• どくしょかんそうぶん

    「インセプション」を観た

    面白くはないんじゃないか。以下完全なネタバレ。

    謎の夢潜入マシンの説明がないあたり、正直雑じゃないのか?単なる睡眠薬とか?飛行機の中で目が覚めた時、謎マシンに繋がってないのはなんでよ。いままでは目覚めた時に全部物理的に繋がってたような。これは重箱の隅かと言われるとそうかもしれないけど、この映画の根本なんじゃないのかなあ。何で夢なのか。毎日眠る人間という生き物なのに、なぜ日のあるうちに無理やり眠らせているのかわからん。…ああ、眠っても夢を見ないこともあるから薬剤注入なの?

    主人公に状況を説明させる台詞を言わせるためにずっと一緒にいるヒロイン。便利だな。何か才覚を見込まれて一緒に行動することになったんだけど、雪山軍事基地?病院?で彼女の言ったアイデア、理解できました?えーとこれが夢の三階層目であれが一個上でここで眠るとキックのときにえーと?こういう時には、「その手があったかー!!」ってアイデアが欲しいもんだと思うけどなあ。

    車がひっくり返ってもキックとやらが発動しないのはわからん。

    なんでアイデアを埋め込むのにより深く?潜る必要があったのかわからん。

    サイトーさんのライバル会社の御曹司は、飛行機の中で夢を見たってだけで何か変わるのか。目覚めて周りにいる人全員夢で見た人間だぞ平然としている場合か。でも夢の中であなたの夢を守る見方だって言ったから、って夢の中で植え付けたアイデアってなんだっけ。親父の遺言?あれは誰が作った遺言なんだよ自身の記憶ならえーとえーと?

    わからんわからん。

    「夢だから何でもありだけど俺の脚本にはねーから!」って声が聞こえてきそう。ため息でます。しかし映画の好みは人によって分かれるのは当然ですが、この作品で感動したのは流石に嘘だろうと言いたい。嫁の難解な思い出と子供との再会しかねーぞ。子供と再会するために頑張るパパの映画かこれ。なにか埋め込まれたんじゃねえのかあんた。

    最後の場面もきっと、「これ夢オチでしたー」って言いたいのを、流石に周囲や制作会社の偉い人に全力で止められた、みたいな事情が見える。やっぱりオチも解釈も全部客に投げるの、好まないかな。それがハマる映画もあるだろうけど。

    夢の中の夢を表現するのに、映画的な意味でのシーンチェンジというのはなんかこう。見ているほうは演者の姿かたちとかで分りやすいのかもしれないけどね。見終わってからなら、「どうせならもっとやったれ」とも思う。

    最近見た「メメント」と同じ監督だと見終わってから知った。「インターステラー」もそうだと知るに、複雑な構成が好きなのかなと。

    なんかこうどれもこれも、印象が薄いというか…。上記の文章の散漫さよ。まあ驚きが少なくて、楽しめなかったというのが正直なところ。以上~。

  • どくしょかんそうぶん

    「The Last Days of Peter Bergmann」を観た

    なんですかそれは、という人が殆どでしょう。全編英語で字幕もなし。上映時間は20分に満たないものですが、その内容は実にグッと心に響きます。以下ネタバレです。

    2009年、夏。アイルランドのスライゴ…の北西、海沿いの村。初老の男性が遺体で発見される。彼の身元を調べていくと、驚くべき事態に発展する。彼が誰だか、わからない―――。

    現場近辺の地図は以下のリンク。宿泊先のSligo City Hotelもストリートビューで見れます。

    https://goo.gl/maps/SyVku4ijCaQ2

    作中のとある場面を同じ場所を偶然発見したので記念にリンクしておこう。
    https://www.google.co.jp/maps/@54.3052376,-8.5672705,3a,75y,275.48h,84.12t/data=!3m9!1e1!3m7!1scIexncBiyUqo9g6a71ovyQ!2e0!7i13312!8i6656!9m2!1b1!2i49?dcr=0

    そんな彼、”Peter Bergmann”の最後の日々の様子を、ホテルの従業員、目撃者の証言と、監視カメラの映像で構成していくドキュメンタリー。穏やかな音楽と時折挿入される風景の美しさに、うっとりする。

    Peter Bergmannはおそらく偽名で、住所も虚偽のもの。彼が誰だったかを示すものが一切残っていない。警察は彼の身元を特定しようとするも、至らない。例えば。彼はホテルから紫の手提げ袋を持って出かけて、手ぶらで帰ってくる。何かを処分しているのだろうか?監視カメラでは街中を歩く彼の姿が幾度となく目撃されるが、しかし、その処分している場所が特定できなかった。最後のチェックアウトからバスターミナルまでの間には、彼のショルダーバッグも数が減っている!

    彼は海沿いの村で「奇異な黒い服の男」として浜辺で目撃され、翌朝には遺体が発見されている。ホテルには3日宿泊の予定でチェックインして、その通りにチェックアウトしている。予定通りの行動であったわけだ。恐らくは死ぬところまでも?検死によれば、彼は癌に侵されており、遺体から痛み止めなどの薬剤は検出されなかった。

    彼がここを死ぬ場所だと決めて訪れたのだろうか。たまたまここになったのだろうか。IDを何も持ち合わせていないことなどから、予定通りの行動だったとは思うのだが、彼がどこかに捨てたはずの紫バッグの中身が見つかっていない。地元の警察の捜査に関わらず。彼はこの街の監視カメラのアングルをある程度把握していた…?

    いずれにしろ、彼は偶然身元不明なのではなく、誰かの意図で誰だか分らぬようになったということ。願わくは彼一人の意図であってほしい。彼は最後に自分の人生を塗り替えた。家で孤独に一人死ぬよりは、こういう方法を選ぶという考えも、実によくわかる。ましてや病とあっては。自分もこういう死に方の準備でもしておこうか。偽名は、そうだなあ…まあ…。
    ——
    何かイベント時のものと思われる作者と聴衆のQ&Aセッションの動画がこちら。自分にはとても聞き取りにくくて、内容を把握するのは難しそうなんで諦めた。

    https://www.youtube.com/watch?v=ExJy7EXwTM8

  • ふでのゆくまま

    もしもあなたの車が勝手に動いて安全に目的地に着くならば

    中で寝ますよね?

    一定の条件下で自動運転モードになるような機能のついた自動車の宣伝がながれておりました。そのような機能が発動したあとは、運転に集中する必要がなくなるため、車内で精神の病を発症したようなテンションで大盛り上がりではしゃいでいる家族というような描画がされていて、そんなわけねえだろと思いました。自力で運転しなくても移動できる状態が、それそのままタクシーや電車のようなものだと考えると、まずは寝るのでは。

    人は仕事に間に合うように目覚め、勤務地へ移動します。寝ながら移動ができないためです。勤務地の隣に住めないからです。おうちを勤務地にするという手法で解決を成し遂げた人もおりますがまだまだ少数派。人間は寝ないと病み、やがて死にますね。寝ましょう。

    中では眠っている人が横たわっている車が大量に走っている世界。どうでしょうか…。駐車場が看板をモーテルに変えたら当局から消火設備がないと指導を受けたとか、電車で寝るホームレスが「専用個室とは豪勢」だねえと感心したとか、帰るのが億劫だから車に住んでたら住所不定になってクレカの審査落ちたとか、一切の凸凹のない安眠道路が建設中だとか、販売店のオプションに枕があったとか。まあこんな小噺ぐらいになるな。いや、枕か。わはははははははは。爆笑の渦。

    ま、渦を巻くぐらいの人数だったら、ぐーすか寝てないで何をしましょうかという話なんでしょうけども。車の作りって、みんな同じ向きに座って前に二人後ろに三人とかで…その座席で何しましょうね?どうあってもピンと来ないCMに眠くなる春の一日でございまし。

  • ふでのゆくまま

    せとうちフェア

    近場のスーパーでやけ食いの依代を漁っていたところ、店内放送が耳に入った。

    「とうてんではただいま、せとうちふぇあをじっししています」

    瀬戸内フェア。なんとなしに見当がつくが、ふと寂聴のほうを想起してしまった。ボンカレーのパッケージが目に入ってしまい、それを脳内で寂聴に変換したところ実に愉快な買い物ができた。ボンカレーは買わなかったすけど。

    こんな一言を書くために瀬戸内寂聴についてネットで調べると、実に豪快な人である。出所が怪しいような情報もあるものの、ちょっとイメージと違っていた。こういう味わいを人間味と言うのだろうか。故事に言う、英雄色を好む。談志が言う、業の肯定。それでいて清らかで純であるという雰囲気を称すならば…例えば「徳」とか?

    まあ寂聴さんのケースでは法曹に属していないとまた色眼鏡の色が変わるかもね。西原理恵子みたいな扱いになったら楽しかろう。具体例は書かねえ。徳が下がるし。