• ふでのゆくまま

    グレゴリアンミン

    なんだろ、アップテンポの曲でgregorianが口の動きがはやいってだけで面白いと思ってしまう。別にこの曲だけ特別はやいわけでもないのだが。

    一晩中、台風みたいな風がごんごんと吹いていた夜があった。不安を覚えたわけではないと思うのだが、どうにも寝付けずにいて。自転車が倒れた音とか、缶が吹っ飛んで転がる音が絶え間ない。…絶え間なすぎてスマホで情報チェックしてしまう。結果とんでもない寝不足で翌日を耐える羽目に。

    高校生ぐらいから、寝るときの服装はいわゆるスウェットやジャージなんだけど、たまにパジャマがお勧めされている広告を見かけることがある。ひねくれものには珍しく、自分も導入してみるかな?なんて思ったのです。でも、一張羅ってわけにもいかないだろうし、夏と真冬で同じもの着るわけないし、結構な枚数を用意する必要ありそうな。それに、寝ている時に着ているスウェットでコンビニや薬局、お散歩行くことはぼちぼちあるけど、パジャマでそれをやる気にはならない。お着換えめんどくせえと思ってしまう。幼児かよ。そりゃあキッズの頃は着ていた記憶あるよ。でも自分で服を買ったり、洗濯して収納して引っ越しして、なんて重ねると特段所持する気持ちにはならんかった。

    まあ、そもそもどういう理由でお勧めされるんだろうか。一般的な衣類の一種ではあるんだから、一般的な商品で代替できると思うのに、長らく寝るとき専門みたいな用立てがされるには尤もな理由がある筈だ。

    https://www.gunze.jp/kigocochi/article/1k201906-01/

    最初のフレーズで「その特徴は完全におれやないかい」と思った。売り手側も、買わない人がなんで買わないかを把握している。これは明白だ。うんうん、と頷かせたあと、そこに続くのは製品を作って売っている側の言い分なので、当然ながら良い事ばかり並べられている。要するにルースで吸水性の良い生地を着て寝ろということだった。そんなもの、pyjamasなんて言わなくてもいくらでもありそうだ。ありそうだけど、それを探すにはどうすれば…🤔パジャマというキーワードを使わずに寝るときの服を探すキーワードが何かあれば、その発見だけで新商品になりそうでんな。ぐぐるとそういう発想と思しき衣類はいくつかみかけた。それらすべて、「要するにパジャマ」と説明が成り立つので、パジャマの牙城を覆すのは難しそうだ。

    グレゴリアン服どうかな。

    雨の休日。あさイチの洗濯物が一回で収まらないぐらいため込んでしまった。まだまだ梅雨も先、春の一日でございました。

  • どくしょかんそうぶん

    「一発屋芸人列伝」を読んだ

    誰が言ったか「一発屋」

    すっかり定着した言葉だと思うし、結構古い言葉だとも思うがどうだろうか…。「D万円」とか「ザギン」とかそういう言葉と同じような経緯かな。特定の界隈の身内で通じる符牒が、世の中に広まったのかしらん。

    一発しか世間を揺るがさなかったが、少なくとも一発は揺るがしたと言える。あるときにはふっと名前を、顔を、ネタを思い出されることがある。そんな「一発」まで到達すること自体が、とてもとても難しい。本書に列挙された芸人も、記憶に残っている名前が目立つ。ハローケイスケ、天津・木村、ムーディ勝山の3名は知らなかった。知られてないなら、思い出されもせんやないっかーい(カチーン)

    名前に心当たりのない芸人の部分は読み飛ばしてしまったが、それ以外の一発屋芸人のエピソードには、ちょくちょくネットのどこかで読んだようなものもあった。きっとそれらのネットで見かけた文章なりなんなりの情報源に、本書も含まれていたことだろう。それでも飽きずに読むことができたのは、著者の筆力(ふでぢから)に依るものが大きいと思う。著者自身も一発屋の名跡であり、その大看板を背負いつつ、ちゃんと一発屋当人たちに取材した賜物でもあるだろう。コントや漫才を作る芸人というのは、どこか文筆やらトークやらに長けているイメージがあるよね。

    一見、安易で稚拙と思われがちな彼らの芸だが、全く脈絡もない二つの言葉を並べ、韻を踏み、かつ笑いも取れるこの”大喜利”の難易度は高い。何故なら少しでも「意味」が生じた瞬間、ただの駄洒落と堕すリスクを常に孕んでいるからだ。そもそも、意味を見出し思考の拠り所とするのが人間の本能。それを避けて通る彼らの押韻スタイルは、誰にでも真似できる代物ではない。

    本書「ジョイマン」の章より

    各章ともに実に読みやすい。一発に至るまでの経緯はどうか、一発が炸裂中の生活はどんなものか、その後はどうなったか。そしてどうやって現在に至るのか。そう、「で、今は何してますの?」で終わりにせずちゃんと面白そうなエピソードを紡いで人となりを掘り出していく様子は、まるでスーパースターへのインタビューだ。いやいや、一発だけではあったが、スーパースターにな(りかけ|った)人たちではあるのか。「ジョイマン」の章は白眉であると思う。自分は彼らジョイマンが人気だった当時というものを知らない。amazonでやってた「ドキュメンタル」において、ジョイマンの高木の写真が笑いを誘う仕掛けに使われてから存在を知った。誰やねんて。著者は一発屋にフォーカスした本書で彼らを「0.8発屋」と認めた。それを由としている。一発に至っていない触れやすさ。いじりやすさ?そうしてそこに居るだけでいいという境地。扱いが伝説の域じゃねえか。志ん生か?

    「近頃わ御夫人もナナナナーなんと申しましてな」

    ところで。本書の構成。当人に取材を申し込み、直接会ってインタビューと言う構成から想像するに。インタビューを断られた芸人もいたのではないか。一発屋と言われてたまるものか、と憤った人もいるんじゃないか。自分はまだ一発当ててませんから、と遠慮した人もいるんじゃないか。具体的な名前が想像できれば面白いと思ったが、出なかった。病気の子供はいないんだね論法でこれを由としたいが…本書の取材時期は、内容にぽつぽつ出てくる日付から拾うと2016年から2018年ごろのようだ。それから数年経過して2023年となった現在、新たに一発枠になってしまった芸人も確実にいるんじゃないかと思う。その芸人の名前をオカンが忘れてもうてー。

    大スターを夢見て芸人の道へ踏み入れた人たちには、一発屋というのはうれしい肩書ではないと思われる。二発目、未来がないと思われているということだ。でも、そんな人いましたねって、思い出に浸ってしみじみするのが妙に快い気分になる。ああ日本人的な情緒なんじゃないか。もののあはれ。

    知らない芸人読み飛ばした癖に何を言うか。


    正直に言えば、新たに一発屋枠になった芸人としてピコ太郎を思いついたんだけど、ピコ太郎のキャラが”芸人”と言われると違和感覚えるし、まだタレントとしてCMキャンペーンなどに起用されているみたいなので、「一発屋芸人」には当てはまらないのかなあと。底ぬけAIR-LINEのキャリアを含むのかとかそんな話もあるもんね。

  • ふでのゆくまま

    うめはさいたしさくらもさいたし

    どこかの裏路地を通り過ぎて、ああ桜がもう咲いているな。いやしかし、桜の名所的な通りには咲いてる気配もない。これは梅じゃないかって。「〽梅がさいたか、桜はまだかいな」花びらの形とかでわかるらしいけど、そんなよそ様のお宅の庭に踏み入って眺めるわけにもいかず。考えてみれば、梅も桜も毎年植え替えるわけないんだから、去年もきっと同じような場所で、同じようなタイミングで梅が咲いているのに気づいてたんじゃあねえかな。気の早い桜もあったもんだ、なんていいましてな。

    「咲き誇る」という言い回しがある。その言葉の由緒正しい、元来の意味はよくわかってないけど、桜には似合う表現だと思う。桜の木はデカい。町の大きな通りにずらっと並んでいたりして、それが一斉に開くと視界が白く染まる。桜並木ってやつ。それとは逆に、住宅街の公園なんかに、ぽつんと1,2本あるのも良い。夜明けのお散歩中に白くぼんやり浮かんでいるような佇まい…。日本人的な情緒ということか、あるいは単に老人の感性か。

    昨日も雨、今日も雨、明日も雨、という週末に、洗濯物が軒先に釣るしてあるお宅を見かけることがある。流石に雨ざらしではないのだけど、なんで外に干してあるのか。コインランドリー無いのかなあと思うと二つ先の角にあったりして。確かに自分も雨になってはコインランドリー面倒だった。梅雨時であるとか、雨が降りそうな空模様であればコインランドリー行くのだが、いざ降り始めてしまうともう行く気にならないもんだった。当然混んでるし。除湿器はいい買い物だった、というか除湿器無しで俺は何年もなにをやっていたんだ…。下着と靴下だけでもなんとかならんかーって、ドライヤーで乾かしたりしてましたねーーー。

    自分が不便だなと思っていることに対して、あっさり改善するグッズって案外実在する。本当に簡単に手に入るようなもの。そんな便利なら、誰か教えてくれよ!なんて嘆いてしまいそう。webやそこらの交通機関で目にした広告にもそんな商品の情報が載っていたりしたことだろう。しかし興味がないからスルーする。後ほど検索したりすると、この広告みたことあるかもなあ、なんて商品にたどり着いたりする。まんまとお買い上げで思う壺ぉん。

    あらゆるもんがネットで買えるようになって、…長い事そうしていると、商品の選び方がすこし変化したかもしれない。昔はそこらの店で買えないものが買えてありがたい、というだけで買ってみるに値した。最近は最大手Amazonでも質の悪い、あるいは弩ストレートに詐欺商品が送られてきてしまったりすることもあるらしい。最低限そういうのを避けるのは容易ではある。リスク軽減のノウハウがある。でも、「これよさそう!ぽちっ♪」で済む手軽さがネットお買い上げ一つのウリでしょうよ。支払いと自宅への配送手続きまでもぽちっで済んでしまう手軽さが。

    しかし結果として、よっぽど”ネット上で”評判が良いと確信できるものだけ買いがちになった。あるいは失敗してもまあ良いか、というもの。遊び半分。あとは流石に商品の質には差が無いもの。箱売りの飲料が典型。こんなものあればな~ってもの、買ってない。探すことも無くなったというのであれば、暮らしが大変便利で申し分ないということになるんだろうか。そんなわけあるかいな。

    “ネット上で”の評判というのは、販売サイトのレビューではなく、ここのように場末のブログで、納得できる理由で商品の良しあしが書いてあるようなもの。そのほうなレビューのほうが、信頼に足ると思っている。販売サイトの、はっきり言うとAmazonのレビューなんて多くが役に立たない。主張が意味不明だったり、ちょっと規格の違う複数の商品のレビューが同じ商品のレビューとしてまとめられていたり。購入者に質問が出来るという大手らしい便利機能もあるが、質問と答えがかみ合っているほうが少ないという体たらく。実際に使ってない人には伝わらないだろうけど、サクラも多すぎる。商品に「星5の評価をしてくれたらAmazonギフトカードプレゼント」なんて紙切れが同梱されたりする。そういうものに応じる人も、世の中にはいるんだろう。

    いっそ、そういう情報を専門としているようなアフィリエイトサイトの情報はどうだ。その存在自体がサクラという時代もあったんだろうけど…まともに記事を書いているなーという印象のサイトは参考にしても大丈夫だと思う。何がまともかというと、なんだろな。これ使いやすくて便利て俳句より短い要件が5000字以上で画像付きってまともか。異常ではないな。わからん。youtubeでやってる人も多い。

    最近ほしいものがあって、何故かネットでは見当たらず、ググってもどこで確実に売っているかという情報に引っかからない。実店舗に行ったらしれっと置いてあるってもんだろうか?しかし近場は実際に訪れたが取り扱いなかった。

    四月の一日は土曜だった。しょんぼりとした様子で歩いている新入社員っぽい若い女性がいた。土曜日が営業日の業界だってあるけど、やっぱ新人の配属?も土曜からスタートなんだろうか。あるいは就職活動かもしれない。新卒の就職活動が土日もある、というほうがレアな気もする。花が咲いたぐらいでヤケクソ気味に華やいだ空気が重い、塩漬けの昼下がりで御座いました。

    お嬢さんは犬を蹴った。

  • ふでのゆくまま

    タモリ倶楽部終了

    タモリもさすがに歳をとったし、妥当なところだと思う。10年前に終了していたとしてもおかしくはないよな、と個人的に思います。個人的には、筒井康隆あたりと組んで素っ頓狂なことをやってほしいなあと思ってはいるんだけども。

    タモリ倶楽部の面白いところは、マニアックな一般人にフォーカスを当てた企画と、学者、行政などオーソリティがふざけながら、あるいは半ば悪乗りで参加する企画にあったと思う。

    思い出がてら、面白かった企画を挙げてみる。タモリ倶楽部メモの最初で最後の出番となりますね。古いのが多いのは、近年はほぼ見ていないからです。なお、番組情報は以下のサイトを参考にさせていただいた…しかしながら、以下、自分の書く内容は、放送タイトルについては何となくのうろ覚えで、これで伝わるだろ、という程度の雑な記載してます。

    http://www6.plala.or.jp/gene/tamori.htm

    https://readymade-net.com/l440/tamori-club-list/

    http://nyanc.blog76.fc2.com/blog-category-4.html

    http://wdesk.net/image/tamori_club-tv-im.html

    アウトドア般若心経

    みうらじゅんによる企画で、般若心経の一文字ずつをアウトドアで写真に収めるていって、最終的に全文字のコンプリートを目指すというもの。こういうマニアックな試みにフォーカスを当てるものは面白い。このとき読経にあたった住職は今でも僧職にあられるようです。

    絶頂派美術展

    西洋絵画には、実は性的な場面の表現を目的に描かれた作品がある、という話。なぜそう解釈できるか、という点について、美術大学の先生が語りながら進む。同じ先生はまた、ご飯がすすむ食べ物の絵画の企画で登場し、とんでもない事実を告白する。

    真夏の怪談話

    タモリの付き人をしていた金子という人物と、放送作家の人が異様に怖がりであるから驚かそうという企画。他愛のないことで異常にギャーギャー騒いでいたと記憶している。

    アナウンサーの食わず嫌い直すやつ

    偏食のアナウンサーに、嫌いな食材を使った料理をふるまって克服してもらおうという企画。「しょうだ」とメモにあるので、勝田和宏アナウンサーだと思う。

    曳き家のやつ

    どこかの神社?お寺?の建て替えで、曳き家作業の様子をみれるやつ。それしか情報が手元に残ってないけど貴重な映像だった筈。

    超合法建築の世界

    法の規制を順守するため、ちょっと変な形になっているビルなどの解説。シンプルに教養になる企画も面白い。

    お湯割りに合う梅干しを探る回

    酒飲み企画も面白い。「酒とつまみ」という小冊子の持ち込み企画。多様な梅干しの種類のうち、焼酎のお湯割りに入れるのには何が合うのかという試み。ほんとに駄弁っているだけだった。

    井筒和幸が現場作業員のファッションショーやるやつ

    いわゆる井筒監督。配管工とか鳶とかの仕事着でファッションショーの体で登場するんだけど、似合いすぎてて凄かった

    九段下ビルに潜入

    東日本大震災のあと、ほどなくして解体されたらしい。住人がいるというのが驚いた。住人だった画家の方のブログで、解体までの当時が偲ばれています。http://ohnishinobuyuki.blog.fc2.com/blog-category-6.html

    国分寺崖線

    地形関連もすごくおもしろかった。タモリは坂道についての書籍も出版しており、地図と地形関連の企画もいくつかあった。大雨でプレハブの中で古道の検証している回もよかった。

    新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門 Kindle版

    関西人が標準語を勉強するやつ

    若き日のほんこんと板尾創路。日高ようこが強烈な東北?訛りをぶっこむというオチも強烈に面白かった。

    以下、次点。

    世界のいろんな酢で「酢の物」つくるやつ。酢の研究している先生が、咽って吹き出すのが草。

    都内のバーでオリジナルクラフトビールを楽しむ会。アンガールズの田中がぐでんぐでんに酔っぱらう。

    銀座のクラブにおつまみをおろしているお店で呑む。このお店のおつまみは実際に買えるので試してみたい。


    テレビタレント側の出演者でMVPだと思うのは乾貴美子。スケベ企画の印象が強いが、MCの立場でなんでもこなしていた感じ。なぎら健壱と江川達也が次点。しかしながら、本当のMVPはよくわからんものを収集したり作り出したりしていたマニアックな方々…とその道の専門家。そしてそれに負けず劣らずなタモリご本人。

    お疲れ様でございました。

    なお、タモリ倶楽部には二週目の楽しみ方がありますが…。それはまたいずれ機会があれば。

  • どくしょかんそうぶん

    「世界史を大きく動かした植物」を読んだ

    人類万歳。

    この繁栄っぷりをここまで支えたのは、その根本に農耕と畜産であるに相違ない。めしのために常時移動をする必要がなくなった。資材を使って家や倉庫を作るようになり、村ができて共同作業ができて災害などへの耐性ができてなんやかや。文明の起こりから今日に至るまで、地球ある限り植物のお世話になりっぱなしであります。

    本書は人類と植物とのこれまでの関りをまとめたものである。植物の種類ごとに章立てられていて読みやすい。中高生とかに良さそう。お子様に是非。タイトルにあるように「世界史を動かす」ほどの植物となれば、やはり人間との関りは相当に深く、名の知られた種類ばかりである。本書に載っているのはすべて知っている植物だ。紹介されるエピソードにも、何となく耳にしたことのあるエピソードもありつつ、またマニアックで新たな発見もあり、読んでて面白い。日本人の食卓に玉ねぎが広まったきっかけとは?トウモロコシが宇宙原産と言われる所以とは?ふーむ。ええやん。

    個人的には図案が欲しかった。地図やグラフ、挿絵などがもうちょっとあればなあ。全編文章のみであるため、正直ちょっと味気ないが、内容は充実してるのでヨシ!

    この先の未来に…歴史を動かすほど話題になる植物はあるだろうか。地球上で新種が発見される可能性はまだあるかな?あるいは地球外で見つかった植物なんてことになるかもしれないが、”世界史を大きく動かす”となればちょっと珍妙である、ぐらいでは候補にも挙がらん。人間が抱える問題を大きく改善するようなもの。エスエフ的なジョークみたいなものしか思いつかない…けど、もし本当に見つかるとすれば。冒険物語の果てにどこかで見つかるようなものではなく、研究に人生を捧げた一人の執念がついに見つけ出すようなもの。