えさのじかんだ

お前が揚げ物を覗き込んでいるとき、揚げ物もまたお前を覗き込んでいる

油のストックをタブらせてしまったため、調子にのって揚げ物をしようと思いつきました。以下実践。画像がないのはいつもの通りです。ブログに載せないだけで撮ってあるパターンもあるのですが、今回は撮ってもいません。

一人暮らしの経験がある人ならお分かりかと思いますが、揚げ物ってほぼ絶対しません。一人分でも結構な量の油が必要になりますし、使用済みの油を使いまわすにしてもその消費にはなかなか時間がかかります。そもそも油が用意できれば後は放り込むだけなんで、大量に作るのが簡単。だからって作り置きしても美味しくはない。作り置きならそこいらで売っているという話です。どうせやるなら揚げたてをすぐ食べたい。そして、煮物じゃないのでその場を離れるのは危ない。などとそれっぽい理由を引っ提げて大量に作ってそのまま食うという所業に。緻密に演算すれば理論上は一週間分ぐらいのカロリー採れますね。浮動小数点とは揚げ玉のことです。

勿論、今まで一回も揚げるという事をしたことが無いわけではないのです。酢豚をレシピ通りに作るかーと片栗粉付けて揚げましたし。でもあれは、揚げる分量も豚ロースのブロックを数切れ程度です。油もロース肉がぎりぎり油が被るぐらいの量で済ませました。今回やろうとしているのは本当の揚げ物です。天ぷらです。勢いでモリモリ食べます。では何を揚げましょうか。大体なんでも食えるという話なんですから、スーパーで適当にそろえた材料はというと、いんげん、ちりめんじゃこ、玉ねぎ、銀たら。まーチョイスは適当。一番簡単であろういんげんから行きました。洗ってヘタを取って衣付けて油にポイ。

IH調理器は温度が指定できる揚げ物モードがあるんですね。キャノーラ油を過去にない分量片手鍋に満たします。油が入った鍋の重さよ…背徳感に眩暈を覚える。しかし温度計もないのに具材の入れるタイミングはどうすれば。適当に衣を油に落として、ジュワと揚げ玉が生成されたので頃合と判断しました。細長いいんげんを菜箸でつまんで衣に浸し、鍋に滑らせるように入れます。静かにシュワシュワと音を立てて油に気泡が認められます。どのぐらい揚げればよいのかも謎なので、まずは一本で様子見る。どう考えても1分ぐらいで良いよね。

拾い上げて、ちょっとフリフリして油を落とし、キッチンペーパーにダイレクトに載せる。ふーふーしてやや冷まし、塩振って食ったらうわなにこれやばい。喜びがあふれてくる。美味いというのは感情なのだ。感嘆の深くて甘いため息が漏れた。「っほぁあああ…」って。正直、ここまで美味いとは全く思ってなかった。いんげん10本ほど狂気のテンションで鍋に放り込んで、揚がってはじゃがりこみたいな勢いで食いつくし、ちりめんじゃこのかき揚げも3枚ぐらい揚げたのを一瞬で食い尽くし、玉ねぎはただ油っぽいだけになったのでかき揚げ一個で終了し、銀たらは揚げる前に綺麗に骨を抜く方法がないかが課題となったが兎に角やばい。美味い。うめええええEEEEEEEEEE

そして油もやばい。当然、衣に吸われてかさが減るのだけど、これだけの量の純然たる油を食するというのはやばい。見た目にももちろん減っているし片手鍋を持ては軽くなったのがわかる。背徳。加熱すれば発火するんですけどこの油ってものは。摂取カロリーとかそういうレベルの議論じゃない。医療機関の診察が必要なのでは。人体発火現象の答えこれじゃん。こんな肥満体に許される行為ではない申し訳ございませんでしたもうしません。でもね、クジラ肉が手に入ったら許して。クジラ肉の天ぷらが実に美味いらしいのでその時は容赦なく。

ここで第二ラウンドを翌日に行ったのは流石に暴挙だった。油処理関連を忘れてて、鍋に油を入れたまんまの状態。この第二ラウンドの具材と一緒に吸わせるテンプルを買いましてん。油を足して加熱。第二ラウンドの具材は、しいたけ、ちくわ、いか、茄子。ちくわがマジやばい。安い弁当の隅っこにいるだけの彼が、揚げたては気が狂うほど美味い。世界がバグる。美味いんだけどもうおっさんですから、油物への耐性が流石にアレで、二本ぐらいで一旦休憩。しいたけも美味しいんだけど、すぐに飽きるというか…。6つも揚げるんじゃなかった。イカもなんかこういまいち。何の下ごしらえもなく放り込んでいるだけだからな。ちゃんと作れば美味いんじゃないか。茄子はこれまた美味い。これは塩よりも麺つゆだな。

まーーーとにかく野菜が美味いのはビビる。サクサクした衣とジューシーな中身の組み合わせ、そりゃ天ぷらだからそうだろうって話なのかもしれないですけどもー。実践してみたらここまで美味いとは。野菜嫌いの子供にはまず天ぷらが良いんじゃないか?炊き込みごはんとかカレーなんかでも良いのだろうけど、卒業後に野菜メインで食わす時のハードル高い気がするんだよな。天ぷらで食えたなら、そこから温野菜とかスープはそこまでハードルが高くはないのでは。ああでも天ぷらのサクサクの感じは他の調理法では絶対ないからなー。

自分が嫌いな食材を実際に天ぷらで食えたらこの仮説も真だろうと考えを巡らせると、自分の嫌いな食い物と天ぷらの相性が良くなさそうであります。生および半熟の卵、いくら、うに。山芋も好きではないが、細切りにして海苔で巻いて揚げたものを食べた記憶がある。素揚げだった気もするけど、揚げればいけるもんだ。

ま。月一ぐらいで食うことにしましょう(食いますとも)一人用フライヤーなんてものも安価に売ってるんようだけど、置き場所もとるしメンテナンスとか面倒そうなので、今使っている片手鍋で良いかな…。

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という天ぷら祭りから一カ月。流石にクジラ肉には出会えていませんが、忘れていました。魚肉ソーセージ。第三ラウンドは魚肉ソーセージとサーモン。サーモンはフライが大好きですが、パン粉なんか買ってしまうとあまってしょうがないので天ぷらでいきます。魚肉ソーセージの天ぷらといえば、何か思い当たるフシのある人もおりましょう。そう、一部立ち食いソバのウィンナー天蕎麦です。魚肉ソーセージをどうやったらウィンナーと呼ばうのか謎だけど、あの味わいはちょっとノスタルジー。最近は売ってないんじゃないかなー。作法にのっとり、縦に切って揚げます。勿論不味いはずもなく…。なんか感動も薄れてきて筆が進みませんが、食は進みに進んだご報告を以て揚げ物祭りの〆といたす所存。

埋め込み動画は人気落語家、柳家喬太郎師匠の「時そば」なんだけど、本題に入る前の枕の内容が後世の語り草。次の天ぷら祭りは蕎麦も用意しましょう。

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