「網走番外地」を観た

どうしても田中邦衛を好きになれないな。

本作は高倉健の出世作らしい。興行的にもヒットし、続編がぽんぽんと生み出されるほどの人気になったとのこと。話の筋書きも分かりやすく、面白い。展開も無駄がないという印象を受ける。あれよ、あれよという間に話が展開するのは気分が良いなあ。えー…読書感想文としてはもう書くこともなくなってしまったので、以下全部余談。

丹波哲郎を最初に見たときにはもう大霊界がどうとか言ってたので、「砂の器」や本作のように俳優やってる姿を見るのは新鮮だ。もっとも、本作は大霊界よりはるかに古く、見た目が全く違うのでそういう印象になるのは当然の話ではある。演者情報を参照するまで、丹波哲郎って気づかなかったよ?でも高倉健はそんなことなく、あ、高倉健だなーって。彼の出演作品も「新幹線大爆破」ぐらいしか見たことがないのに不思議なものだ。単に顔があまり変化してないのだろうか。そう考えれば、田中邦衛も一目でわかったのは、顔の特徴が変わってないからなんだろうな。

舞台となる網走には、まだ網走刑務所が実在する。勿論施設は刷新されている。今では観光地となっている場所は、作中では逃走が始まったあたり…かな?(Amazonプライムだと、59:15秒あたりにブリーフィングの場面)刑務所より南に少しいったところ、山ん中だ。

なお、この観光施設内部の道を、Googleストリートビューでうろうろすることが出来る。ガラスに映った姿から、自転車のようなもので撮影したことがわかる。通常の営業時に撮影したようで、観光客やバスガイドの姿も見ることができる。多くの人が物珍しそうな視線を送っている。ところで、入り口に置かれている人形には顔モザイクがかかっていないのがびっくり。手動でモザイク消したかな?プログラム的な解釈でこれが出来るというんだったら凄い話だ。Google先生の技術力は衰えるところをしらん。人外である、って気もするが、作ったのは間違いなく人だ。

作中と同じように脱獄して、スマホとgoogleマップがあったらどこ行くかなーなんて考えてみたりしてね。作中は南西方向へ逃走し、最終的には釧路を目指している。直線でも120Kmほどある。逃走にあたり、「行けると思ってんのかい」とのセリフも尤もな疑問だ。中標津あたりで、5Km四方にキレイに区画された林?がある。あれはなんだ?

もぅまぢ余談。作品自体はお勧めよ~。

「鑑定士と顔のない依頼人」を見た

ネタバレですよ。英語での原題は”The Best Offer”

騙された!の一言で説明がついてしまう物語だけど、肝心のところは具体的な説明をしていない。端折っているともいえるかな?よって、キツネにつままれたというような、うすらぼんやりとした感じが出ていると思う。観客に想像させる手法とか言えば良いんですかね、こういうのは。対象の物品が山のような美術品コレクション、つまり価値に揺らぎがある。ある人にとっては至宝であり、ある人にとっては滑稽なオブジェ。動いた金で言えばそらあ大した金額で、こいつをすっこーんととられるわけだ。いやぁ見事にやられましたなあ、と。

さて。

愚鈍な自分でも映画をいくつか見ていると、事件は登場人物が起こすと気付く(当たり前だ)本作も豪快にどんでん返しを持ってくるわけだが、スッとつながる線が細い印象。あらましは把握したけど、あれ?なんでだっけ?ってなる。あの女が隠し部屋のコレクションを目にしたのは偶然でしかないように見える。これが仕込まれた詐欺なら最初の電話の時点から騙す目的じゃないと何もかもが成立しない。主人公のコレクションは誰が知っている?登場人物のどこまで仲間なんだろう…。あの女の使用人はもちろん仲間だろう。ではメカニックの恋人はどうだ?主人公のマネージャー的な人は…違うか?

すると…オークションでグルになって絵を買い漁っていたあの爺が黒幕かと思い当たる。彼なら、主人公の「手持ち」のアイテムがどこかに存在することは知っている。なんならその価値も。主人公がグルですもの。あの女を潜り込ませ、場所を把握したら運び出してミッション完了。そういう筋書きが進んでいると観客にバレては面白くないわけで(当たり前だ)見事なもんだね。悲嘆にくれる主人公に同情してしまいそうになるが、そうだった、このコレクションは”不法”に手に入れたものなんだよ、そもそも。警察署の前ので立ち止まり、一瞥をくれて立ち去る場面もあった。警察に被害を届けないのは、不法に手に入れたものだからだ。なるほど~。

多分、解説とか考察をしたサイトはいっぱいあるだろうから、気になる人はそちらをあたってくだされば。ここで一つ、そういうサイトを読んでいて気付いたのですが、本作はamazonプライムビデオで見たのですが(当たり前だ)劇場で見た人のレビューから察するに、”事件後”の興味深いシーンがカットされているようです。病院に放り込まれた後、外に出ていく原動力になった何かが…。んもー。

ま、楽しめる作品でした。

「ラッカは静かに虐殺されている」を観た

英語原題は「City of Ghosts」となっており、この邦題は本ドキュメンタリーの主軸たる市民ジャーナリストたち、「RBSS」(=Raqqa is Being Slaughtered Silently)から取られている。大変に重い内容であり、閲覧には少々の覚悟が要る。

2020年1月現在、ISIS関連の詳細はあまり知らない。いろんな”介入”で、指導者格の人物の抹殺に成功したり、と、どうもISISと名乗るテロ組織の戦力は、だいぶ削がれつつあるようだ…と。勿論、これにて安心とはいかない歴史と土地の事情だ。(あれ、その土地の事情を歴史って言うんかな…)また同じような争いごとが起こるのだろうという懸念はいっこうになくならない。ラッカという街もそのような土地にある。名前も一時は頻繁に耳にしていた気もするが、もうずいぶんと耳にしない。そこに本作だ。

インターネットとスマートフォン技術の発展で、戦場カメラマンとかジャーナリストと呼ばれる人が現地から情報を送ってくることはきっと容易になった。しかし情報を送るということは、何もそういう肩書の人のものだけではい。RBSSもしかり、そしてまたISISもしかり。ペンと剣の例えじゃないが…破壊と暴力に加えてメディアまでも使って襲い掛かってくる。情報でお互いを殺そうとしている。銃を向けるのも、スマホのカメラ向けるのもそう大差ない…?

だとすれば、そのカメラを通して作られたこの物語を見ている我々は、何をしようとしているのか…?

「カジノ」を観た

実話ベース、ということなのだが、夫婦関係とその騒動に時間が割かれすぎている印象を受けた。ハリウッド的な味付けってことでよろしいか?まーーーーーた、女がらみの筋書きかーーーいってなるよね。そこも実話だったら、そら、ま、それはそれで、お疲れ様でした、としか。ところが、映画都合の演出と思っていたのだが、wikipediaに乗っている実話のほうのエピソードを読んでみてドン引きする。簡潔にまとめられており、読みやすいのでぜひ。あれもこれも事実じゃねーか。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%8E_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

派手に大金が動く世界の、緊張感がある日常を感じ取れる。その緊張感の裏返しに、ずいぶんとfuckを連呼するなあと見ていて思った。ググってみたら、世には「fuckという単語が出てくる回数の多い映画ランキング」という映画作品があり、本作「カジノ」は堂々六位にランクイン!これ日本語吹き替えあるんだろうか…?あの「フルメタルジャケット」に日本語吹き替えが無い理由は、歴史に残るあのシーンを吹き替えできないからと噂があるらしい。ところが、探したら日本語吹き替え版あった。さすがにわざわざ見ないです。ほかの吹き替えにも増して”クオリティ”が上がることはないと約束されているようなもんだから…。

これを観た後では、日本でカジノなんてやっぱり悪い冗談でしかないと確信できる。さらには保釈中の被疑者に非合法手段で国外脱出を許すなどやっておるようでは…。立川談志の動画で、ハマコーがラスベガスでギャンブルやってたスキャンダルについて、枕でネタにしていたものがあった。話は広がり、国家予算で丁半ばくちすりゃあいいじゃんと。当たればみんなで一年遊んで暮らせる、外れても米は余ってるんだから大丈夫だって。そうだよな、日本のカジノでやればいいんだよ。もういちど所得倍増計画。胴元なんてどうせ海外資本に食われるんだし、日本国家がプレイヤーとして参加するわけだ。バカラか?ポーカー?ブラックジャック?スロットはXXX国民がしゃしゃりでてきそうだからやめよう。胴元には絶対にテーブルにつかせる。勝負を避けたら適当にfuck youと言って締め出してしまえばいい。いけるいける、歴代一番長くに総理大臣やっとる安倍晋三ならいけるんじゃないの。なんといっても彼は、

トランプと仲が良い。

100点いただきましたあああああ。拡散しろ~~。

あ、本作はテンション高くて、娯楽として良いです。

「ウィンド・リバー」を観た

勿論Amazonで視聴。

なかなか良作。「ファーゴ」みたいな雰囲気の作品。あらすじとか入れたらもうファーゴそのまんまやんけ、とかいう人もいるかもしれない。過酷な気象、雪深い僻地での、刑事ドラマ系ミステリー。ファーゴと同じく、事実に基づくストーリーであることが冒頭に明示される。ファーゴのほうは実は事実などなく、監督の冗談だったが、これはある程度本当のようだ。それでも、インスパイアというのかな、脚本の元ネタぐらいの関りだろうと思う。

緊張感があり、飽きさせない展開。悪事を起こす人間、その思考と発言が映画テンプレすぎるものの、リアリティがあったと解釈もできる。一方で、監督が提示したかった問題点にはあまりリアリティを感じられなかったのは、自分にはしょうがないと思えた。これはエンディングまでは露骨に作中に出てくるものではないので、自分同様この視点に共感が持てなくても、映画は楽しめる。

“処刑”の場面は屈指の名シーンだと思う。過酷な運命、ここの自然に闘いを挑み、命を落とした犠牲者への餞でもあり、復讐でもある。悲劇を生みだしたこの土地に、そのケツを拭かせるべく捧げた生贄の最後は「哀れだった」と一言で告げられる。

雪景色には魔法がある。JRがやっているクソみたいな若者向けリゾート広告の世界ではなく…雪景色に暮らしたことがある人はなんとなくわかってもらえるんじゃないだろうか。寒さ、湿り気、明るさ、踏みしめたときの音、重さ。何かこう、一つ、身の締まる思いを本作で如何でしょか。