木を見て材木屋の壁を見ず
中野駅前の景色はなんというか、如何にも大規模な開発をしました然とした変化を遂げた。…住んでるわけでも足繁く通うわけでもないのだが、中央線の車中から見渡せるので自然、そう感じることになるのは沿線お住いの皆様ならばそうでしょう。あの材木屋がなくなってしまった。そう、あの。あのマイケルのイラストが塀に書いてあったあれ。しかしながらイラストの描かれた壁自体は今のところ存続している。
中野駅北口のマイケルは、むかしググった情報だとイラストレーターかなにか、ああいった絵をかくのを生業とされている方が持ち主の許可を得て描いているとのことだった、と記憶している。マイケル・ジャクソンになったのは彼が亡くなってそんな時間が経たないうちだったと思う。その前は確かジェームスブラウンで、その前は何かこう、歌舞伎役者風の人物が描かれていた。それ以前は目撃した記憶がない。ググった情報だともう少し作品があったらしい。
自分はどちらかというと「やまとしうるはし」なんつう意匠のほうが好きなタイプであるけど、ああいうポップなのも好きだ。ただ、やっぱりというか、都市部のごみごみした風景に良く似合うとしたもんだろう。JR渋谷駅と井之頭線渋谷駅をつなぐ通路にある、岡本太郎の壁画。あれが片田舎の駅前にあってもな、と思ってしまう。まあ自分が知る片田舎の駅前のサンプルなど極々すくないものなんだけども…。だけども、もしあれが雨ざらしになって良く分からない場所にある風景もまたロックなんじゃないかと思う。
もし自分がゲームデザイナーなら、ここ数年流行の世界ぶっ壊れ世界で生き残るとか銃撃戦とかのFPSゲームにああいうものの残骸を出してみたいなー。猿の惑星のオチとは違ってこう。しれっと風景のオブジェクトにまじっているようなの。あゝ朽ちてゆく美しさよ、中野のマイケルはどうなるのか。まあどうにもなるまい。塀が崩れた時、持ち主が変わるときがそのオシマイだろうなあ。