。
彼はいかにも話題になりそうな、皮肉の効いた事故で逝去する。さらりとその辺が語られると、まずはプロの方々の意見が実に適切に淡々と続く。単に”事故死”したというだけで、彼の行いが何もかも否定されるものではないだろう。全てが誤りだったとなるわけはない。それでも、彼の遺した映像から、徐々に聞くに堪えない狭窄した罵詈雑言とネガティブな感情が飛び出してくるにつれ、視聴者は彼を憐れむことが難しくなる。
しかし一方、動物たちに猫なで声で挨拶したりする。この声色変えて様子を伺うのが、もはや気色悪い。自撮りの映像に残すために何か、いわゆる「録れ高」を積み重ねている、という事情を鑑みても、どこか病んでいるなあと映る。当然ながら動物に挨拶など伝わってはいない。とは言え、まじめに取り組んでいるだけに、気恥ずかしい。彼はあろうことか、自然に手を加え始める。熊の餌が足りないと言えば川の流れを作りサケを呼び込もうとする。雨が少なければ神を罵る。これらの行為には不快に思う人も多かろう。
イライラを募らせながら、なんというか…人は分別を持つべきだと思えた。生き物とはわかり合えないし、神にもなれない。強くてかっこいいクマの友達になんてなれない。あんたはエサだ。彼の死後に識者から寄せられたコメントは如何にも、と納得できるものばかりだ。「彼は熊を毛皮の着ぐるみを着た人間として扱おうとした」「彼は人間と熊の、7000年間守られたテリトリーを踏み越えた」彼は自身に陶酔していたんだろう。
世界を変えるのはこういうタイプだという事はできる。偉大な科学者のエピソードなど拝読すれば、気が触れていると思われるようなものもある。結果、何かを為し得て、それで許されというか。彼もそんなところにいようとした。ところが彼の遺した映像の全てがこのドキュメンタリーで出てくるわけではないが、少なくともこのドキュメンタリーで引用されいる部分には、彼が具体的になにを為し得て熊(と狐)を守ったというのか、一切出てこない。人間相手ならただのストーカーだ。愛してる。友達だ。俺が守る。みんな敵だ。これで愛したと言えるのは、動物は彼に不平を言わないからではないのか。これじゃあ相手はジュースの自販機でもいっしょじゃないか。
例えば戦争映画や犯罪ドキュメントなどでは現れてこない、人間の魂に満ち満ちてはやがて穏やかに滴るダークサイドを、まざまざと見た心地になる。彼がああいうふうに死んだからこそ作品たり得る構成ではあるものの、良いドキュメントだ。しかし検死官の人眼力あるなー。彼だけ本職の俳優さんじゃないのか。
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「インセプション」を観た
面白くはないんじゃないか。以下完全なネタバレ。
謎の夢潜入マシンの説明がないあたり、正直雑じゃないのか?単なる睡眠薬とか?飛行機の中で目が覚めた時、謎マシンに繋がってないのはなんでよ。いままでは目覚めた時に全部物理的に繋がってたような。これは重箱の隅かと言われるとそうかもしれないけど、この映画の根本なんじゃないのかなあ。何で夢なのか。毎日眠る人間という生き物なのに、なぜ日のあるうちに無理やり眠らせているのかわからん。…ああ、眠っても夢を見ないこともあるから薬剤注入なの?
主人公に状況を説明させる台詞を言わせるためにずっと一緒にいるヒロイン。便利だな。何か才覚を見込まれて一緒に行動することになったんだけど、雪山軍事基地?病院?で彼女の言ったアイデア、理解できました?えーとこれが夢の三階層目であれが一個上でここで眠るとキックのときにえーと?こういう時には、「その手があったかー!!」ってアイデアが欲しいもんだと思うけどなあ。
車がひっくり返ってもキックとやらが発動しないのはわからん。
なんでアイデアを埋め込むのにより深く?潜る必要があったのかわからん。
サイトーさんのライバル会社の御曹司は、飛行機の中で夢を見たってだけで何か変わるのか。目覚めて周りにいる人全員夢で見た人間だぞ平然としている場合か。でも夢の中であなたの夢を守る見方だって言ったから、って夢の中で植え付けたアイデアってなんだっけ。親父の遺言?あれは誰が作った遺言なんだよ自身の記憶ならえーとえーと?
わからんわからん。
「夢だから何でもありだけど俺の脚本にはねーから!」って声が聞こえてきそう。ため息でます。しかし映画の好みは人によって分かれるのは当然ですが、この作品で感動したのは流石に嘘だろうと言いたい。嫁の難解な思い出と子供との再会しかねーぞ。子供と再会するために頑張るパパの映画かこれ。なにか埋め込まれたんじゃねえのかあんた。
最後の場面もきっと、「これ夢オチでしたー」って言いたいのを、流石に周囲や制作会社の偉い人に全力で止められた、みたいな事情が見える。やっぱりオチも解釈も全部客に投げるの、好まないかな。それがハマる映画もあるだろうけど。
夢の中の夢を表現するのに、映画的な意味でのシーンチェンジというのはなんかこう。見ているほうは演者の姿かたちとかで分りやすいのかもしれないけどね。見終わってからなら、「どうせならもっとやったれ」とも思う。
最近見た「メメント」と同じ監督だと見終わってから知った。「インターステラー」もそうだと知るに、複雑な構成が好きなのかなと。
なんかこうどれもこれも、印象が薄いというか…。上記の文章の散漫さよ。まあ驚きが少なくて、楽しめなかったというのが正直なところ。以上~。
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「The Last Days of Peter Bergmann」を観た
なんですかそれは、という人が殆どでしょう。全編英語で字幕もなし。上映時間は20分に満たないものですが、その内容は実にグッと心に響きます。以下ネタバレです。
2009年、夏。アイルランドのスライゴ…の北西、海沿いの村。初老の男性が遺体で発見される。彼の身元を調べていくと、驚くべき事態に発展する。彼が誰だか、わからない―――。
現場近辺の地図は以下のリンク。宿泊先のSligo City Hotelもストリートビューで見れます。
https://goo.gl/maps/SyVku4ijCaQ2
作中のとある場面を同じ場所を偶然発見したので記念にリンクしておこう。
https://www.google.co.jp/maps/@54.3052376,-8.5672705,3a,75y,275.48h,84.12t/data=!3m9!1e1!3m7!1scIexncBiyUqo9g6a71ovyQ!2e0!7i13312!8i6656!9m2!1b1!2i49?dcr=0そんな彼、”Peter Bergmann”の最後の日々の様子を、ホテルの従業員、目撃者の証言と、監視カメラの映像で構成していくドキュメンタリー。穏やかな音楽と時折挿入される風景の美しさに、うっとりする。
Peter Bergmannはおそらく偽名で、住所も虚偽のもの。彼が誰だったかを示すものが一切残っていない。警察は彼の身元を特定しようとするも、至らない。例えば。彼はホテルから紫の手提げ袋を持って出かけて、手ぶらで帰ってくる。何かを処分しているのだろうか?監視カメラでは街中を歩く彼の姿が幾度となく目撃されるが、しかし、その処分している場所が特定できなかった。最後のチェックアウトからバスターミナルまでの間には、彼のショルダーバッグも数が減っている!
彼は海沿いの村で「奇異な黒い服の男」として浜辺で目撃され、翌朝には遺体が発見されている。ホテルには3日宿泊の予定でチェックインして、その通りにチェックアウトしている。予定通りの行動であったわけだ。恐らくは死ぬところまでも?検死によれば、彼は癌に侵されており、遺体から痛み止めなどの薬剤は検出されなかった。
彼がここを死ぬ場所だと決めて訪れたのだろうか。たまたまここになったのだろうか。IDを何も持ち合わせていないことなどから、予定通りの行動だったとは思うのだが、彼がどこかに捨てたはずの紫バッグの中身が見つかっていない。地元の警察の捜査に関わらず。彼はこの街の監視カメラのアングルをある程度把握していた…?
いずれにしろ、彼は偶然身元不明なのではなく、誰かの意図で誰だか分らぬようになったということ。願わくは彼一人の意図であってほしい。彼は最後に自分の人生を塗り替えた。家で孤独に一人死ぬよりは、こういう方法を選ぶという考えも、実によくわかる。ましてや病とあっては。自分もこういう死に方の準備でもしておこうか。偽名は、そうだなあ…まあ…。
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何かイベント時のものと思われる作者と聴衆のQ&Aセッションの動画がこちら。自分にはとても聞き取りにくくて、内容を把握するのは難しそうなんで諦めた。 -
「マシンガン・プリ―チャー」を観た
白人男性とキリスト教と銃。胸糞悪いすね。