えさのじかんだ,  どくしょかんそうぶん

「汁とめし」を読んだ

Amazonプライム枠。本書の感想の前に。

私は前々から「嫁のメシがまずい」というネット寓話拾遺を推挙しています。味の好みなど相対的な物です。好き嫌いだって似たようなもんで、人生の中で、嫌いなものを克服したり、逆に食べれなくなったりもします。そういったそもそも一義に決められるものではない、あるラインを超えて、客観的に健康に害を及ぼし得るレベルの料理が生み出されてしまう。ここに及んでは笑い話では済まなくなってしまう。世の中が複雑になって選択肢が数多になり、好みを擦り合わせるなど土台不可能。「まずは無理なんだけど」という前提を教訓というか道徳として、社会の良好な関係に努めましょうというのが近代でしょう。ただ、なんせ食べ物の事ですので、我慢や気遣いではカバーできないレベルがあります。

そこでレシピと呼ばれる調理手順の教則があって、さかのぼれば我々がサルのほうに近い時から受け継がれている、食ってもおkであるめしの数々。ここに従えばそんな悲しいお話がネットに転がるようなこともないのではないか。そ、思って、いたのですが、レシピってもの自体に本当に問題ないのか?

素人がそのレシピを投稿するサイトが大ヒットしました。まあまあ真似して大丈夫なんでしょうけど、少々保険をかけるというか、怪しい部分もあるんじゃないかと穿っておくぐらいが丁度いいのかもしれない。そして、個人が作った動画も手広く公開できるようになる、調理動画も増えました。そうなるとですね、とりあえず再生数を稼ぎたいとかバズりたいとかで無茶苦茶な内容が登場することもあります。ゴキブリを食うとかは真似するほうが頭おかしいのですが、”それっぽい”雰囲気の動画でやられたら鵜呑みにするような人が居ないとも限らない。なんなら、そこらのスーパーで売ってる鶏肉を半生で食べようとする人は実在するのです。低温調理のブームの陰で腹壊したやつたくさんいるに違いないのだ。

では、プロの書いたレシピならば?

本書はご飯と汁物というシンプルな構成にフォーカスしたレシピ。凄い珍しいものが並んでいることも無く、途中からおにぎり🍙とかも出てきてシンプルなものばかり。鍋一つで完了するレシピも多くて汁物の良いところはそこだよな~とか思いながらざざっと流し読み。こういうのでいいんだよ。しかし冒頭からプロレベルのこだわりがあって、もし自分が、本書のようなレシピで料理を作れと期待されたら気が進まないかもね。よほど暇なら?「全国の味噌をブレンドして味わいに深み」だとか「鍋に水、こぶ、にぼしを入れて30分ほどほうっておくだけ」だとか、仰々しい。でも本書通りに作れれば健康を害するめしにはならんのだ。

ただ、他のあらゆるレシピにも言えるけど、「さっとゆでる」「ふつふつとしてきたら」「中火で」「強火で」という表現って人によって受け取り方ぜんぜん違うと思うんだよね。本書にもいくつかあった。お料理初心者🔰ならなおのこと。さらには素人の怪しいレシピが跋扈したりもして。即座に健康を害する食事って、要するに食材が傷んでいるか、火が通っておらず生で食べたぐらいしかパターンないような気がする。意図的な毒物混入とかはもちろん別の話よ。だったら、その直接的な要因になる火力と加熱時間の目安ってわりと重要な筈ではないか。何かの冷凍餃子の作り方ガイドに「中火とはフライパンの底に火の先端が触れる程度の火力です」と書いてあるのを見た事がある。それ以外ではっきりと書いてあるのは見た記憶がない。家庭用ガスコンロの火力ってものによって差が大きいのかな?あるいはIH調理器だったら何Wで何分とか具体的に書けるだろうか?電子レンジとかオーブンの加熱時間ははっきりと書いてあるものが多い。機器でコントロールできるからだろう。ガスだってできなくはないのかもしれないが🤔

これは元も子もないけどヤバイ状態かどうかって、「実際に少し食べてみて火が通っているか確認」で済む筈なんだ。まさか食べても判断がつかないなんて…なんて…。ありえる?ありえるならこれがヤバイめしの本質的な理由なんだろうか?セーフガードがバグってます。(おれ何回か同じ事言ってないか?)

さらに、長期的に何度も食べるとなると「健康には問題ないかもしれないけどこれはさあ…」ってメンタルからやられて不和が生じてしまうこともあるのかなあって思いました。想像は付きますが、自分は作って頂いた飯が不味かったことがないので実感わかないです。自分のメシ、親のメシ、スーパーのメシ、飲食店のメシ、不味かったことが殆どない。給食はあったな。嫌いな食い物出てくることがありえるからか。参加したBBQのメシが不味かったこともある。みんなが参加しているなかで不味いとは言えないなあ…じゃあ嫁のメシもなあ、ってそこは話し合う余地あるよね。でも一回我慢しちゃうとあとから切り出しにくかったりして。だからって初手からお気持ちを高火力で煽っていくのも良作とも思えず。距離感と火加減難しいの話ですが、それでも

ちゃんと非を通せば安心のはず。

6点。


著者が腕を振るう料理店は「賛否両論」というそうです。へえ。

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