えさのじかんだ

エサ短観

干物じゃないホッケが売られていた。買った、焼いた、食った、クッソ不味い。ホッケじゃなかったのではないか。ハビタブルエリアから降ってきた事象のなりそこないの死体の肉。ちょっと何言ってるかわからないですね。ホッケが干物じゃない、というだけでここまで不味いものだろうか?本当にホッケを買ったのか。仮に火星人だったとしても不味いものは不味い、クッソ不味かった。

一方で、カップ麺が美味い。体に良くないから、と若人の頃もあまり嗜まなかったのに、ここにきてすごく美味しい。すぐ美味しい。逆。手間がかからないという点をZ旗よろしく掲げて売り場のストックから買い物かご、そこから胃袋までなだれ込む無駄のない所作、アビスで弾けた泡が日本海へ浮かぶまでに光速を超えるんですってよ奥様。あらやだ最近台風が多いと思ってたのよう。

「カップ麺も干物じゃないか」と書いてみようとしたが、だったらメシだって干物だし、塩なんて海水の干物だ。地球をおにぎりぐらいの干物にしたら、味わいも噛み心地もバリエーションに富むだろうか。中東から齧るひとは大胆な談志男子で、オーストラリアから南太平洋あたりから齧る人は穏やかに様子を見たい志ん朝慎重派だろう。実際はどこから齧ってもクッソしょっぱい。血と汗と涙、人が海よりくみ上げたもの。土塊を編み上げた味わい。

台風で出来た水たまりに映る月の、黄色くやや歪んでたくあんに見えた。紀貫之はよっぽど腹が減っていたのだ。

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