どくしょかんそうぶん

「失敗の科学」を読んだ

Amazonプライム枠。普段から勉強に勤しんでいる人には何をいまさら、という内容かもしれないねえ。自分のような不勉強な人間でも絶対に知っている事実として「人間は絶対に失敗する」ということがありんす。誰でも人生で叩き込まれる教えの一つだろう。いつしか自分のしでかしたことに青ざめて恐怖し、実感することになる。本書を読んでいる間にも、どこかに失敗があったかもしれない事件が起こっている。帰宅したら冷凍庫が開いていた、KDDIの大規模障害、安倍晋三氏の銃殺事件まで起こってしまった。

結構ボリュームのある書籍だが、事実をもとにした内容であることもあり、わりと丁寧に何度も書いてある内容もあったりして、そんなに苦にはならなかった。兎に角わかりやすい内容だった。あまり「わかりやすかった」ばかり言ってると胡散臭いですが…。

本書は現場猫みたいな事案を紹介するような内容ではなく、もうちょっと複雑な事情に触れている。実際の現場ではちゃんとマニュアルがあったり、失敗回避のための行動がとられていたのに、なぜこうなってしまったのか?一体何が起こったというのか?淡々と解明されているものの、事実に基づいているからリアルでじつに肝が冷える。

この「失敗」という状況から多くの学びがある、というのは殆どの人が経験したことがあると思う。想定してない事が起こって、想定してない結果がでるんだから、そりゃあそうなんだ。だからってわざと失敗して良いというわけではなく、みんな成功を目指してる。そのためにあれこれお金をかけたり勉強したりリスクをとったりしているんだ。だから、失敗を認めないという状態が発生しうる。失敗したことにならないので、同じ轍を永遠に…ということになる。この辺の事例もわかりやすく書いてある。事実を認めずにすり替えてしまう。誤りを認めないことでキリスト教的価値観に縛られて、西洋科学が発展しなかったという主張までされている。カルト教団や刑事裁判など、「いかにも」な事例が登場するのでほんとわかりやすい。予言が外れた、だの、犯人をでっち上げた、だの。個人的にはプロ野球の某投手が気になってしまう。

だから、エラーや失敗の報告をされたとしたら、まずは「よく報告してくれた!」と褒めるぐらいじゃないといけない。これは何かネットのコピペで読んだ気もする。ただ、ずっと褒めているばかりでは火事を眺めているようなもので意味がない。それでも少なくとも失敗があったという報告に制裁ばかり与えては、誰もそんな報告しなくなる。これも実体験あるよね、大体の人。現場猫はこうして生まれるんですなあ。

「Kitchen nightmare」を観ていた。そもそも酷い店を選別している企画なので偏りはあるだろうけども、多くの責任者は平気でうそをつき、問題ないと言い張り、責任は俺にはないと言ってのける。店にはそれを問題とみなしている従業員やシェフがいて、客の評判は良くない。顧客のクレームを報告されてもシェフは無視する。テレビの企画って面を含めても、アメリカ人っぽい「自分を肯定して押し切ったほうが勝ち」みたいな…世相?が引き起こしてるんじゃないかと思うけどな。

帰宅したところ、冷凍庫のドアが開いてて、水浸し。試しに冷凍食品の袋を開けてみると、すでに不審な匂いがしていたので全部捨てた。ちゃんと閉まっているのを確認しよう!なんてあたりまえだ。確認を実践していないから開いていたわけで、どうやって実践するのか。長時間開けっ放しだったら自動でしまる冷蔵庫を買うのか。何か機構をDIYするのか。開いているあいだは音が鳴るとか。ポポーポポポポ♪そもそも冷凍庫のドアは正常に機能しているのか?冷蔵庫でチェックリスト作る練習できる。

どうするも何も「気を付ける」とか「心がける」なんてものは神頼みと同義でダメなんだ。他にどうしろって言うんだ?というところで「こうしましょう」というアイデア、対策、プロダクトが生み出されるというのが「失敗の科学」なんじゃないかと思う。そう失敗は防ぐことができる!…という可能性もある!という気がする!うまくいけばの話だが!

そんなもんだ。神はいない。人類つらい。現場猫はいる。人類つらい。

Amazon「失敗の科学」

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