明けに銀の明星の袖擦り合わせ暖をとる事

先月の事、もろもろ事情があったりした結果、三週連続で終電を逃した。幸いにしてその全てが金曜日のことであったので、まあ朝までどこかで過ごして…と諦めもついた。もちろん翌朝からすることもあったりしたが、私事なのでまあ投げ打っておけば、なんて。

その一週目、弊社事務所にて時計の針は24:00を示していた。間に合う終電があるものの、混んでいる電車に一時間揺られて午前様も面倒くさく思われて、そのまま一泊することに。一泊するという決心に、面倒以外にもう一つ理由があった。非常用の銀のピラピラしたアレ、非常用サバイバルシートが鞄に入っていた。これを試してみようかと。いや、本当は試そうと思って会社に泊まることにしたのだけど。おほほ。

こういうの。ポケットにすっかり収まる軽さ、サイズでまさに非常用と言える。午前二時、試してみるかとパッケージから取り出してみる。十分に大きい。しかしあまりに薄く、また軽いがゆえに、着衣のままでは体に巻き付ける事ができないのでありました。フワフワしてて、どうしても密着して体に巻き付けることができない。ゆえに寒気が防ぎきれない。これならどうかと椅子に座ってケツで抑えることで腰から下にはきっちり巻きつけることができた。これは確かに温かみを感じたが、窮屈だしいまいち。体全体でどうにか、まきすの上の海苔巻みたいに、下に敷いてぐるぐる自分が転がればぐるりと包まれるんではないかと試してみたが(土足の事務所の床でコート着たまま銀色に光ってごろごろ転がるわたくしをご想像ください)どうだろうか…。で、服がダメなら脱ぐ…のはちょっと事務所では躊躇われたが、捨てる予定だったその銀のヒラヒラを持ち帰り、家でやることにして、その日は椅子に座ったまま始発までウトウト。朝になり、帰宅。その日の晩。布団の上にこの銀のシートを広げて、裸で寝そべって転がってくるまる。おおおおこれは確かに十分に暖かい。暖かいけども真冬と言えど所詮屋内の話であり、これがあれば安心というには程遠いかなと思う。これで非常時に何もないとき、命を長らえることができるかと言われれば…状況によってはできるかもしれないなあ。まあその「具体的には分らないけどひどい状況」に備えるのが防災ってやつなんだけど。まあ邪魔にならない、安いというので、持っておいて損はないと確信した。やたら光るので海難とかの時に発見される確率が大幅アップしそうではある。

以上一週目。

二週目。乗り換えの新宿で終電待ちの列はすでにホームを溢れんばかりで、ホームに上って来たは良いけどとても乗る気にならない。忘年会帰りの出来上がった人々もおり、密着嘔吐ショットガンなどいただいては堪らないので終電で帰るのを諦めた。朝まで営業している以前の職場に行って、始発で帰るつもr「今は夜営業してないよ」うっそーーーーーん。しょうがないので、店を出る。しかしこれは楽しみでもある。徒歩にてお家を目指すなり、と洒落込んだ。

…午前三時。疲労と後悔にまみれて寒さに震えていた。先週の銀のひらひらシートを思い出していた。移動中にはあれは使えんなw 何度かグーグル先生に道を尋ねるうちに、ただこの道を歩けば着く、という単純な道のりに合流した。故に、今度は具体的な距離、時間の数値にげんなりすることになる。どうもあと三時間ほど歩きとおせば良いと判明した。日が出る前には着くのか。三時間て。やや横道に逸れていくと私鉄が走っている。駅まで近いかは知らない。…が、幸いにもすぐ傍だった。ちょっと寄り道して駅名を確認、時刻表を検索して確認したら、始発までまだ二時間ある。始発に乗ってしまえば乗り換え入れても30分ほどで家に着く計算になるのだが、ここで二時間待てるか。近くに朝まで営業するファミレス的なものもなかった。次の駅まで取り敢えず移動する。次の駅、次の駅、とやっていれば家に着いてしまうので、頑張れるかと思ったが足が痛む。震災の時はもっと長く、倍近い距離を歩いたが、郷里の家が無事なのが、家どころか町が無事なのがどうかも不明なまま歩いたあの時とはテンションが違う。

その、次の駅で諦めようと決めながら歩いていた道すがら、印象的なことがあった。一番わかりやすく、近い道であるために深夜といえども交通量は多い。ましてや週末の夜である。自分と同じように終電逃して歩いている人もいるのだろう、タクシーがちょくちょく減速して様子を伺って走り去っていくのだ。最初の一台などはやや前方で停車した。でもこれ、停車したら誰かが降りてくるって思うよね普通?自分もそう思って気にもせず通り過ぎたが、何台か速度を落とすので気が付いた。自分が乗るかどうか様子を伺っているのだな。確かにこんな時間に繁華街でもないところをスーツとコートで歩いていればどう見ても終電逃しである。ちょっとコンビニでも深夜のお散歩でもないでしょう。乗せれば場合によっては一万円の稼ぎになるとも限らないんだから、そりゃあ様子を伺うってものですね。ほお、と感心していたら始発を待つ駅に着いた。幸いなるかな、改札が開いていた。ホームには待合室まであった。なんという僥倖。改札に入る前にコンビニで食べ物を買い、もぐもぐしたり居眠りしたりしながら小一時間始発を待ち、帰宅した。待合室にいる間、水商売のお姉さんと、70ぐらいであろう爺さんと、10歳ぐらいの子供が入ってき えっ 午前四時半に子供が一人で駅の待合室に居るものだろうか。驚いた。

のが二週目。

三週目。金払ってそこらのビジネスホテルで一泊。屋根と風呂と布団。人生の二番目の糧を人生で一番目の糧である金銭を支払って得る。という夢を見ながら弊社事務所の椅子。気が触れてコンビニで冷凍ピザを買い、食って帰る。

夜を過ごす、朝を迎えるということは人生の一つの見せ所であるのです。2014年も機会が許せばそういう過ごし方を積極的に取り入れたい。嗚呼日が昇る……。

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