どくしょかんそうぶん

「ウィンド・リバー」を観た

勿論Amazonで視聴。

なかなか良作。「ファーゴ」みたいな雰囲気の作品。あらすじとか入れたらもうファーゴそのまんまやんけ、とかいう人もいるかもしれない。過酷な気象、雪深い僻地での、刑事ドラマ系ミステリー。ファーゴと同じく、事実に基づくストーリーであることが冒頭に明示される。ファーゴのほうは実は事実などなく、監督の冗談だったが、これはある程度本当のようだ。それでも、インスパイアというのかな、脚本の元ネタぐらいの関りだろうと思う。

緊張感があり、飽きさせない展開。悪事を起こす人間、その思考と発言が映画テンプレすぎるものの、リアリティがあったと解釈もできる。一方で、監督が提示したかった問題点にはあまりリアリティを感じられなかったのは、自分にはしょうがないと思えた。これはエンディングまでは露骨に作中に出てくるものではないので、自分同様この視点に共感が持てなくても、映画は楽しめる。

“処刑”の場面は屈指の名シーンだと思う。過酷な運命、ここの自然に闘いを挑み、命を落とした犠牲者への餞でもあり、復讐でもある。悲劇を生みだしたこの土地に、そのケツを拭かせるべく捧げた生贄の最後は「哀れだった」と一言で告げられる。

雪景色には魔法がある。JRがやっているクソみたいな若者向けリゾート広告の世界ではなく…雪景色に暮らしたことがある人はなんとなくわかってもらえるんじゃないだろうか。寒さ、湿り気、明るさ、踏みしめたときの音、重さ。何かこう、一つ、身の締まる思いを本作で如何でしょか。

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