Archive for 6月, 2016

“シベリア超特急”を観た

曰く、「B級映画ではカルト的な人気を誇る」のだそうだ。

そういうのを目にすると、ああ、よくあるアレね、と。ツウ向けとかそういうの。なんかこう、ネガティブな心象なんだよね、その言い回しだけで。若いころは好んだもんだけどもどういうわけか、しっくりこない。例えば隠れた名店とか言いながらも、堂々と紹介していくグルメTV番組を見たときみたいな。大声を出しているのはそっちではないか、何が隠れた云々だと。

そんな鼻息荒くすることでもねえんだけども。これら宣伝文句のいじくりまわしが言い訳に聞こえてしまう。そしてどこか嘘くさい。そら見る価値無しです!とは宣言しないわけで、なんだって微妙に嘘ではあるんだが。そういう意味では…「スタッフロール終わった後に起こったことは友達に話さないでください」などと冒頭に書いてるこの「シベ超」は正直なのか。

実際、「商業的には滑ったが作品としては傑作」というのはちょくちょくある話。この「シベ超」もタイトルが記憶に残っているほど何度も耳にしている。ツウじゃなくても見る価値十分。前書き以上~。

結局、見れば確かに納得の出来であった。間違いなく「B級」であり、カルト的な人気と言われる何がしかの「ツボ」の存在を確信できる。人に勧めるなら自分もこういう言い回しになる。いやこれ面白いよ!ってまた、嘘くさい…。

この映画にはいくつものバージョンが存在するようだ。見たのは「劇場公開完全版」となる。作品のカテゴリーとしてはミステリーになるらしい。ならばいつも通りにネタバレ注意と書いておきますが、まあ20年前の映画だし…。

B級である所以。明確に安っぽいセットで撮影されていることがすぐにわかる。監督も兼ねる水野晴郎の芝居の素人っぷり。これには誰も異論はないでしょ。調度品まで安いのが良く分かる。個室のドアなんかぺらっぺらで押し倒せそうである。…まあ実際の当時のシベリア鉄道もそんなものだったかもしれない。ベニヤ板の仕切り。

ミステリーとしての出来栄えはどうだろうか。特にミステリーが好きでもないもので良く分からない。ミステリーであるからには作中でその「謎」の部分の解決が為されるんだけど、個人的にはトリック自体には納得がいった。まあシンプルな謎解き。もし何度か見直せば何か不自然だったりするのかもしれないけども、ここにB級の空気はなかった。

この作品で何よりも一番印象に残ったのは、唐突ともとれる「反戦」の主張だろうか。作中の展開で表現するならばミステリーの解決後、明確にストレートに「反戦」というメッセージが主演の水野春郎の口から語られ始める。この発言が出るまでの映画中のストーリーの流れは不自然でも何でもないんだけど、なんだろうこの違和感というか。こういうのも演技力のせいか、あるいはこの違和感がB級の所以なのか。エンドロールに至っては何かドキュメンタリーを見たかのような印象。ああこれがテーマなのね、と納得はできる。見始めの時には思ってもみなかった。「シベリア超特急」というタイトルではなんとも想像しがたく、驚きであった。

そもそもこの作品の舞台は、実際に、欧州でヒトラーと面会後、シベリア鉄道で帰国したという山下奉文の行動を基にしている。事実、この後、世界は戦争に突入していく。世界大戦前夜という時世にあり、戦争が作品のテーマに絡むことは自然なこと、あるいはもう本命と言っても良いのではなかろか。それが何でこんなにも奇異な主張に映るのだろう???これだけ印象に残るのだからテーマを伝える事には見事に成功していると言って良いのかな。

数日に渡る否応なしの行程。様々な事情、思惑を抱えた人間が、同じ場所に押し込められての旅。壁一枚の向こうで何を考えているのか。そうこうしているうちに、列車は否応なしに目的地に着いてしまう。降り立たねばならない。あゝ人生とは、世界とはそんなものなんだろう。ゆらゆら揺られて長い長い旅をしているのだと…。そしてどこかで放り出されて散り散りになって歩いていくのだ。ちなみに、走行中の列車の中が舞台に関わらず、画面が揺れる演出がないこともB級としてのツッコミどころ、らしい。

作品は冒頭に予告されたどんでん返しを迎える。パターンとしてはあるんだろうな、という展開だけど、あまりのことに脳みそ止まるかと思った。一応のテーマの繋がりはある。さらにもう一回のどんでん返しで、もう好き放題だな、と顔がにやけてしまう。ここで、映画に入ってからの冒頭の場面が何だったか判明するのだが、もう本当にびっくりしてしまった。もしかしたら、映画のハードコアなファンからしたら「ベタ」でサムイのかもしれないけど、自分はすでに見たことがない展開に脳みそ発熱している状態だったので、これはもうね。( ゚д゚)ポカーン

やがて映画は、映像の再生が止まるという意味での、本当の最後の場面を迎える。満面の笑みでカメラ目線で語られる、「やっている事と現実は別か」という台詞。やっている事とは?現実とは?

以前デビルマンを見た時にも、ニヤニヤしながら見るつもりであまりにも露骨に酷いのでなんだか却ってシリアスに見てしまった。本作もそういう心持ちでいたものの、予想以上に、というか全く予想してない方向から衝撃を受けて、これまたニヤニヤなどできなかった。上記の文章もそんなノリでは書かれておりますが、実際、B級たるツッコミどころは多い筈だ。自分がガサツでおおらかなので、気付きもしない点も多かろうなあ。それを乗り越えてきたデビルマンは格が違げふんげふん。

本作、水野春郎の壮絶に濃い情念と愛情を感じざるを得ない一作。もうこれは、魂に染み入る傑作である、と言わせていただきます。なお、このレビューを書くにあたりネットをごそごそしていたら、下記リンクの「ファミコンみたい」という表現が実にしっくりときたことも合わせてお伝えいたします由。

http://cinema.intercritique.com/comment.cgi?u=1791&mid=3666

半年前の酒

前回の更新書きかけじゃねえか。続きをどうしようかとも覚えてないのでこのままで。
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賞味期限を半年過ぎた料理酒が、さも当然のようにナンプラーや穀物酢に混じって鎮座の事。
酢も二週間過ぎてるわ。みりんも一カ月ほど。なんだよこれ。

逆算するに、おそらく前年の秋から冬にかけてあまり自炊をしていなかったという事になる。まさしく心当たりがあり。適当に大根と油揚げや糸こんにゃくなんか入れた煮物を良く作るんだけど、どうしたことかあまり作っていなかった。代わりに何を作っていたのか。これが…どうも、お総菜ばかり食っていた気がする。良くないね。

料理酒は捨てるしかないので捨てた。これから夏になり、さらに煮物なんぞ作らないので、酢以外は買いなおす事もしていない。一人暮らしの自炊は、夜に翌朝のものを作ることも多い。勿論時間短縮のため。同じメニューが晩と翌朝で続く形になるが、気にしないわそんなもの。これからの季節は当然の事ながら、翌朝分は冷蔵庫に入れないといけない。ほかほかの煮物を粗熱が取れるまで待って、冷蔵庫に、翌朝にはレンジであっためてまたほかほかに、って無駄が多い。炒め物なんかだと多少あつあつでも冷蔵庫に放り込んでしまえ、ということで、自炊では炒め物率が上がる…気がする。あとパックから出してそのまま食える豆腐なんかは便利だ。ベーコンなんかも良い。包丁で切らずとも良いのでまな板や包丁を洗う必要がない。相変わらずコメは炊いていない。

バリエーション豊かな保存食があればなあと。特に野菜系の。例えばお漬物を自作ってそら調べればいくらでもやり方はあるだろうけども、さてさて。美味しくできるまでどのぐらいの経験がいるかしら。嫁入り修行かよ。いずれにしても素人が保存食に挑戦するにはもう季節がよろしくないか。ほっけの煮物を作るぐらいには洒落と実利の追い方を心得ているつもりだけども、季節には勝てないの~。

昨今は冷凍食品の類も大変に美味であるので実はここ一年ぐらい利用率が上がっている。なんだよあのそのままフライパンに放り込んで加熱して待つだけの餃子。びっくりするほど美味かったわ。

「自分で作ったものを冷凍すれば良いんじゃないの?」

はたして正論でおま。ところがね、これは露骨に味が落ちますね。また、ニチレイとかそういうところの製造工場みたいに衛生面が徹底管理されているわけでもなく、単に冷凍庫に放り込むものがさて一か月後に安心して食えるクオリティかは怪しい。冷蔵庫も機能的な品物じゃないし。20年近く稼働してるよこの冷蔵庫。

何だかんだ言って、結局は3日も保存できれば問題ないのですが、要するにまあ、保存食という名目で、作ったことないものに手を出してみたいというわけです。普段、面倒くさがりなんでレシピが五行以上あったらやらない。良い機会か。

口に入る大きさに切って、衛生上問題ないレベルまで加熱調理し、味付けする。

料理なんてこれでいいのよ。

199-200

コンビニに於いてある漫画をたまに買う。あの分厚いの。聞いたこともない作者の知らない作品など読んでみるのも面白い。酒なんぞ飲みながら。で、当然のこと、売れ筋の新刊なども並んでいて、自分もコンビニで売ってそうなものはここで買う。Amazonで買ってコンビニ受け取りは手間なだけだと気付いた。そらそうだろ阿呆。闇金ウシジマ君と刃牙道が最近のチェック対象だ。

するとこち亀の199巻を見かける。いよいよ200巻か。

こち亀はうちの両親でも知っている漫画だけども、自分が小学生のころとは作風にだいぶ違いがあるようだ。交番に訪ねてきた人を追い返して「東京はお前のような百姓が来るところじゃねえ」「新潟で米でも食ってろ」などという姿はもう見れない。惜しいと言えば良いのか何といえば良いのか…。

ググってみるとまあこんな感じだ

どこか落語っぽい。舞台が東京下町だからだろうか、作風によるものだろうか。お決まりの役回りの登場人物。欲にかられて下手をうつ、人情に篤い、腕っぷしは強い。立川談志は落語を「人間の業の肯定」だとしたらしい。規範や公徳心だけではわたっていけない世の中の、人の世であるが故に、揺れ動いていく。あいつ今何時で?なんつってお足をごまかしやがった→俺もやってみようみたいな、しょうもない人々。こち亀もそういう世界をどこかに匂わせる。下町の交番の警官という設定も、規範と人情の境目にあるようで実に良い。ま、またいつか読める日が来るだろうか。

書いてて思い出した。こち亀の登場人物そのままで舞台を江戸にしたものを読んだ事がある。絵柄が作者の其のままだったと記憶している。ジャンプに連載されたものだろうか、単行本の企画モノだろうか。実に違和感のない作品だったと思う。

落語のなんかの噺、そのままこち亀で漫画化できるんじゃないか。時そばだったら、屋台を引くのは日暮あたりか。お釣りをかすめようとするのは両津だろう。根問いだったらやはり大原部長に、両津が問いかけるんだろう。うーん、ダメだ、大原部長がやかましい!ってキセルを投げつける姿が想像できる。小銭やるから帰れ!とも言わないだろう。時折挟まれる、交番内での会話形式で表現される時事ネタは、まさに枕の部分か。

酢豆腐はどうだ。きざな若旦那。はてはて。脇役に居るかな。うーん。上流階級っぽいの。中川はイメージ合わないなあ。このイメージが合わない、という感想もきっと199巻までの歩みあればこそ、200巻が発売の折には