ふでのゆくまま

ねいる

胡瓜を軽快に切り殺いでいたら、手が滑って、いや本当に手って滑るのな、胡瓜の向こうに隠れた左手に物理刺激を骨伝導。アッーーーー!!朱に染まる俎板、宗教上の理由で血は吸わないのだけれど、物理の内にありて、浸食を拒まず照っており。鉄分の発色を湛える野菜の勇ましさ。ステンレスの融点が水道水の底に見え隠れしており、乱舞蛍光灯をなぞれば捲れる家庭の医学、ちくしょう、目医者ばかりではないか!!はてはて、偉大なるかなレナードダヴィンティ、左の爪に欠損を認めるも薬指は斜めにずれた胡瓜を躾けているのでありました。いたくないもおおおおお。

包丁など要らんのではないか。皮を剥くにはピーラーがあり、肉を切るには鋏があり、刺身などそのまま齧ればよい、ジャガイモなど叩きつければ火の通りも早い、玉葱は全部剥け、にんじんは齧ればまさに一口大、茄子は引きちぎれ、嗚呼しかし納豆に入れるネギを切れない、俎板を叩くリズムが掴めない、非武装地帯の鉄量の撥音を讃える複数原料米の沸点が子供の視線に合わせてある湯気の向こうにカーチャンの笑顔、おなかすいたもおおおおお。

などといった美しい夢を見ていた。その実は魘されていただけであり、欠勤し、寝入る。

ここ数日は美しい月夜、本日傘も壊れる濡れた夜。

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