「City of God」を観た

事実を基にしたこの映画から14年後、その街でオリンピックが開かれるのです。当時の人に言っても誰も信じなかったりしてね。(この作品中の舞台は1960-80年ぐらいですが…)ブラジルの貧民のガキなんて自分も実際にこんなイメージを抱いている。いつか東京もこうなるんだろう。

んで映画。これは良作だと思う。狂ったエナジーの奔流を作中ずっと浴びる様な感覚。適度なタイミングで人が銃でぽんぽん撃たれていく、なんというかここは映画を見る前から想定の範囲内ではあったのですが、映像が凝ってて良いねこれ。大人の良心派だったキャラクターが、当人たち以外にはわからない形で報いを受けるのも実に心打たれる場面…。展開もサクサクしていて良いです。パルプフィクションとか彷彿とさせるとか書こうとしてネットで調べたらみんな書いてた。確かにあの感じ。

なお、2003年という公開時期ながらまだ公式サイトが現存しており、当時としては十分だったであろう大きさのポップアップブロックに引っかかるウィンドウが開いたりし、文字サイズも小さく、公式BBSもリンクは生きているが男性向け風俗サイトに繋がるというwebの遺跡みたいになってる。

「七人の侍」を観た

これぞ世界に誇る日本の文化の一つ。つまりは国宝たる七星剣や黒漆平文大刀拵といった霊格備わる鳴りを発するくぁwせdrftgyふじk

…とまで言うほどか。「隠し砦の三悪人」が吃驚するほど傑作だったので、この作品を見るにあたっての自分の中の期待値が無駄に高まったか。うーん。面白いんだけど、最後の戦いのあたり、物足りないよな。なんか迫力に欠けない?敵役の野武士の皆さん、ただ馬に乗って走り回って、そのうちやられちゃうだけなんですもん。…いやそういう戦術を採るという筋書きだし農民と武士チャンバラしてもおかしいし、納得はいくんだけど。きっと自分の頭に現代の映画やゲームの映像のイメージが残っているんだろう。

そのごちゃごちゃした合戦に至るまでの内容も文句なく面白い。また撮影逸話の面白さも黒澤作品の魅力とかって耳にしたけど、この作品でも撮影に邪魔な「電柱をどかす」ということを実際にしているらしい。最後の泥まみれの合戦も雪を溶かそうと水を撒いたらあんなになってしまったのをそのまま利用しているらしい。みんなずっと濡れてますけど…。真冬なのかよ。

お子様扱いされている若いの、明らかに違和感を覚えるが、作中では14歳ぐらいの設定らしい。当時では子ども扱いは正当なものなんだろう。

田植えダンスのシーンも、「隠し砦の三悪人」の火祭りのシーン同様にとても印象深い。世界のどこでも祭りというのは実にユニークなものが残っていたりする。その地域ではとても重要なものとして後世に伝えられていったりする。「勝ったのはあの百姓たちだ」という有名な台詞。百姓はそのムラを守ることに成功し、侍は死んだの生きたのとしか出てこない。直後、最後のシーンは侍の墓で、これが実に象徴的ではないでしょうか。生き残った者が勝ちだと。

まあ良い作品であることには全く異存ありません。200分超える作品だとは思わなかったけど。三船敏郎の尻がセクシーであるという評価には全面同意します。

「天国と地獄」を観た

ネタバレです。ネタバレです。

黒澤明シリーズが続いておりますが。

この作品のamazonのレビューにも同じような指摘があったのだが、境遇の格差からの逆恨み?で誘拐を企てたのだが、今の(自分の)価値観で見てしまうとそんな恨むほどかね、なんて思ってしまう…。犯行動機がピンと来ないというか。作中では端的に住居という環境の差がその犯人の主張する恨むべくところの一つであるが、どうしても、え、それだけ?という思いがある。もっとこう、目に見える所ではなくて、なにかこう個人的な怨恨とか、過去にあれこれとか、人物に対する恨みとかないのかと。こういうところがさらう子供を間違えた、というところに繋がるのかもしれない。

なれば現代は、生活の格差などというものはもう人を恨む理由にはならんのだろうか。いやいやそんなことはない…。されば現代人は恨みを抱えどもその行使に及ばぬ、高貴な徳に満ちたか、いやいやまさか…。ではなんだろうね、この、「金持ちの子供をさらう」行為に対するどこか白けた感じ。この映画から模倣犯が出て刑法の改正に繋がったと言われるぐらいで、相当なインパクトが当時はあったようなのだ。

難癖めいてレビュー始まったけども、じっさい犯人捜索のストーリーは実に面白い。子供を取り戻してこの映画は終わりだろうなんて思っていたら、むしろ取り戻してからが面白かった。捜査に従事した刑事たちが会議室で進捗を報告し合う場面。例えばダンディー鷹山セクシー大下のテレビドラマで同じ場面をやっても画面も展開も似たようにものになるんだろう(というかこのシーンがテンプレになっているのかも)それでもただなんか、画面に映るすべてが昭和だというだけで新鮮。しかしこの、画面から伝わる暑苦しさ。撮影は冬だって書いてあったけどほんとかよ。

いや本作も面白かったですねえ。

撮影地どこだろうかと調べたら、すぐに非常に良く調べてあるサイトを発見したのでリンク。こういうコアな趣味世界に没頭しきれない自分には実に羨ましくもある。昭和38年というのはもう昔話。自分の父が作中の子供ぐらいの歳…。自分ももう40になりますしね…。

http://ogikubo-toho.com/seititenjigo.html

「Cast Away」を観た

ネタバレ。うぃるそーん。

たまたま航空機事故で即死を免れ、孤島に辿り着いた人のお話。それだけなら映画以上に強烈なものが現実に幾らでもあるので、内容としてはハリウッド謹製ヒューマンドラマになっておりますね…。島での荒天や大荒れの海なんか如何にもCGです、という映像に脳内レビューで言葉を濁していると2000年の作品。ま、そんなものかな、なんて。えらそーに。映画の最後も主役の表情アップで〆。個人的には視線の先はwilsonだったと思いますわよ。

この映画を見たことによって、何かの時に「うぃるそーん!」と呼びかけるというボキャブラリーが増えた。一般受けや王道とは習慣や風土ほどに実用的なのです。好きなものに拘りを持つなんてどうでも良いことなんだなと実感すること頻りな近年で御座います。ゆるくいきましょう。代わりに嫌いなものにはうるさいです。

映画を楽しんだかどうかはお察しですねこのレビューでは。

「隠し砦の三悪人」を観た

今回もamazonプライム映画での視聴、…と最初に断っておくのは、どうもこの画質が実に素晴らしいという声がレビューで多く見受けられたので。確かにきれいだった。

以下エントリ本編。ネタバレ。まだ作品を観た事が無い人はここで読むのを止めて作品を観ることをおすすめ。

楽しい。すっげえ楽しい映画だった。どういう言葉で表現しようか思いつくまでずーっと考えていて、ようやく思いついた。痛快。おーこれだ。紛う事無き傑作。そうだよな、映画って娯楽なんだよなあ、一昔前はみんながこぞって楽しんだ娯楽なんだよなあ、と改めて思う…。今だって娯楽の大手には違いないが、こうしてインターネットの仕業で他にもいろいろ娯楽が分散されておるからね。

黒澤明云々という点は特に思い入れがないけど、氏の作品でも特に人気が高いと評判。納得できるなー。映画の内容が、なんというか難しくない。分りやすい。そんな作品他にいくらでもあるだろって自分でも思うが、兎に角いろいろ分りやすい。なんだろうな、この簡明さは…ちょっと説明できなくて、不思議な感じすらある。

観てる途中にも思ったけど、農民二人がなんか落語なんだよな。欲深くてあわてんぼう、早とちりに臆病者で身勝手。何かをしでかすものだから話はどんどん転がっていく。こいつらが何かすることで「そらそうなっちゃうでしょ」という事態に陥り、しかし場面が少し進むと観客が思った通りの展開にはならない。おーそうなりますか、と。「こりゃもうだめか、どうすんだろ」という状況が、特に何もせずに好転するが、それが言われてみればそうなるよね、という…特に説明もないのに納得できる。なんか見事なものだなあと思う。これが脚本の見事さということなのかなあ。

具体的には以下のような流れが特に。人買いに売られた娘を買い戻す→逃避行に人が増えてどーすんだよ→馬売ってくれと頼まれてしまう→運ぶ足がなくなったじゃねーかよどーすんだよほら追手が来た→「良いか!お尋ね者は男三人に女が一人!馬を連れている!」

火祭りのシーンの美しさも突出している。ここらはモノクロの効果もあるだろうか。多くの犠牲を払い、自らも危うい目に遭いながらここまで運んできたものが、祭りの供物として燃え盛る炎に放り込まれたというのに、姫は嬉々としている。啞という設定で人目をごまかしてきた姫は笑顔で祭りに参加して笑顔で掛け声まで出している。一方百姓はおどおどしている。

戦国の世に生まれた姫君として、もはやこれまでと覚悟を決めた潔さか、あるいは16歳の男勝りの箱入り娘として、初めての(かはわからないけども)世俗の祭りの楽しさに心を委ねたか。あるいはまた身を隠すには絶好のシチュエーションが訪れた事だし…。後に敵方に捕らわれ、姫はそこでこの決死の逃避行、楽しかったと語る。この旅で人の美しさ、醜さを見たと。

この名場面で、まさに心奪われている時に、祖父の訃報を受け取る。…リアル人生のイベントは時に出来過ぎですね…。amazonプライムのいわゆる「レンタル」は視聴時間の制限付きというシステム。東京に戻ってきてからまたレンタルしなおして続きを見てこれ書いております。

この当時の俳優・女優さんとか流石に全くわからない。名前をググってみても、多くは故人となっている。三船敏郎もあまり知らないというぐらいに自分は疎い。雪姫役の女優さんがとても印象に残ったが、調べると黒澤明に抜擢された素人だという。ほえー。二年ほど活動し、自ら才能がないと引退。ネットを漁っていたら随分貴重っぽい動画を発見。

以前、誰かに勧められて「羅生門」を見た時も、なんだかうまく言えないが確かに面白かった。どこがって言われても困る。傑作は感想文に困るんだろうか。旨い物なんかもそうだよな。少なくとも自分はそうだ。文句が出ないから大人しい。んで何度も同じ定食食いに来る、みたいな。

「隠し砦の三悪人」は映画であるから、何度も見ることはないけども、思い出すだけで箸が進む。いやー堪能した。お気に入りの映画に並べさせていただきます。