どくしょかんそうぶん

「地獄の黙示録」を見た

何はともあれ皆さんにこれを御唱和頂かないと始まらない。

♪でっで~んてー でーてれってーれー てーてれんてーてー

あの場面この曲(ワルキューレの騎行)ばかり印象に残っていて、実はそれ以外の部分を全く知らない。内容全体を見れば、このヘリ襲撃のシーンはむしろ例外か。戦闘シーンはあるものの、ベトナムの密林の奥深くまで一艘の船で川を遡りしずしずと進む。この造りは、露骨なまでに、「軍人の仕事」と「ベトナムのジャングル」という異常な世界の象徴とみえた。任務と好奇心に忠実であり、それを否定するものは恐怖、また恐怖。こらまた、どストレートなもんじゃない?

肝心の、作品が面白かったのかというと、正直微妙なんだよねー。戦場は無茶苦茶だったんだなあ、なんて感想はほかにも類似の(って言い方もアレだけど)戦場を舞台にした映画で思った。人々も無茶苦茶だし、なんなら世界情勢も無茶苦茶だったんだろう、なんてね。自分の生まれてもいない時代を舞台にした作品で「あの頃はこうだったからねー」なんて回顧する。ベトナム戦争を舞台にした映画は何本か観た。ベトナムは本物の映像が残っていたり、本当に戦場を体験した人が多くいたり、なんならスクリーン映えしそうなエピソードがあったりするんだろう。政治や社会に対する風刺の意味合いもあったのかもしれない。カメラを持ったから映画監督になって、ギターだったらロックスターになっていた、ような人たちがいっぱい居たんではないかなあ。ベトナム戦争は美味しい素材だったのかも。

作品の終わり方に謎が多いあたりが、すごく面白いとは言い難い理由になるだろうか。”神殿”から出てきたら突然、皆が服従を示すというのは、まったく意味がわからない。単純にそこが納得いかないので、視聴者としては考えるわけだ。後述する、カットされたシーンまでも含めて考えると、どんでん返しの前フリかな?なんて。ジャングルに住むアジア人の意思など、お天気の変化ぐらいに軽く扱って見せるというのが、ロックスターの気骨かな?映画の意図通りに振舞うやつはベトコンだ。セリフを与えられたのは訓練されたベトコンだ。ヒャッハー。作品ちがいまんがな。

作品がちがうといえば。主役の俳優が、チャーリー・シーンでは?と思いながら見ていた。子供の頃に観た「プラトーン」の朧げな印象もあったからだろうか。実際には違う俳優なのだが、「プラトーン」と「地獄の黙示録」で主役を張るというであれば、なかなかユニークなキャリアだなと思ってしまった。HAHAHA…って調べたら親子じゃねーか!!とてもびっくりしましたわ。

ワルキューレヘリのシーンだけでも見る価値あります!とは流石に言えないですが、「観たことないしAmazonプライムで無料のうちに観ておこうかな~」という人にはがっかりさせない作品ではないでしょうか。長いけど。

ちなみに。この手の、歴史に名を残すような著名作にはDVD販売やネット系サービスでの販売時に「XXXXのシーンがないのはちょっと…」というレビューが付くことがおおい。本作もそうで、Amazonのレビューによれば、最後のシーンがないというのが劇場公開当時に見た人に大変に不評であった。自分もそのシーンを見ていないことになるわけだ。どんなシーンであったかを文章で確認することが出来るが、なるほどカットされて不満もを言うのもごもっともというシーンだったようだ。

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