ふでのゆくまま

里帰りをしてきた。画像の類はフェースブックにて。

炎天下に祖父の墓前に酒と線香を供えんがため、徒歩にてまうず。ちいとでも休暇気分を味わい、且つ日々生きることに対する真剣さと言うか、「あなた逃れられませんよ?^^」といった感覚を身に染みこませようといつた魂胆で夏に帰省することがあれば試している。

とある無人駅を降りて、田んぼ、川べり、田舎の街道を徒歩にて4kmほど。google先生は一時間と言うが、日陰もない田んぼの只中を歩くのだ、そんな快調なわけもない。手荷物にもタオル、酒、スマフォ用の簡易バッテリーとエネループ、線香とライター、飲料水500mlX2本、電車で読んだ本、先に送った荷物に入れ忘れたショートパンツと・・・まあ身軽というには少々。

さすがに道は覚えていたつもりだったんだが、どうも昨年に洪水があったらしく、その堤防の修復工事が行われていた。そのせいで、一部通るには憚られる道なんかがあって、やや遠回りした。昨年の洪水で決壊した堤防を翌年の夏に直しているというのはあまりに遅いのではないか。原発云々が関連しているのかしら。

googleMapのGPS機能を有効にして歩いてみたが、精度が良すぎてニヤニヤしてしまった。半径500mに農家の納屋ぐらいしかない場所ですぜ??向きを変えると合わせて画面の矢印も向きを変えた。迷子になれという方が難しい。祖父の墓は震災でずれたままだった。あきれて辺りを見渡すが、ずれるどころか崩壊しているようなものもあり、直されたかに見えるもの、放置されているもの、様々であった。祖父の家があったところも売り払われて建設業者の事務所となっているようだった。

そこから実家まで一時間の筈が、暑さと懐かしい景色にきょろきょろしたせいで、二時間ほどかかった。途中で採った水分は実に2Lであった。両腕が日焼けした。このヒリヒリした感覚は沖縄行ったときでもなかった。あれは五月だったからな。兎に角。疲れた。あとは割愛。めんどくせえ。

今時、こういう紀行を認めようと思ったら現地からじゃないとやる気がでないもんだ。お布団からスマフォでフェースブック、ツイッターに書き込んだ。まあ何かしっかりと書き残そうか、という意識でもないとな、後日ちゃんとしたのが書けることもない。・・・いやいや、書き遺す事がコンセプトのブログですがこれw

老人ホームに祖母を見舞った。痴呆が始まりかけたということらしい。会話は成立した。あのまま死んでゆくのだろう。実家の家族は全く以て協調性がない。仲違いをしているとかではないが、チームワークとかまったくダメだ。気を遣った振る舞いが苦手らしい。俺がガキの頃はその点でさんざん親に怒られた記憶があるが、ま、親も老いたのだろう、もはやどうにでもなれ、の雰囲気がある。これで手のかかる祖母など家に置いたのではまとまりようがないのではないか、と思った。

そんなことはどこの家族も巻き込まれることなんだろう。しかしそこじゃない。ニートこいてる下の兄弟にもどうにでもなれの雰囲気がある。この件について、数年前からどうにかしろと軽く言ってはいるが、打つ手がないようだ。帰省の旅にこの件で殴り合うほどの議論をしたろうと思うのだけど、相手方に考えもポリシーも見えない。ここでどうにでもしろ、と折れてしまえばあおりを喰らうのは自分である。自立できない人間は法で禁じされた道に進むしかない。あるいは死ぬ。

大人になっても自立に難があるというのは、諸事情を諸々足せば珍しいことでもないだろう。ただ、諸事情を鑑みてもなお自立を頑張る人には、社会も行政も救いの手を差し伸べるだけの機能は(今のところ)存在するのであり、そこに縋りもしない(ようにしか見えない)まま漫然としているのはどういうことか。

原発の事故後、避難経路の確認と、計画について練っておくべきだ、という連絡を取った。家族全員が一ヶ所は無理だろうから、当時受け入れてくれると言ってくれたツテから選んで、また移動手段についても考えておかねば、と言った。車は二台、免許は二人。なんとかなるだろう。返ってきた返事は「そんなこと言われてもどうすればよいの」だった。

「どうすれば良いのか?」あらゆる人間が日々抱える思考の果て、着手できる解決策が見つかる可能性は限りなく低い。ちょっと試してみようぜ?、が効かないような不可逆の重大事に於いて、アイデアは色味を失い、ロジックは掠れていく。あーあと言いながら死んでいく。それを否とも是とも言えない所に、積み重ねられた知恵故の恐れがあると思う。徐々に朽ちていくような事に尊びと風情を見出してしまった文化による、恐るべき解決策、為すが侭よと。

自分も日々の暮らしで、どれだけのことをこの文化の窯に放り込んで良しとしておるのか。こいつぁ怠惰ってんのかねえ!ゴミを分別する程度の良心では乗り越えられない枷なのだろうか。あゝ惑ふ。標に従へば迷子になりようがないとは思っていましたが、それは素直に旅するものの心にて。もう旅路に標を見つけるにはお荷物が多いのだ。体も重い(うるせえ)

ああ歩みが遅すぎた。日に焼けた腕、セシウムの残り香。蹴落とした墓石の夏空に響く事。

夏割れて
稲穂に滾る
業火の実
噛み〆し味
鮎見知るべき

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