ふでのゆくまま

素足で踏むゴムの硬さの春の訪れを告げること

勤務地ではクロックスのばったもんサンダルを履いている。打ち合わせは突然他の場所になるかもしれないので、靴に履き替える。案外、他人の席とトイレぐらいしかサンダルで移動する場所はない。場所はないが、頻度はそれなりに高い。最初は仕事中は靴脱いでたんだけど、呼ばれたりする度に履くのが面倒で、サンダル導入となったのだよ。

どこで手に入れたか覚えてないビーチサンダルを履いて、ぺったんぺったんイワシながらのコンビニデビューしたのは30を過ぎてからでありました。ただビーチサンダルを履いたというだけで、どうにも気分が良い。通いなれた店ということもあるけど、棚からお茶をとるのも心が弾む。

無防備な足元。砂利の上でも歩きたくない。ぼんやりした日常も、装いを変えるだけで強く強く平和を感る。ヌーディストビーチとかキティガイかと思っていたけど、まあこういう心持ちがたまらなく好きであんなことをしているのかな、ぐらいには察した。あの地震の日、新宿ではスニーカーを買い求める人の群れを見た。都心から30kmぐらい歩いて離れたあたりで、何人か足の痛みに耐えて歩くOLさんを見た。津波にさらわれ、辛うじて塀に逃れたが素足のため移動できずに往生する人の姿を見た。あれ以来、職場で地震があると、すぐに靴を履くようになった。靴がないと死ぬ。不思議なことでもないんだよなあこれ。

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寒さも和らいだという確信に、魔窟から引っ張り出してきたビーチサンダルを履いて、コンビニへ行く。足下のゴムからは確かに春のぬくもりと、何よりもその柔らかさが伝わってくる。普段はいろいろと余裕のない靴をはいておるのかと思う。しかし履物がビーチサンダルしかなかったら不便でしようがなかろう。

ボブディランは歌った。「It’s a wonder that you still know how to breathe. 」呼吸の仕方を知ってるなんてマジすげえ。いつか靴の履き方を忘れる霊長類のためにリズムを、ビーサン履いてペタペタと鳴らすものなり。

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