-
めし短観
蕎麦を沸騰した湯に放り込んで、冷蔵庫を開けて麺つゆを取り出す、と、冷蔵庫の中のなめこが目に入った。大根おろしなめこにするつもりだったが、今なら湯も沸いてるし、なめこ蕎麦に変更。麺が茹で上がるころあい、箸でつまんでそのままどんぶりに移す。つまりこれは、お湯を使いまわす算段であります。そこになめこ投入して一分もかからない、今度はざるにどばー。蛇口からの放水で雑に冷やし、返す刀でどんぶりにどばー。世にも珍しい、かもしれない、アツアツのなめこ蕎麦ができあがった。うまくもなければ、まずくもなければ。
なめこといえば。つげ義春の作品だったと思うんだけど、なめこの炊き込みご飯というものがあるらしい。宿の女将が作者に勧めたものだったような…。経緯は兎も角、そんなものがあるのかと、ググる。ある。ご飯を炊くときに出汁となめこを入れる、というワンライナーレシピの簡素なものだ。考えてみれば、山菜セットみたいなスーパーで売ってるパックで炊き込みご飯を試したことがある気がする。なめこ単体かあ。次に米を炊く機会があればやってみようか。
柿ピーの「超辛いワサビ」なる商品があったのでお買い上げ。確かにワサビが強烈だ。…当然ながら、それだけという商品。ホヒーとか言いながらこういうの食べるの楽しいじゃないですか。
10年は過ぎましたかね、炭酸水が世に流行りだしてから。甘味を加えず風味を追加する商品がぽちぽち登場して、すん…と消えていくのが残念ではあります。最近買ったこちらがお好みでした。実は日本企業だぜウィルキンソン。うっすら生姜味。でもねあなた、450mlってなんだよ1割減ってるじゃねえか。日本は末法が到来しております。
台風でコロッケ食うなら、円安で何か食っても良きかな。しかし経済にはうといので、ドル円相場だけしか耳にすることもなく。じゃあ連想されるアメリカの食い物を何か頂きましょう。などと。ピザハンバーガーホットドックパンケーキ牛乳かけて食べるシリアルコーラ…フィラデルフィア銘菓のおくすり…。いまいちピンとこないね。「まんじゅうこわい」は饅頭じゃなきゃだめなんだ、と談志は語ったらしい。これは”そういうもの”なんだって。台風とコロッケの組み合わせに合理的な意味もないけど、コロッケじゃなきゃあダメだという理屈が一瞬で出来上がった。ネットスラングのジョークをそこらの商売人が取り入れた結果であって、そこに大義もない。売るにあたって何かをこじつけようという、商人のおしごと。この清々しさは、恵方巻の喧騒よりはるかに構造がマシだと思う。で、円安においてはやはり「遺伝子組み換え食品」を食うのが風情がありウィットに富んでアイロニーが薫るこの十年で一番の出来。趣旨と道理。さあ具体的に何を食えばいいのだ。プリングルズとかドリトスあたりは怪しいか。米国産豚肉なんかもどうかな。
季節の移り変わりに合わせて何かを食うイベントがあり、台風に合わせたものまであるなら、世界情勢や経済事情に合わせためしがあってもいいんじゃないか。それが「AWSが落ちたらかまぼこを食う」みたいな意味が分からないことでも、続けていけばそれは歴史になる。実践は任せた。
にんにくポン酢というポン酢があったので、試しに買ってみた。ちょうどカツオのたたきを買ったところなので目に付いたんだけども。美味しくなくてびっくりした。醤油小皿ひとつぐらいの消費でもう嫌になってしまった。ニンニク味でもポン味でも酢味でもない。弱ったねこれは。にんにくの臭気はとても強烈だけど、普通はあれを良いにおいと認識する。本品の臭いはどちらかと言えば「ごっきーホイホイ」に近い、生ごみになりかけた玉ねぎの臭気に近い不穏さがある。おろろん。
ロックダウン状態にある上海で配給された食品が、何故かタケノコだったとニュースが流れてきた。あまりに巨大になっていて、もはや食べられる状態ではないのでは?との意見も多数。仮に食べられるとしても、タケノコ渡されても困るのではないかなあ。
-
「塗仏の宴 宴の始末」を読んだ
一応ネタバレ。ぴえんな人は死んだふり。
結局、「支度」も「始末」も読んだ。こンだけ長いのを読んだのは初めてだったかもしれないサ。案の定、誰がどこと関係があってどこどこに移動した、とかあまり把握できなくなった。メモとかとって横に置きながらじゃないとだめだあ。とはいえ、流石に全く右も左もわからんほどに忘れるものでもなく、存分に楽しめた。正直な話をすると、加藤〇〇って誰だか最後まで読んでも思い出せなかった。主人公が「うっかり関わった」と失態を認めたものなんだけどな。ほんとう?誰だよ。
そういうわけなので、おそらくは他の人よりも体感でマシマシに散らかったスジがまとまり始めた終盤はお見事なものでした。なぜてんやわんやで現地にまで移動する必要があったのか、という点にもちゃんと回答があった。各人が催眠術で自分の記憶を…。本作には「不思議なことなど何もない」という決め台詞みたいなもんがあったが、本作のメインのトリックである催眠術こそがたいそうに不思議なものだと思うんだけど…まあそこはお約束みたいなことかな?よくわからない。「記憶を改ざんした」で済むんだから不思議と言わずしてなんと申さむ。んでシレっと記憶が戻るってなんだエスエフかな。
読み終えて、冒頭。「宴の支度」の冒頭を思い出す。あれは死体だったのではないか、みたいな文章があったと記憶している。確認してみると、文章はちょっと違ったが、その「場」にいた人物の名前が書いてある。その後しばらく読み進めると、物語の後半でも出てくる人物、これらの人物が何年までどこどこにいた、みたいな情報もさらっと書いてある。「建物の位置は同じように思うが住んでいる人の話が容量を得ない」という核心まで触れるようなことを書いてある。とても記憶しながら最後読めるものではないと思うけど、これを覚えておかないと後ほど意味が分からないような小説は作らないだろう。このテの情報などをちゃんと覚えて読み進める読者なら、先の展開が読めたぞってニマニマできるんだろうか。なるほどなるほど。
そう思って何か所か飛ばしながら読み返すと、やっぱりこれどういうことだろうか、と思う場面がぽろぽろでてくるけどもういいや諦め。自分が忘れておるんだろ。
記憶がどうとか出てくるのでまたBIGBROなんとかってオチで〆ようとしたけど、イマイチなのでボツであります。以上。
-
東京大使館探訪を完了しました。
ルール
東京都内の在日大使館の入り口前まで電車と徒歩でいく。ただし、部外者が立ち入りできない施設、ビル内の一室などのケース、同じくビルに複数の大使館が入居しているケースもあるため、公道から所在が確認できた程度でもOKとした。確認すらできないものも、まあ…下記に示すサイトの住所にたどり着ければOKとしました。
この企てに於いて、大使館、総領事館の所在は外務省の情報をオフィシャルとする(下記リンク)が、開始から終了まで数年を要したので、途中で移転したものなどもある。流石に一回訪問すればOKということに。2022年春の時点で、リストにありながら確実に訪問していないことを把握しているのは「在東京セントビンセント及びグレナディーン諸島名誉領事館」だけだ。このリストも何回かは更新されているので、無くなったものは把握できたが新規追加で足を運んでいない大使館があるかもしれない。でも、この企ては終わりにしたいのでもう行かない。ごめんねごめんね。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/link/emblist/index.html
政治的事由で大使館とは呼ばないだろう施設も訪問対象としてカウントした。具体的には「パレスチナ」と「台湾」の二か国。東京外の大使館が在日大使館を兼轄しているものは訪問対象にしなかった。例えばガイアナ(ギニア)大使館は中国にある大使館が在日大使館を兼轄している。流石に東京都限定でゆるしてちょ。
終了しての感想
スタートは2015年の正月か?全部行ってみようと意識しだしたのは2017年ぐらいから。途中まではingressがメインの目的だったのですが、ingress自体に興味を失ってしまったので、単純にお散歩に変更。勤務地の変更やCOVID-19もあり、特に終盤は年に2,3日ほどのペースなので遅々として進みませんでした。あと、天気悪かったらやらないもんね。休日の早朝から行動開始というパターンが9割で、残りは仕事の帰りに寄り道。麻布、六本木、虎ノ門などは大使館の数は多く、この企て以外で訪れることも無いエリアのため、見たことない景色を楽しめました。
こうして諸国大使館の外観・ロケーションをかる~く楽しみました。どこの国でも基本的にはオフィスなんですが、たまに特徴的な建物などあって面白いです。アメリカ大使館はいかにも「軍備」の延長という感じでありますし、対してロシアはドラクエの宮殿のようです。あんな坂の上で堂々と。他にも、例えばスウェーデンやパキスタンあたりは、どことなくお国柄が出てそれっぽい造りをしているなあ、という印象でした。ドアに凝った紋章を掲げてある国もあったりして。
麻布十番、六本木といった賃料の高そうなエリアは、やはり規模の大きな国が多めで、子どもの頃から名前も知っている国が多い。一方で、アフリカの新しめの国家などは都心から離れて、周りに大使館が少ないエリアにあることが多い印象。例えば、上野毛にある「中央アフリカ」や戸越銀座にある「ザンビア」など。これは経済事情が大きいかもしれません。トウキオのお家賃たかいのよぅ。考えてみれば、世界中のいろんな国に大使館置くのは相当なコストですもんね。
企業のオフィス内部にあるようなものは、やはりその企業とかかわりが深いのでしょうか。三菱商事のビル内にある「モナコ」などそうなのかもしれません。尤も、東京を離れて、地方都市の領事館などは独自の建物ではなく〇〇ビル内であることが殆どのようです。
「大使館」とはどんな役目を担うのか。国交を持つからには必要だと便宜的に置くだけでも足りるものだろうか。その敷地に適用される法がどうとか、ややこしい話も本来いろいろあるんだと思う。自分もそういうイメージだ。だから、普通の住宅地、一室に国旗が鯉のぼりのようにはためいている、というのは正直驚いた。それでいいの?って。
ところで、パレスチナの代表部とイスラエル大使館はほど近いところにある。何かの意図があり、何かの役目を担うために近くに設置した、という事がありえるのでしょうか。わからない。よりによってイギリス大使館まで近所にあると、流石に失笑してしまうというか。ま、まあね?隣の駅には防衛省もあるから大丈夫だろきっと。
自分もやってみよう!という方へ
都心部は大使館の数も多いですが、坂も多い!どこへ行っても平坦な道は殆どないです。雪の日は避けたほうが良いでしょう。特にナイジェリア大使館沿いの「江戸見坂」はびっくり。坂道マニアの方なんかはこの企てと兼轄できるのかもしれません。
効率の良いルートを考えるのもこういう企ての楽しみの一つだと思いますが、地下鉄では駅構内の移動距離も馬鹿にならない。上りホームと下りホームで入り口が違うとか、大江戸線が異常に深いのでホームまで到達が大変だとか。自分は対象の大使館の国名と簡単な経路を事前にメモして行動しました。東銀座から日比谷線→六本木ヒルズ→ナイジェリア大使館→徒歩で六本木ヒルズもどる…みたいな単純なもの。勿論、所在地は移動中にスマホで調べることもできますが、googleMapでも拡大/縮小すると大使館のランドマークが消えてしまったりする罠があります。私の場合、全行程のうち二か所ほど通りすぎて後日再訪ということがありました。無駄足を厭うのであれば、しっかりと訪問する大使館のリストを作って順に訪問すると良いかと思います。都心にあるくせにどの駅からも微妙に距離がある、みたいな大使館をどのルートに組み込むのか、腕の見せ所です。フランス大使館とか。
訪問者は、用事もないのに門前でうろうろしたり写真撮ったりする事になるので、警備している方や、近傍の住民などからすれば、不審者と判断され得るという事に気を付けましょう。自分は特に早朝に行動が多かったもので目立ったかも。ロシア大使館は常駐する警官が気になって写真あきらめた。総じて、確認出来たら滞在時間1分もないぐらいのもんでした。ささーっと立ち去るが良いと思います。
-
「塗仏の宴 宴の支度 」を読んだ
本書を知ったきっかけは、ある漫画だった。作中の人物がこの「塗仏の宴」を読んだと描いてあった。その人物はおそらく桜玉吉だったと思う。十年ぐらい前か、あるいはもっと前かもしれない。昨年の冬、何か読もうかなともろもろ物色しているときに、ふっとそれを思い出して、本作を購入していた。
さて。
複数話が収録されている形式と知らなかったので、その最初の作品である「ぬっぺっぽう」の最後は唐突にやってきた。とても面白かったのに、そんな〆はアリなのかと憮然としたもんですが、気を取り直し、続く「うわん」を拝読して驚く。繋がってるのか。
ーーー桜玉吉はこう綴っていたと記憶している。「たまさか徹夜で堪能した」
文字量も情報量も多く、まさしく堪能。作中に識者たちの会話が続く場面は、あれは作者の脳内で組み上げているんだろうか。凄いことだ。おそらくは取材に行ってインタビューをしたとか、充実した資料があってのことだとおもうが、とにかく濃密。小説を読んでいるというより、歴史モキュメンタリー、あるいは妖怪研究家のツイッター連投を読んでいる気分になる。作中、また巻末の参考文献に柳田國男と折口信夫の名前が出ていた。高校生ぐらいかな、遠野物語なんて本があると教諭から教えた貰ったような…あとは姫神のCDアルバムとかで知った名前かしら。
読み進めながらも、どうやって終わらすねんと思っていたら、唐突に何か繋がりのある展開になった、かと思いきや、終わってしまった。…??どうも、この「宴の支度」のほかに、「宴の始末」シリーズがあるらしい。同じぐらいのボリュームっぽいが、ちょっと手を出すかためらう。どうしたもんかね。本を読むのは疲れるお年頃。
小説の登場人物って、頭が良く、ものを考えるタイプじゃないと演者として務まらないのだと思う。そうじゃなければ作者が書く内容に乏しくなるのかもしれない。特に考えるでもなく思いつきと愛想笑いだけして順調に生きていては、物語のスジができないんじゃあないか。本作はよくもまあ、というぐらいに書いてある。二人の会話で読み進めるのに小一時間ぐらいかかった。人間っていうのは、こんなにゴタゴタ自分についての思索を巡らせながら生きるもんかね?なにか縁遠い。SASUKEを観るかの如くに、登場人物が縁遠い。故に楽しめたとも思うがどうだろう。今までに読んだ小説ってどうだったっけ?忘れたなあ。
そうなのよどうしませう。どうせ自分のこと、間をあけると内容を忘れてしまう。「宴の始末」を読むかどうか。「宴の支度」は三巻。個人的にはこの分量を一週間ほどで読むのは、なかなか頑張ったぞ。ニートみたいな暮らしのころは、このぐらいは一日でさくっと読んだもんだが、もう難しい。初老だなあ。実際、二巻の半ばごろにはもう登場人物の名前と関連性を忘れかけていた。この人だれだっけ?なんてね、いつものこと。現代的解釈によれば不思議な事などではない。ようかいのせいなのだ。
…:;(∩´﹏`∩);:
-
「出るか分からない温泉を掘りつづけてるうちに、30代になりました。」を読んだ。
矢寺圭太という漫画家さんの日記作品。年1ぐらいのペースで6巻まで出ておりますが、kindleで無料です。やったね。内容はとても面白いぞ。
作者は40ぐらいの男性だが、作中では自分自身を若い女性として表現している。たまに🐶。まずそんなパターンがあることに驚きもあるんだけど、これは桜玉吉の黄色いお面みたいな、漫画映えする意匠ってやつかね。桜玉吉なんて例えが出てくるあたり、もう…わたくし40代になりました。基本的には年1ぐらいのペースで加齢しております。
作者自身が登場する漫画って、珍しいのかな。本作は全く以て別の姿かたちで表現されているが、作者自身がリアルに登場する作品、何かあるかなー、なんてぼんやり考えた。吉田戦車とか西原理恵子が育児漫画描いている。清野とおるの赤羽のアレなんかも作者自身だなあ。鈴木みそは自身が取材したドキュメンタリー作品も多い。この辺は当然リアルに寄っている…って、知人ではないので、作品だけ読んで本当にリアルかどうかなんてわからない。そうなんだろうな~~っては思う。小林よしのりも本人が語るパターンだな。
まあとにかく。
他人の日記を眺めるのが趣味だという方はどうぞ。「ロマサガのポーズ!!」で死ぬほど笑った俺はやはり40代半ばなんですな。