湯さ

風呂上りに、髪を乾かさないで外を歩くと、なんかひんやりして心地よい。歩くと言っても、お散歩するとかではなく、一番近い自販機で冷たいものでも買う、ぐらいの意味。これは夏にはさほど意味がなく、真冬でも心地良いには良いのだけどやや憚られ、春にはイマイチ風情がないと意味不明な帰結により秋の愉しみとなる。秋も夜。月のころはさらなり。ふふん、とか鼻息荒く格好つけているが、すれ違った人は気付けばギョッとするかもしれない。夜更けにすれ違う人などご近所の人ばかりである。いとはづかし。

どこかから犬の鳴き声がする。遠吠えではなかった。きっと小型の屋内犬だろう。キャンキャンと短い鳴き声がややくぐもって数度聞こえてきた。

これはとても珍しいことだ。一人暮らし向けアパートの多いここらでは、まあ犬を飼っている人などまずおらず、一軒家のお住いを通りかかってもまず飼っていない。とはいえ、朝の出勤時には毎日のようにリードに繋がれてお散歩中の犬を見かけるからには、近所と言える範囲のどこぞで飼われてはいる筈なのだが、その鳴き声を耳にすることは殆どない。

今年は寝入るときに鈴虫やコオロギの声をあまり楽しめなかった気がする。声自体は確かにしたんだ。どうも全体的なボリューム不足感を覚えたが、数が減っただろうか。考えてみれば鳴いている個体を実際に見た事はない。あそこの草むらに居るんだろう?って思いこんでいるけど、実際は違うかもしれない。なんなら本物ではなく、誰かが雰囲気を出すためにスピーカを置いて、他所で録音した音源を再生しているかもしれない。

犬の声だって誰かがVR犬とかと戯れていたのかもしれない。本物っぽさに溺れたくて、外まで聞こえるように音を出したかもしれない。犬を飼うのは難しいからねえ。同じく温泉に足を運ぶなど不可能であるからには、髪を濡らして体脂肪を火照らせ、のしのしとお出かけして秘湯の帰りと称す、火星の明るい夜。湯船殴ったらうっかり本物出ねえかな。しかし出たら大変に困るなあ。弱った弱った。

amazon字はAWS

ドライヤーを買い替えた。

家電量販店では女性向けの美容品など売り場の片隅に並んでおり、このようなむさ苦しいおっさんが一人近づくのには勇気がいる。呂布にでもなったつもりで威圧感もりもりで堂々と陳列棚に歩み寄る必要があるのだ。ムムム、なんだよ一万円て。ドライヤーだろ?解せぬ。おい。陳宮はどこだ。陳宮を呼ばぬか。

知力1のおっさんには美容は分らないのでありました。無事に3000円ほどの商品を見つけ、これでよかろうとお買い上げ。全額ポイントでドン。お家で試運転、まあ大丈夫ということで、古いほうを燃えないゴミとしてまとめて収集場所へ。ちょうど本日出せるからという他に、急ぎの理由があった。使っているとたまに停止するし、熱風が冷風になったり様子がおかしいのだ。あろうことか、電源ケーブルが異様に発熱している。

さて、たった今捨てたドライヤーは何年使っているだろうか。ドライヤーを買った具体的な記憶などない。相当の年数使っていたのではないか。ここでいつものようにAmazonさんに購入履歴をあたる。使い始めがちょうどスーツ仕事に転職したころと重なるので、ここの履歴に無ければもう相当に古くから使っていた品ということになる。

すると、捨てた品とは別のドライヤーが2010年の購入履歴にヒットする。げえっ。たった今捨てたのがこれだろうか…?しかし見た目がだいぶ異なる。別物であろう…となれば、今捨てたのはいつ買ったんだ。そしてこの購入履歴にヒットした商品はいつ捨てたのだ。

確かに、つい今しがた捨てたものより一回り小ぶりに見える購入履歴にヒットしたドライヤーを使った記憶自体はなんとなく、ある。小さい分、動作音がうるさかったように思う…。処分した記憶はない。こいつを処分したからこそ、今しがた捨てたドライヤーが代わりに手元にあったのだ。そうじゃなきゃあおかしい。だって二つ同時に持つ意味がないもの…。

便利なものですね、司馬遷を呼んだら答えが出まし。2010年の購入履歴にヒットしたドライヤーは、買って程なく急に壊れたのであった。その後慌てて買ったものが、さっき捨てられた商品という事になる。実働およそ八年か。どうせ数千円のものだったろうし、この働きは十分じゃないか。お疲れさんした。ところで…このドライヤー壊れたエントリの冒頭を読むと、今動いている洗濯機も買ってから九年になろうとしているわけだ。そろそろヤバイじゃないか。

この歳にもなって、一人暮らし用の家電を見繕っている時には実に素直に暗い気持ちになる。さらに今年の冬には布団がないということであるが、それはまた次の機会に。ほれ陳宮、Amazonを呼ばぬかっ。

「飢餓海峡」を観た

ネタバレ。邦画の名作と目されるものの一つであるが、流石に3時間はなげーわ。

この作品のamazonプライムビデオの無料期間が数日で切れるようなので、とりあえず再生をポチっと。ジャケット(というか公開当時のポスター?)では連絡船でテロか災害パニックでも起こる映画なのかと思ったら、刑事ものだったのでびっくりした。

感想として言うならば…まあいうほど面白いとも思われず…ただ、「砂の器」を観た時のような、丁寧に作ってありますね、みたいな感想になる。どの辺がと言われても表現に困る。多分だけど、たぶん、たぶん、セリフの情報量が多いからかなあと…。文字数と言っても同じかもしれない。全部喋って説明した、みたいな。まあ俳優さんの芝居があってこそ成り立つんだろうけども…。

で、この作品の感想としては、おんなのひとって面倒くさくて怖いねえって。自分は某有名ミュージシャンのストーカー女事件を連想してしまった。いやいや、これまさにストーカー。

灰を差し出されて途端に諦めて態度を豹変させた辺りは、どうにも腑に落ちない…。何の灰でもいっしょだろがよ、なんすかそのリアクションは…しかしながら、このリアクションから、作中で刑事の推理した「海峡を渡った証拠を消すために船を焼いた灰」ではないのでは、という想像が膨らむ。…膨らまそうと思ったが、プライムの閲覧期限が切れてしまって、細かいところ再確認できないな。この話題やめまー。

どうにも何かと似たり寄ったりの印象が否めない。しかしこの作品こそが、その「何か」を制作した人々が目指したものであるかもしれない…とはいえ、そんなお勧めはいたしかねますねえ。

山手線徒歩一周 ややHardcoreに歩いてきた

どの辺がややHardcoreかというのは以下を読んでもらえれば。(9/23 一部追記)

概要

まあ個人ブログなどに散見されるチャレンジである。普通は始発から夕方にかけてチャレンジする人が多いようだが、自分は12時間ずらして、開始時刻に17:00ぐらいを選択。ちょっと違う方法でやってみようというだけであります。道中はほぼ深夜から明け方になり、何かトラブル時の対処に困るかも。事故の危険も多少増えると思われる。行程はゆっくり歩いて12時間を見積もる。休息予定地の事前検討なし、細かいルートはスマホ任せ。スタート駅に到着でゴールとする。山手線の線路沿いを歩くことには強くこだわらないが、山手線停車駅の写真は収めていく。通過後に爆破する。行程が日付をまたぐので、便宜上スタート日、ゴール日と記載する。本当は横須賀とか鎌倉散歩でもしたかったが一度はやってみたいチャレンジということで。

コンディション

九月の祝日。天候は雨のち曇りの予報。行程の時間帯の降水確率は90-40%の間、スタート日の最高気温21度、最低気温16度。恐らく歩いている間はずっと20℃を下回るだろう。ゴール日の最高気温29度、最低気温19度。スタート日の起床時間は7:00で、睡眠時間は6時間。午後に自宅で3時間ほど仮眠後に出発。実際は一睡もできず。ゴール日の日の出は5:20ごろ。ゴール日は休日になるので、始発時間帯でも大きな駅前ではそこそこ混雑が予想される。

プレイヤー

41歳運動不足の成人男性。肥満体系。方向音痴ではない。登山や長距離徒歩の経験はない。東日本大震災の時の、20kmほどの徒歩が人生最長か。

装備

  • かなり履きこなしたジーンズ。肥満体あるあるで、股間に穴。これが最後の仕事。
  • 薄手のパーカー
  • 普段は非常用品入れているJackwolfskinバックパック。20年以上前のもので、中の防水ポリエチレンは全部剥がれ落ちている。
  • Edwin Rebertoの靴。新品。やや緩いので長距離の徒歩では疲れやすい恐れ。靴擦れの心配はなし。
  • 常用しているユニクロのフィンガーソックス
  • 簡素な巻き付き型の反射板をバックパックに装備
  • ひのきのぼう:おっさん以外にはわからないジョーク。

インベントリ

  • お財布:100均一のバリバリ財布を用意。タクシーで深夜料金でも家まで移動できるだろう額の現金を用意。小銭少々。この現金とSUICA以外は持たない。
  • スマホx2:駅の写真撮影とgoogleMAP。アプリで経路の保存。→当日は一台忘れてしまった。
  • モバイルバッテリー:結構ごつくて重いpisenのもの。
  • タオルx2と替えの靴下
  • ヒートテックのTシャツ一枚。着替えというより、寒すぎたら中に重ね着
  • 下痢止め、ロキソニン、絆創膏を少々
  • 保険証のコピー
  • 簡易防水としてジップロック的なビニールX2
  • おりたたみ傘:数年愛用し、これが最後の仕事…しかし大きいサイズで重い。どうせ行程全部雨なので、ビニ傘のほうが軽くてよいが。
  • 食料:非常用のストックからカロリーメイト4本入りの2箱。
  • 飲料:道すがら

はじめの一歩

iPhoneのストップウォッチをスタートして、全体的な所要時間を記録。→見事に忘れた。

GoogleMAPのタイムライン機能を有効化して、経路の記録開始。→途中で日付が変わり、そこから別の日のレコードになった。

結果

新宿から時計回りにスタートし、13時間ちょっとでゴールに到達。道中で飲食店などに入っての休息なし。休憩は全て路上。雨と共に風も結構強く、前半にかなり体力を消耗した感じもある。行程の半分ぐらいまでは疲れを感じながらも余裕だったのだが、そこからが足の痛みと体力の消耗で大変に大変にしんどかった。そのあたりで雨は止んだ。終電の時間帯にちょうど東京あたりを通過したため、以降、ギブアップして帰ることもできない…という体。ほんとにやばい時はタクシー拾えば良いんだけども。ややHardcoreというレベルではなく、人生で一番疲れたといって過言ではない状況に。天候が良く、十分に睡眠を取って朝から始めれば多少は違うかもしれないが、やはり長距離の徒歩による足の痛みが一番の敵であったために、さほど差はないと想定される。緊張感のためだろうか、眠気を覚えることは一切なかった。最後の5駅ぐらいは兎に角二度とやらないと誓いを立てながら足元をうつろに見つめて足を運ぶだけであった。

本当にガチで体力・脚力に自信がある人や、一旦体験してルートに不安がない人は今回のルートをやってみてはどうだろう。終電までの間に新宿高田馬場池袋鶯谷アメ横、ペースによっては秋葉原や新橋までの賑わいを楽しみ、その後孤独に第一京浜沿いを歩き、夜明けの恵比寿・渋谷・原宿の街を通り抜け、ヘロヘロになって次の日が始まる新宿に戻ってくる。体力に余裕があれば爽快なシチュエーションなんだろうが、実際は歩むのが苦痛。朝早いので労をねぎらう場所もないときた。二度とやりません。

帰宅し、即風呂。股間の股ずれが水膨れのようになっており焦る。途中で下着のポジションを直して痛みはなくなったのだが、その時点ですでにこの状態だったのだろうか。太もものあたりも、虫刺されのような赤いまだらがあり、赤く腫れあがっている。ずーっと濡れたジーンズで歩いていたのだから結構な負荷があったかもしれない。

なお、当然ながら「もっとちゃんとした装備」で挑めばもっと楽だったと思われるが、そんな装備持ってないし、普段の装いでどんぐらいいけますかね、という心意気を感じてくれHAHAHA!!その心意気の結果、やはりいざという時の準備として心身とも健康でいる事は非常に重要であるというのを”再度”痛感しました。

今回と東日本大震災の時の経験から、自分が毎日歩き続けることが可能な距離は20Kmほど、あるいはそれ以下だと結論付けました。一時間に4Kmで10時間歩けば一日40Kmか、なんて阿呆な考えをしておりました。絶対に絶対に絶対に無理です。

自分のメモ振り返りと雑記

前半は特に休憩も取らずに進んだが、秋葉原を越えたあたりから一駅ごとに小休止。しかし座るようなベンチは殆どない。雨なので地べたに座る気にならず、雑居ビルの入り口、月極駐輪場などの軒下で休息。しかしそんなところに椅子はない。さほど休まるわけもなく。大きいビルの側にベンチが並んでいたりするが、須らく屋根の下にはない。屋根があったら家無き人たちが住み着いてしまうからだろうか。

徒歩で一周ネタには定番らしい「日本鳩レース教会」の看板を偶然に発見し、収める。確かに通りそうなルートにはある。

五反田近辺で桜で有名な河を渡る。見ごろの季節には堪らないだろう。

深夜二時にも関わらず、第一京浜沿いを半袖ショートパンツで一人ジョギングする女性とすれ違う。ガチランナーだろうか。

新橋近辺で中国人っぽいおっさんに、声をかけられる。白タクシーのようだった。

鶯谷で近そうなルートを歩んでいったらスケベなホテル街に入ってしまう。その筋と思われるお姉さんも佇んでおり気まずい。

駅近辺の地下道、高架のルートに詳しいと積極的なショートカットが可能。迷って無駄足になることも少ない。入場券で駅の改札の中を通ると大変にルート簡略化できたり中のテナントで補充が出来たりする。上野で公園口から入って不忍口からアメ横に抜けたり、鶯谷では線路を超えてかなり近道に…なりそうだったがら入場券売ってる券売機じゃなかったように見えてあきらめ。SUICAで入って駅員に改札で清算してもらえばいいのだが、毎回入場券買ってね、と言われる。ご迷惑ですんません。

公園などの側を通る事は少ない。東京は坂道もかなり多い。オリンピックの影響もあるだろうけど、工事している場所が多く、予定にない回り道などあり得る。急な階段も何か所が通る。

夜~明け方はジモティについていく、ような事ができない。ネット経由でのアドバイスすら期待できない。時間限定で空いている通路などあると無駄足で泣きそうになる。恵比寿の動く歩道は午前5時には動いてなくて泣きそう。

酔っぱらいは多数見たが、第一京浜の車道にまではみ出てフラフラしているのは流石に洒落にならん。歩くだけで精いっぱいなので自分が対処する気にならず、110番通報しようと思ったが、タクシーに吸収されていった。ドライバーが自主的に止まって声をかけたようにみえた。

雨だと言うのに水分を吸い込む服装というのは失敗だった感じがある。普通に近所に買い物行く格好。其れなりのウェアなり下着なり靴なりで負担は減るものと思われる。しかし二度と試す気にならないので今更どうでもよい。

やはり渋谷は治安が悪い。早朝5:30にも関わらず若者が揉めていた。

以上です。二度とやりません。

「ジャック・ライアン」を観た

ネタバレネタバレ。

同じものは幾つもあるでしょうね、という設定の、アメリカ合衆国のエージェントが活躍するドラマで、amazonオリジナルの企画。まあ製作の規模が大きい話で、見てて退屈なわけない。凝ってる映像もあり、派手な場面もあり。ただ、最後にはボスの犯人と主人公が追っかけっこしてハンドガンで撃ち殺して解決するあたり、まーたこれかよって思ってしまう。じゃあそれ以外なら納得?って言われても、答えに窮するんだけど。

水戸黄門とかダンディー鷹山セクシー大下のドラマと考えればまたこの展開か、の流れも「そういうもの」ぐらいで納得できる。主人公と出会う女性と懇ろになるパターンとかもハリウッド名産品ですし。しかしね、敵味方の二人が取っ組みあいもみ合って倒れ、そして落とした銃に必死に手を伸ばすパターン…これはさすがに笑ってしまう。ありきたりの極致でもあるし、また、シチュエーションは命がけなのになんだか嘘っぽさが前面に押し出されているように感じてしまう。どう言ったら良いか難しいのだけど…どんな場面でも演技であるなんてことは重々承知して映画を見ている。それでも役者の演技を始めとして画面に映るものに心奪われる、というのが映画の楽しみでしょうよ。このシチュエーションでは、「撮影現場」のイメージが強く感じられてしまう…アクション!の掛け声と共に床で転がっている俳優さんがうねうね動き始めるたんだろうな、とか。周りじゃ手の空いたスタッフが腕組んでそれを見ているんだろうな、とか。勿論、どの場面だってカメラの外側はそう大差ないとは思う。しかしこのシチュエーションの場面だけは何故かどうにも白ける、を通り越して笑えてきてしまう。

本当になんでだろうな。そんな思い入れにいたる理由が見つからない。

主人公が軍属経歴があるとはいえ、”本業”ではないようなのでジェイソンボーンみたいなド派手なアクションはない。けど、作中で如何にも現代っぽい手法で重篤な情報のやり取りがされていたりして、本ストーリーのキモになっているあたり、面白い。自分も実際にやったことあるからなあ。指令室から情報戦的な要素と現場で走って銃を撃つ的な要素がそぞろバランス良くまとめられた印象、なかなかの作品だと思いましたー、と。