Another Brick In The Wall

路上にチラシが散らかされていた。

雨に濡れてしまってべっとり路面に張り付いている。大抵は燃えるゴミの回収時にこぼれたとか、配ってる途中に散らかしたものだろう。自分あての大事な通知など混ざってないかと一応チェックする。集合住宅住まいの人はこれやるよね。結果、ピザ屋と不用品回収とマンション。ポスティング広告ド定番と言えるラインナップ。となれば同じようなものがわが部屋の郵便受けにも。こんな貧乏アパートでマンションの広告なんぞ配っても無駄じゃわ、もっとマーケティングせえよと思ったけど、ちょっと考えれば一軒家にお住いの方々に配っても絶対に効果がないわけで、家のない人に配ってもさらに無駄で、アパート住人に配るのは正解ではあった。

普段使っている鉄道の路線から見えるアパートに異変を認めたのはGWごろであったか。ちらっと見た時に、部屋の中が見えた。カーテンが取り払われており、どうも空き部屋になっているようだ。異変、というのは、その空き部屋数が随分と多い。空き部屋の中は暗いので、日光の加減もあるとはいえど、まるでアパートに穴でも開いた風に見えてしまう。たまに報道で見る、中東あたりの戦時下のビル。RPGぶち込まれた焦げた穴。あんな感じ。煉瓦の壁から数個がポコッと抜けたような印象も受ける。いつも出勤時にこのアパートに目を遣ると、祭りのお面屋台のように色とりどり、賑やかにはためく洗濯物の鮮やかに映えたものだったがどういうことか。おそらく建て替えなんだろう。そうなればみんな出ていかざるを得まい。

思えば今の自分が住まいとしている部屋も随分と古い筈で、このまま住んでいればあのアパートのように追い出される日が来る。幸い普通の収入があれば住む場所に困らない社会ではあるものの、例によって毎度毎度いつもの如くに、面倒くさいことは嫌いということを主張。…あんまりこれを主張しておると、やむなくお誘いを断るようなシチュエーションでも、面倒くさがって断ったと思われがちなんだよな。そんなことになると一個捨てても大差ないわいと捨てられてしまう。煉瓦の代わりなんぞいくつでもあるわいと。それは寂しい。

まあだからって引っ越しを強いられて嬉々とするシチュエーションもないもんだ。あのアパート、如何にもクラシックな、昭和のアパート然としているが、そんな古いのだろうか。ネットでちょっと調べてもあのアパートの情報に辿り着くことすらなかった。