どくしょかんそうぶん

「幻の湖」を観た

ネタバレ。

「デビルマン」は評判通りの酷さだった。「シベリア超特急」は評判と裏腹に良かった。本作を観ずに死ねるか、ということで、コスモを高めながらAmazonで有料レンタル視聴。

娼婦が琵琶湖湖畔で走りこんでいるというだけで意味が分からなくて素晴らしい。同僚に外国人がいるのも面白い、唐突にオフィス業務しているのも意味が分からない(これは後ほど判明するけど)舞台設定の面白さというか不可解さに注目してしまうけど、実はそんな無茶苦茶に話が進むわけでもない。どう言えば良いのか…あらすじはとても一般的になるとでもいうか…。舞台と職業を変えても成立するんだもんなこれ。

一言で言うと、全体的には期待外れ。「笑ってやろう」と期待した人には肩透かし。ところどころ変なセリフとか出るけど、意味不明とまで言えるようなものは殆どない。こういうのは古い映画のアレだ。当時のセンス?そういう風に納得してしまったので、そんな衝撃を受けるようなことも無く、ぼんやりと観ていたのです。ここで、物語が進み噂の場面がやってきました。復讐の相手をようやく突き止め、なぜか走って追いかけるという場面で…あれ?振り切られた…?ここで再生時間を見て驚愕する。全体の半分ぐらいなのだ。えっ、どうすんの。

するとそのうちに時代劇パートが始まってポカーン。もう一度追いかけっこ始まってさらにポカーン。必死に逃げることもなく、二人で黙って冷静にきれいなフォームで呑気な琵琶湖畔マラソンをしている。アフレコの変な呼吸音と喘ぎ声…ああこれは噂に違わぬ珍作だ。さあ復讐の包丁が横腹に突き刺さるその時!

ロケット発射!( ゚д゚)

“こういう”評判の作品を観て楽しむという人は、昨今多いと思いますが、そういう観点でもそこまで楽しめるものではありませんでした。皆様にはお勧めは致しません。個人的には、時代劇パートの(相対的な)クオリティの高さでさらに脳みそが混乱し、SAN値が下がります。制作プロセスどうなってんの?鑑賞後、情報を漁って発見した「主演の女優さんは演技指導で4500km走りこんだ」という怪談みたいなエピソードに慄きました。

以上。なんだけど。

作中の舞台である「雄琴」といういのは実際に存在する土地であります。現在は駅の名前を「おごと温泉駅」と変えています。作中でも「トルコ風呂」なんて堂々と言われていて、主人公もそういう場所で働いているのですが、当時の規制の関係で性風俗が盛んな街になったらしい。街中の風景でも、看板にでかでかと「トルコ〇〇」なんて店名が。その他、作中の地名なども勿論いくつか実在するので、ストリートビューで簡単に旅をしてみた。

亡骸が発見された場所は作中で「和爾川の先の三角州」と言っている。これも実在するが、現在はちょっと狭くなっているんだろうか?

https://goo.gl/maps/49MdF9Qn6tRuFxJm7

沖島(おきしま)は作中で「おきのしま」と言われている (51:30ぐらい) が、確かに実在する。琵琶湖の東岸は知らないと言っている主人公は、東、あるいは南側から見たときに沖島に人家があることに驚いている。これも実際に沖島の地理的な情報と合致する。

横笛マンとの出会いで見下ろす島はなんだろう。作中にランニングコース図があったのを思い出し(5:20)、そのあたりを探すと、どうやらつづら尾崎展望台から、ストリートビューでは入れない狭い山道を南へ進んだところにありそうだ。GoogleMap上では、ドローン空撮と思われる画像もアップされており、その画像で映画と同じ形の島を見つけることができる。竹生島(ちくぶじま)のようだ。見返したら、作中でも同僚の外人さんとタクシーでドライブしているシーンで島の名前を聞かれて「ちくぶじま」と教えている。(22:40ぐらい)

最後のジョギングシーン。映像で衣川町という交差点を右折するのが見える。衣川という交差点なら現存するが、これだろうか?「天神側の砂州へ追い詰めてやる」とセリフがあるが、その川も実在する。ヨレヨレと二人で走りつつ、最後は階段を上ってすぐに琵琶湖大橋に到着する。これが流石に西岸側だろうということで、階段の特定は容易だった。ここまで、ジョギングコースのルートがなんとなくわかるが、流石に特定は難しい。それでも、途中の神社はストリートビューで確認できた(2:33:30)

撮影が1980年前後の筈なので、現時点の細かい景観なんかは比べようもないけど、映画マニアの方はジョギングコースの再現にでも挑戦すると宜しいのではないでしょうか。

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