芸人枠
近代麻雀を読んでいたら、S氏のコラムで以下のような事が書かれていた。
ところで、あの顔三味線をひいていた芸人は五期売って毎度ビリあたりにいても、戦力外通告を受けずに五年間チームのために負け続けている。
近代麻雀2023年6月号 我れ悪党なり vol509
冒頭の「ところで」以前には、Mリーグがユル過ぎないかという意見が前置きされている。この芸人とは明らかにH氏だ。成績はその通り、ひどいものになってしまっている。「そもそもプロでもないのに何で参加してんの?」っていう人もいるだろうけど、昔から麻雀の腕は確かだ。競技麻雀に触れている機会も多い。なんだっけ、片山まさゆき氏のあれとか。…ほんとなんだっけな…。
だから、例えばテレビタレント関係者から誰か引っ張ってこい!という話になったら、H氏はまあまあ真っ当な人選なんじゃないかと思う。畑正憲氏(ムツゴロウ)では既にいろいろ尾ひれがついた話が多すぎるし、風間杜夫氏とか児嶋一哉氏(アンジャッシュの無事なほう)も競技麻雀が出来る人だと思うが、だからってMリーグに本腰を入れれるだろうか…。1プレイヤーとして全うしてくれるか疑問。
それでも、H氏が麻雀プロ長年の憧れであった、「本当のプロ」として戦える舞台にプロを差し置いてまで出るほどかと言われると…現時点の結果では何の擁護もできない。「顔三味線」と言われてしまっているのも、Mリーグ見てる人なら察せられる何かあるでしょう。四人で向かい合って競っているのだから、仏頂面で淡々とテンポも変わらないのが強い。…強いというか、情報を相手に与えないというスタイルにはアドバンテージがある。
麻雀をある程度遊ぶ人なら誰だって、そう思う。淡々として進めるのがとてもプロっぽいんだよね。これは長考するだろうな、みたいなところでスッと最適解の打牌したら恰好いい。逆に役満あがってガッツポして喜んでたら嫌だろ。競技規約を順守するとか、対戦相手へのリスペクトもさることながら、仏像プレイはプロの技量の一つだと思う。だからこそ、Mリーグみたいにいちいち顔を抜かれるカメラ付きで中継していると、国士頭ハネされたら放銃した人のほうを睨むとか(怒りが出ますよ)、人としてちょっとこらえ切れないものが垣間見えることがある。これが面白いんだわ。
麻雀業界では、一般的には悪意を以て嘘のリアクションで人を欺こうとすることを三味線って言って、モラル的な禁忌の一つだと思う。これは仲間内でもダメだし、フリー雀荘でも出禁案件だぞ😡H氏が悪意を以てやっていることは無いだろう。でもプロの間では、あまりにもたびたび、顔や所作に顕れること自体が良くないと思う。…正論の筈だけど、話の流れで槍玉にあげようとしているように取れてしまう。「五年間チームのために負け続けている」ってどストレートな物言いが加わって、なおさら槍玉に見えてしまう。なんならトータルでぶっちぎりに好成績の麻雀星人だって、どちらかと言えばリアクションは大きいほうだ。
何度見ても面白いな。これは良いのかと聞かれれば、「自分の手牌とかを欺こうとしているわけではないからセーフ」で自分は全然納得できる。なんにせよ、リアクションは全部ペナルティってのも無理があるんだから、H氏ぐらいのは別に良いんじゃないかって思う。誰だって何かしら癖はあるもんだし。
「芸人」だとお笑いの人をイメージしてしまうけど「芸能人」だから「芸人」呼ばわりは間違ってないと思う。H氏加入の経緯は知らないけど、しょーじき、ある種の保険という考えもあったと思うんだよね。なんか一般的な知名度あるやつも入れとくか?って。そういう判断がされるのは、新興イベントでよくある話だと思う。良くある話というその裏返しとして、どうやっても芸人枠の参加者として見られてしまう。
Mリーグは今のところ成功しているように思えるし、先日のBEASTジャパネクストのオーディションの内容と盛り上がりを見ても感じされるように、そういう考えはもう要らなくなったんじゃない?Mリーグはもっと圧倒的な壁であってほしい。俺でも入り込めるんじゃないか、なんて勘違いをしたほうが恥をかく世界であってもいい。スラング的なニュアンスを含めての”聖域”では、ちょっとアレな世界で嫌だけど、この壁を超えれば何かが許されて何かが許されなくて…少林寺みたいな世界か。もうちょっと現実的に近いもので言えば、将棋棋士の世界かしら?なんて考えていたら、将棋棋士と元テレビタレントが参入することになって、本稿は所詮は野次馬枠の意見、裸単騎の一人聴牌にて流局です。
麻雀プロの肩書以外は認めない!なんて考えは今時そぐわない気もするし、自分もそう考えないほうが良いと思うけど、それでも何か色眼鏡で見てしまっているんだろうな。自分だってMリーグ参加者でも、始まるまで名前知らない麻雀プロの方が何人も居た。ほんとツウ気取りの野次馬枠でしかない。