ふでのゆくまま

キウイが色づく宵に

五年か六年か。しかし実際は四年ぐらいだったっぽい。久方ぶりに会ったところ、相変わらずちびっこだなと思ったんだがいきなり日本酒をオーダーしてんだがだいじょぶかおい。お互いに歳を食うことへの悲哀と憤怒、仕事忙しいときの怨嗟と惨憺とかそんな話をした。社会人になると金の話、特に浪費とか損失で盛り上がる、みたいなことは体感していたけど、まあホントだなw会うのも久しぶりだったし、おれはなんか余計な事まで口走ってなかったかとも思う。なんならもっとひそひそ話でもすりゃ良かったな。

つきのころはさらなり。到着までのあいだ、ぼんやりとへたり込んでいたんだけど、みんなやたらと携帯を空にかざす。昔、月光に歩む一人の夢を見た。山あいの獣道をしずしずと歩いていき、やがて少しずつ泥に埋もれて消えた。都心どまんなか。月の下では電車も厳かに進み、影に座ってた俺のケツは痛んだ。キウイは品切れになり、巨峰と名を変えて紫色になり、総武線もオレンジになった。

良い夜であつたとなむ。

そーじしろ。

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