ハウス加賀谷・松本キック「統合失調症がやってきた」を読んだ
懐かしい。彼らの名前が全国的に有名になったのは「ボキャブラ天国」というテレビ番組だったかと思う。もう20年前じゃあないか、そら俺も年をとったわいふぇふぇふぇ。その後、自分もテレビを見ることがあまりなくなったので、彼らのことなど全く知らずにいた。耳にしないということは売れずにフェードアウトしたのだろうと。ところが思いも寄らぬ所で「ハウス加賀谷」という名前を目にすることになった、というのがこの書籍である。彼は統合失調症の治療をしていたのだ。当時、素っ頓狂な芸風であったのは記憶に残っている。既に発症していたというなら、あれは芸風+人格だったんだろう…というのは勘ぐりすぎか。
んで。
書籍の内容は、少年~芸能界デビュー~入院~再デビューあたりまでの思い出を綴りながら、症状と治療について綴っていくというもの。わりとのほほんとした感じであり、凄惨な精神医療の実態云々みたいなものとは無縁で、眉をしかめて読むような書籍ではない。また、入院後、治療を受けてデビューへの道のりはポジティブなバイブスであふれている。
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霊が見えるとか主張する人おるよな。全く相手にしない。なぜなら霊は存在しない。そこに理解など微塵もない。議論も検証も要らん。だけどもし、自分が霊に出くわし怖い思いでも良いし心温まる話でも良いけども、実在するとの確証を得てしまえばすぐに掌を翻すことになる。そらそうだ。いたんだもの。
統合失調症のような病状も、まあ誰からも理解はされないだろう。ただ、ま、この書籍のようなものを通じて、実体験が広まれば、そういうこともあるのね、程度の認知は得られよう。皆々様がご存知であるところの「現実世界」に生きることはかくも煩雑で危うい。いつか世界がぶっ壊れたときに、新小岩駅へ突撃する前に歩みを止めるきっかけが要る。あなたの、あなたの愛する人の歩みを一旦止めて体を預けてみたり、また支えてみたりする、そういう方法も効果がありますと。
良き一冊でございました。