うそつきは
特に嘘ネタを仕込むような余裕も無く。ちょっと一筆認める時間が取れまして、お付き合い願いたいわけでございますがー・・・。四月になりました。計ったかのように都内では桜が咲き始めました。三月の終わりぐらいに、こう、寒い日が続きましたがそれが却って良かったんじゃないですかね、そんな様子を見ておりますと、ちょっとうぐらい寒くっても上着をぽぽいと脱ぎ捨てて、肩の軽さに春風を受け揚々と歩こうじゃないかと、こんな按配で御座いますなあ。
また四月といいますとですね、新入生のシーズンで御座います。学生さんの入学式はもうちょっと先かもしれませんがね、入社式なんてえオカタイことをやるような企業様はですね、本日四月一日をもちましてですね、新入社員がこう、配属されていくわけですよええ。真新しいカバンなぞ持ちましてね、靴なんかもまだ足の甲が折れてないようなヤツを履いてね、女性は露骨なまでの様子見をしてましてー、ええもう去年の今頃は乱痴気騒ぎでありえない行為に及んだビッチどもが「ねー、よろしくねー、ねー」「ねー」なんつって並んで歩いて電車に乗って俺の隣に立ったわけですよ。
んでその二人さ、お互いに他愛の無い話をしながらも、二人とも携帯に高速で何かうちこんでるの。どこか他の企業にでも行った友人とやりとりしてるんだろうなあ、うんうん。とは思うけどさー、あれは不思議な光景だって。自分は二人が話しながら乗っているのを見たからいいよ。でもこうして携帯みながら適当に相槌を打ちながら話してるのは、はたから見たら、二人とも携帯に大声で話しかけているように見えるはず。「あー、それいいねー」「ねー」そんなところで乗ってきた人々には、この二人は春に増える特定区分の人々かと思ってしまうわけでしてー。ここまでマクラ。柳家喬太郎。
(以下、江戸時代の人物二人が、携帯をいじっている二人組みを見てどうのこうの言う、という話が続く。サゲはまだない。)