ふでのゆくまま

雨が透き

交差点の角、電柱の陰に靴が一つ立てかけてあった。曲がり角を折れて、水溜りを避けて、やや壁にスーツを擦るように歩き、気がついた。子供サイズの、サッカーの時に履くような靴でつま先を下にして、立てかけてある。つま先が僅かに曲がっており、その、部分だけ見ると、陸上のスタート、クラウチングスタートの時の、へんな器具に乗せた後ろ足、の、靴にも見えるんじゃないか。雨上がりの薄暗い空模様、靴の横から踵に抜けるオレンジのラインは、ゆっくりと、無数の粒が流動しているようにも見えた。雨に逆らい立ち上る、仄かに暖かく、暖かく。

立てかけられた靴の前にはやや広い水溜りがある。こどもひとりだったら、すっぽりと、とびこめるさいずだ。

ら。ひとりだと、べちゃ、うおおお、んだよもおおおお。

ヤな季節!

1件のコメント

  • 冬の風鈴

      ヤな季節! の中に1つ(1足?)の靴に目を留める感性をお持ちのようで羨ましいかぎりです。  どんな少年が立掛けたのでしょうね?
     

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