どくしょかんそうぶん

“Shutter Island”を観た

評判によればいろいろ謎解き要素が多い映画、ということらしいが、そんな前情報も一切なく観た。見終わってから上記のような評判を聞き及び、何か思い当たるフシがなかったかなあ、なんて振り返りながら、そしてちょこちょこ映画を巻き戻して再生しながら書いております。きっと、「作中に真実(=製作者の意図)に繋がるヒントが隠されていた!」という類の映画が大好きな人にはたまらないのかもしれない。ところが自分はそうでもない。あらま。

以下、確信めいたネタバレ~。

心の病により、孤島の施設に放り込まれた人々。そこへ、〇〇が失踪したと連絡を受けてやってきた刑事二人のお話…なんだけど、ドタバタして最後には夢オチみたいな展開に。これはどうやら、映画の観客が見ていた世界は、心を病んだ主人公の妄想の世界だった!…という仕掛けらしいんですが、個人的にはその説明に素直に納得できるかと考えてみますと。うーん、どうだろ。

妄想の世界の出来事だから何でもありなんです、なんて説明になってしまうんだろうか。全部妄想でしたー!みたいなの、江川達也のあの漫画じゃあるめーし。勿論、観客がいくらなんでもおかしくねーか?と思う場面はある。崖の途中の洞窟に人が隠れている場面とかそうだろう。

他にも細かく、注意深く見ていると、何か気付くことがあるという事だったんだろう。先にも挙げた、なんか合点がいかないところ。素直な解釈ではちょっとおかしいのではないか?と小首を傾げるところが、隠された真実とやらの扉なんだろうか。森の中を車で移動する場面が、如何にも合成してますというふうに見える点はとても気になっていた。プリオ様は売れっ子だから、なんかの製作上の都合でこうなったんだろうなんて思ってた。もしこれが物語の核心に迫る、意図した演出だったら驚愕である。でもどっちかというと、くだらないなーという感想の驚愕というか。

他に気付いた点は(作品見れば誰でも気付くが)冒頭、島へ向かう船上の場面から何故かタバコがなく、同行者に勧められたものを吸うとか、時折口にするクスリと飲み物。入院患者とのやり取りで渡される「RUN(逃げろ)」というメモ。このメモの場面があらすじの解釈を複雑にしているのだと思う。同行者も病院の人間であり、島にやってきたという部分から妄想というストーリーが暴露されるのだから、「 RUN(逃げろ) 」というメッセージのやり取りは、実に自然に主人公が部外者に見える。これが妄想だと思えるような仕込みはあったかしらはたして?

さて、真実(=製作者の意図)は如何にありや?というところなんだけど、ネタバレサイトで情報を漁ると、やっぱり「RUN(逃げろ)」のメモが解釈の分岐となっている、みたい。誰かが主人公を陥れて精神病患者に仕立て上げようとしているのか、あるいは主人公は病人でその妄想が続いている+すべて病院が用意したシナリオ通りなのか。だとすれば、まんまと製作者の意図通りに鑑賞したということになるのかねえ。どっちにしても合成っぽい森の場面関係ねえか。あれは本当に合成だったのだ。なんだよ本当に合成って。

もっと細かいところに言及されたネタバレサイトの情報によれば、制作者の意図は「これは病院の用意したシナリオで、みんなで治療の一環でお芝居をしている」というところに落ち着くらしい。つまりこのストーリーは夢オチではなく、ドッキリだったわけだ。そして、随所の細かい演技にも、これが病院のお芝居であるということが読み取れるだけの情報があったと。

ネタバレサイトを見直して、そういえば嫁が子供殺したくだりあったなーなんて思い出す程度なので、そんなところに気付きようもない。ナァニ映画なんぞぼんやり見るもんではないか。でもたまに、何かの仕掛けに気付くことがあったりして、それはそれでご満悦なんですよね。具体例は思いつかない。

このレビューの公開時点で、次にこれを観ようと思うストックがなくなった。そして最近は、ネット上でぼちぼち配信されている数十分ぐらいのドキュメンタリーが実に面白いと思っている。英語の聞き取り練習みたいなもんを兼ねる感じが良い。ここに挙げた映画のレビューもほぼ全部英語音声日本語字幕で観たんだけど、より一層、英語拠りになる。ゲームの配信なんかと違って、あらすじ程度は完全に把握しないと見た意味がないし、細かい表現が理解できないとその主張する内容を誤解する。イキフンはハードコアですね。やっていきましょう。

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