どくしょかんそうぶん

「カッコーの巣の上で」を観た

思ったのと違う作品だった。どういうわけか、何かこうもっと陰惨なものを想像していた。たぶん「精神病院」というワードと「名作」という前評判で、身勝手なあらすじを思い描いていた。きちがいが斧をもって孤立した冬の精神病院で人々を追い回すような…。じっさい、クルーザーで魚釣りの場面なんかは、学校から元気に飛び出すキッズの群れみたいだった。学園ものかよ。だったら、主人公は転校生のガキ大将。婦長は例える必要もなくママのママといったところでマ。

マ、どう調べても、レビューを見ても、名作だと書いてある。でもそんなに…こう…なんというかいまいち。お話の筋はよくできてたし、悪くはなかったんじゃない?って思うが、すこし味気ないと思ってしまった。決して退屈だったわけではない。「わざわざ買うほどでもなかったな?」とも思わない。でもこの味気無さの理由は…たぶん「ハードルを上げすぎた」というやつかな?また身勝手なこというとりますけども。

果たして、主人公も身勝手極まる。あらすじによれば「刑に服するのを厭って、精神病のフリをしたところ送り込まれたのが本作の舞台」らしいんだけど、その辺の描写あったっけ?カットされてない?斯様な企みごとをしたものの、主人公はバカだからバカな行動をして、バカなりの始末をつける羽目になった。ざまあねーなと。そして、バカではなかった人間がバカを尻目にその目的を達するという「感動のエンディング」を迎えるんだけどさ。以下、一応ネタバレ。

なんで殺してしまったんだろう?一緒に出ようぜって声をかけて、反応がおかしいとわかるとすぐにその場で殺してしまった。連れていくには足手まといだから?自分の本性を知られたから?最初から彼を殺すのが目的の人物だった?いずれも無理がある気がして首を傾げていた。額の傷がキーなのではないかと思っているんだけど、ググったら答えが出た。あれはロボトミー手術の跡を表現しているとのこと。これは納得。なんで思い当たらなかったかね。当時の世相ではたぶん、傷跡だけで視聴者も察するほどにはホットなトピックだったんじゃないかな。1970年代のアメリカ…。エンディングの場面からは清々しい朝のナパームの臭いが漂ってくる。

ところで「カッコーの巣」とはなんだろうということなんだけど、カッコーの子育てについてググってみると、ストーリーにまた味わいが出ると思う。

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