どくしょかんそうぶん

「雨に唄えば」を観た

見終わって、さて本作の公開年はいつだろうかとググってどーん。1952年。サンフランシスコ講和条約が1951年でありますよ。吉田茂がブイブイ言わせていたころですよ!これだから戦勝国は!みたいな噛みつき方をしようとも、1952年の日本でも宝塚歌劇団が営業しているし、世界の黒澤もブイブイ映画を作っているのでありました。羅生門が1950年発表。まあとにかくも、歴史的な作品というわけです。しかしフルカラーなのは当時から?昨今の技術によるもの?モノクロのイメージがあったんだけど、どこでそんなイメージがついたものだろうか。

ミュージカルということも知らなかったので、とにかく賑々しいではないですか。BGMに合わせて人が動くということだけで新鮮。どうにも縁遠い世界。作品の中でも、ブロードウェイがブイブイいわしているような事を歌っていた。ああ実際そうなんだろう、1952年のニューヨークというものは。自分にはターミネーターやブレードランナーみたいな、実際には人類の歴史に登場していない世界のほうが”見慣れている”世界に思えてくる。同年、第一回のミス・ユニバースが開催されている。優勝者の顔も若い乙女の祭典というイメージにマッチしない。写真の一枚だけで語ってもしゃーないか。

本作は出演者が良く動く。歌って踊る。踊りはどう見ても本人、歌も本人だと思う。吹き替えで他人だったら面白い。作中、声がひどいということで吹き替えという当時としてはド斬新な発想に至る、というのが物語のクライマックスとなるんだが、それで実際の制作現場も吹き替えなのかーいって。ああ、「天使にラブソングを」でもあの内気なシスターの歌が作品で唯一の吹き替えだと知って仰天した…という個人的なエピソードはみなさんにどんだけ縁遠いでしょうかー。

地球の裏に及ぶ遠さが、一番有名なあのシーンで一つ、縮まる思いがする。何かのきっかけで、雨が降っている中を歩くだけで楽しさを覚えるようなこと、ある。歌って踊ってなんてことは流石にないけれど、湿った風のにおいやすれ違う車のタイヤの音とか、どういうわけか快いときがある。この作品もようわからんが陽気なバイブスで人々が踊っておられるなあ、というのを鑑賞する心地よさ。どう表現していいかわからないがなんとも上品なノリの良さで、思った以上に観てて楽しかった。

トウキョウジャパンの十連休は雨が多い。今上の帝やらシンゾーが珍しいことするからこうなるのだが、まてまて自分がミュージカル映画など観たせいかもしれない。これは自分が降らせた雨と、ポジテブなバイブスでお外に出ようぞ。小一時間後には自分を恨んでそうなあたりが俗物。ヲホホ。噂にたがわぬ良作でございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)