その日は地下鉄にて出勤。すでにホームに止まっていて発車待ちの車両に乗り込みました。始発なのでそんなに混んではいませんが、空席は流石にありません。車両の継ぎ目のつり革が空いていたのでドアにもたれるように立ち、ぼんやりと隣のホームの様子など眺めておりますと、賑やかな声が耳につきました。20歳ぐらいの女子が三名様、近くに立っておりまして、そのうちの一人、ニット帽を被った野菜っぽい女子が一人きゃぴきゃぴと喋っておりまして、残り二人は微笑みて聞き役に在る、の図。これがずっと気になるわけなんですけど、なんでかというと、ずっとその一人、仮にカブ子さんとします、カブ子さんがずっと喋っているのですよ。
行きかう人や案内放送もうるさいとはいえ、彼女以外はみんな黙った朝の通勤電車。彼女の声は周囲の人にはやや耳障りかとも思える音量とテンションで以って展開されていくのでした。テンション!この若い女子のご機嫌とーくに見られるテンション!あまりに可笑しかったのでこうしてブログになど認める心地となりました。おかしいというのは、落語的に愉快な話であるとか、そうではなく、不可思議に近いものということ。それがどのようだったかと言いますと、ここで再現は難しいのですが、まず脈絡がないというか。聞いている二人の女子は意味を把握しているのか疑問にすら思える。
自分がカブ子さんの話を聞いてて感じたのは、台本があるとするなら、注釈とか地の文とか、台詞以外のところも読みながら喋ってるような印象。「ここで暗転、カブ子スポットライト。BGM4フェードイン」このような本人だけにはわかる繋がりが延々と連環の計。ううむ、筆舌に尽くしがたいとはこのことか、どう伝えたら良いのかわからない。
彼女の会話(?)が途絶えぬまま、電車は30分ほど運転しておりますと。
女子1「ね、カブ子さん、降りるのどこ?」
カブ子「御茶ノ水」
※地下鉄東西線に乗車中です。発車のときも中野の停車でも案内がありました。
女子2「え。・・・と、止まらないよね?」
カブ子「え、なんで?これ何に乗ってるの?」
もう怖い。
親切なおじさまが、大手町で乗り換えると良いよ、と声をかけました。「あー、ありがとうございます!」と元気に返事したカブ子さんですが、大手町で降りるにあたり、「ここで降りてどうするんだろう?」などというのでもうびっくりしてしまった。何で女は話を聞かないのか?という話題があったよな。あれを思い出した。「電車に乗って御茶ノ水へ行く」という目的を達成するには幾つもの必須項目があると思う。駅はどこか、切符は持っているかとか。電車に乗る前にチェックしないの?この状態で降りる駅も把握せずに同行する女子二人もすげえなと思う。
あまりに強烈なインパクトがあった、ある朝の出来事でございました。